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屋島城 ~丸出しのお爺さん~

今回も四国の香川、そこの屋島城を。

まるで厚底ブーツをひっくり返したような、大人しめのテーブルマウンテンのような、そんな特徴的な山にあった古代の城。

663年の白村江の戦いきっかけで造られた城で、いつかの鬼ノ城とは違ってちゃんと史書に記載のある城。

そこに関してロマン度は少し劣る。

駅から山上までバスがあるのだが、せっかくなので徒歩で。

4駅前から。

……

何故そうなったのか。

それは香川の名産品オリーブと県魚であるハマチ、をマッチングさせて生み出されたオリーブハマチ。

それを使った海鮮丼、オリーブハマチ丼!

これを食べに“道の駅 じゃこや”へ。

そして「電車もまだまだだし気持ちの良い晴天だし、食後の運動兼ねて歩くかな」が発端である。

“じゃこや”から屋島駅、地図アプリで見たら分かると思うが食後の運動というにはハードすぎる。

そして本来のスタートは駅に着いてからなのだ。

この拷問ハードウォークには当時も気づいてたはずだが、普通にノリで即決してた。

旅先のテンションというのは恐ろしい、多分“旅の恥はかき捨て”との言葉にも通じるのではなかろうか?

しばらくして息も絶え絶え『やっぱ電車とバス使えば良かった…』と思ったが、それは無理だった。

屋島の麓にある、屋島神社。

思ったのがこの地点だったから。

もう手遅れな距離である。

息が絶え絶えのコンディションで屋島の登山をスタート。

休憩すりゃいいじゃん、って声もありそうだが、休憩できそうな場所が無かった。

しゃがむか突っ立ってるか、それか歩みを止めないか、の三択しか無かったのだ。

バスも通るだけあって完全なる舗装がされてるが急激な坂道、

そして“気持ちの良い晴天”なので太陽の光が身体全体に降り注ぐ、

なので体力を根こそぎ持ってかれる。

ポケモンで言うと、“こうかは ばつぐつだ!”でHPが黄色から急激に赤へ変わっていって「ヤバいっ、減りが止まんねぇ!」となっている状態。

つまり瀕死の一歩手前だ。

しかしそれでも頭は冷静。『このままだとチェックインに余裕で遅れる』、そう危惧して電話をかけた。

電話の向こうは新人だろうか、そんなフレッシュな感じのする女性。こちらは瀕死直前だからかハアハアと息遣いの荒い男性。

これは下手しなくても事案になってしまうかもしれない。

……

まぁ“旅の恥はかき捨て”と言うし、捨てとこう。

そして…

山上、屋島城跡に到着!

石垣の門が堂々建つ。

この絶景に度肝を抜かれ、自然とリアクションが声に出てた。

『すっげー!』と心では言ってたのに、感動に言葉が追いついかなかったのだろう。

「ずぁあぁ…!」と言ってた。どこの雑魚の断末魔だ。

そして絶景は体力を回復させる効果があるのか、瀕死直前のHPが瞬く間に戻っていくのを感じた。


威圧感もあるが芸術作品のようでもある、曲線の石垣の壁。

しかし見る時間には限りがある。帰りのバスがもう少しで最終便なのだ。

行きも徒歩だから帰りも徒歩でいいじゃん?帰りもこんなのやってられっかよ。

急ぎバス停へ行き乗り込むと、続いて息を切らしたお爺さんも入ってきた。

お爺さんも最終便へ乗るために走ったのだろう、息を切らしながら空いた席へ…。

それまではよくある光景。

問題は、お爺さんが動く度にズボンがずり落ちるのだ。バスに入ってから席に行くまでにスルスル下がって行き、腰からチン…根本が見えるか見えないかの位置まで下がり、とりあえずは事なきを得た。

しかし、行先を確認したかったのか途中で運転手の人に話しかけに動く。そして何故かズボンを直していない。

座ってた席から運転席まで、その間にも下がる。もうケツが半分出ている。

しかもマイク越しで声が聞こえたが、運転手は女性だ。お爺さんは半ケツで、前面はチン…棒部分が見え始めてるのではないか?

これは下手しなくても事案ではないだろうか。

戻る時には運良く引っかかって前面の下がりは鈍くなったが、後ろは半ケツどころか全開のケツだ。

そして目的の停留所で降りるのだが、やはりズボンはそのまま。

更にズボンは下がり、全ケツどころかズボンはもう膝に…。そう、ここまで来たらチ○コも全開だ。

運転手の女性もずっと言いたくてしょうがなかったのだろう。
お爺さんがバスの階段を降り切った瞬間、マイク越しに感情を吐いた。

「丸出しやないかいっ!!」

さすがは関西に近い地域、悲鳴や愚痴よりもツッコミが飛び出す。
しかもボケを泳がして泳がして…のここぞというタイミングで決めた。

降りた場所は住宅街、地元の人らしい。地元なら“旅の恥はかき捨て”とは出来ない、アレは“香川の恥”だ。

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