ベルリンの謎の祭りParkfest
ベルリンで数回目の長い冬を越し(住人になってからは数回目だけれど、この冬は何度も越したことがある)春をすっ飛ばしてまた新緑の季節がやってきた。ベルリンはサッカーの年は暑くなるのだそうだ。そういえば2016年も大変暑く、毎日30度越えみたいな感じだった。
さて、ベルリンで大切な日といえば東西ドイツ統一の秋、10月3日と5月1日メーデーである。エルストマイ(1stMai:ドイツ語のメーデー)はパンク精神の塊のベルリナーにとって正直大晦日よりもクリスマスよりももっと重要で意味のある日なのだ。
エルストマイのデモといえば伝統的にクロイツベルグ、オラニアンシュトラーセ(Oranienstrasse)が枕詞。毎年炎や爆音が立ち上り、警察が放水車でデモ参加者をぶちのめす。たまに警察がペッパースプレーなどでデモ隊を撃退しようとするので、その後に放たれる放水車の水しぶきはある意味シャワーとなって痛めた目を洗い流すのにはちょうどいいのかもしれない。こんなことが伝統的に何年間も行われているのだ。
エルストマイはクロイツベルガー、ひょっとしたらベルリナーにとってデモ以外にちょっと大切なイベントも並行して行われる。それはパークフェストというイベントで、日本大使館が「絶対にここには行かないように」と注意を促す悪名高いゲルリッツァパーク(Görlitzer Park)周辺でミュージックフェストが開催されるのだ…勝手に…。この日ばかりはベルリン中のミュージシャンがゲルリー周辺の公園やら店の前やらを陣取ってパフォーマンスを行う…勝手に…。自前のスピーカーを公園に配置してテクノパーティーだったり、バンドがプレイしたり、そんな中を敬虔深いトルコ人達のグループが5m毎にBBQしたり、ノイケルン、アルトトレップトウ、クロイツベルグのデルタ地帯であるゲルリッツァパークとシュレージッシュブッシュの間を通るランドベア周辺では本気で野外クラブを設営してパニックに陥りやすいヨーロッパ人が運河を渡す橋の上で全員パニックになって立ち往生になりとうとう警察にパーティー会場の中州に行く橋の両端を封鎖されたりどえらいことになる。
とにかく、このエルストマイという日はベルリンの警察にとって最もストレスフルな1日であり、ドラッグディーラーにとってハード系のドラッグが一年で一番売れる日のうちの一つだそうだ…最上客である警察官達に。
ところでパークフェストというのは全くもってよく分からない。去年まではミュージシャンが勝手に音楽をいたるところでプレイしていただけなのだけれど、今年からはとうとう公園のすべてのゲートが閉鎖され、飲み物等の持ち込みは禁止。だけど中ではゲルリー名物のドラッグディーラーが行政の保護のもと一年で一番安全にドラッグを販売できる日となったようだ…。酒もドラッグも持っていない入場者はもうこの中ですべてを入手するしかないので、公園内に設営されたいくつかのフードバンに嘘のような長い列を作りながら一杯のビールを買うために並ばされ、そしてディーラーからドラッグを調達する。なんで閉鎖したんだろう?なんか異様。ジャンキーと酔っ払いをテクノサウンドと一緒に封鎖している感じ。外は年老いた酔っ払いとかファミリー層が公園の周りの出店を占拠している…
…というわけで、ハンブルグで2017年に行われたG20のデモ隊を囲んだばりの警察官がクロイツベルグのすべてを封鎖していた…カプチーノ飲みながら…
午後になったら歩道で堪えられなくなった市民たちが道路に繰り出して道路は完全に封鎖され、街全体がパーティー会場となった…
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