アイスクリーム⭐️スーパーマリオブラザーズ
ある意味夢のような仕事なのか、それとも厳しい仕事なのか…ベルリンっ子が愛してやまないアイス屋さん「Eiscafe」が街に戻ってきた!3月中旬くらいから10月の中旬くらいまで営業し、「また春になったら会いましょう」という貼り紙をある日突然店の前に下げ、街から忽然と姿を消してしまう。なんでお店の前に特大アイスのオブジェが出て、シャッターが開き、自慢のアイスを店先のショーケース冷蔵庫の前に並べて営業が開始すると、「わー、お帰りなさい」とお店に入って大好きなピスタチオアイスをオーダーするのだ。
さて。クロイツベルグはトルコ派とシチリア派の2大アイス派閥があり、それは同じアイスクリームという信仰なのにシーア派とスンニ派くらい違いがある。いや、カソリックとプロテスタントか。クロイツベルグはベルリン3大トルコ人街で、みんなピザ屋はイタリア人がやってると思ってるだろうけど実はトルコ人がやっているトルコピザなのだ(この話は絶対別の機会に書きたいと思う)。アイス屋さんもトルコ人の店があり、超ヤクザな方法で近所のヒップスター経営のアイスクリーム屋をぶっ潰しに来る…ヒップスターの店が「ヴィーガンアイスバー」を3ユーロで売り出したら同じタイプのアイス「フローズンヨーグルト」トルコバージョンを開発(アイディアを盗んだ感じ)し、でっかい看板と共に1.9ユーロで超アピールして客を掻っ攫う…トルコアイスは値段はそこそこするけどその代わり大盛りでワッフルでできたカップにアイスをたっぷり持ってくれて常に盛況で警察もアイスを買いに来るくらい。
一方、クロイツベルグ・ノイケルンは「ひょっとしてドイツ語話せなくてもスペイン語とイタリア語話せたらすめるんじゃね?」または「もうお前、ドイツ語学校行くのやめて、スペイン語習えよ(このイタリア語バージョンもある)」とか言われるくらいスペイン人とイタリア人がたくさんいる。んなわけかどうか知らないけど、クロイツベルグには「いや、アイスといえばイタリアですよ、しかもアイスじゃなくてジェッラードです」とイタリア人経営の老舗アイスカフェもたくさんある。
私はめっぽうイタリア人経営の「ジェッラード」(いや、本当はジェラードなんだけど)屋さん贔屓。子供相手の商売なのに手作りで頑固っぽい感じとか好き。お気に入りが幾つかあって、ピスタチオフレーバーのアイスを1日3つもハシゴしながら食べ比べする。とにかくアイス屋さん、いっぱいあるから。
4月にとうとう一番お気に入りのアイスクリーム屋さんのシャッターが再び開いてあのでっかいアイスクリームのオブジェが軒先にドーンと置かれていた。おぉ、街に戻ってきたんだ。早速アイスを食べに行ったら、去年見習いだった女の子が戻ってきてて、久々過ぎてめちゃ大盛りに持ってくれて「ああ、仕方がないわ、もうサービスよ」と2クーゲル分の値段で売ってくれた…どう考えても3クーゲル半くらいは盛ってある…こっちも3クーゲル分のお金を渡す。釣りは取っておいてください。
その後もすでに数回行ってるんだけれど、そういえば私、オーナーにまだ会ってないかも。オーナーは赤い巻き毛で口ひげを蓄え、どう考えても私より若いんだと思うんだけどスーパーマリオに似ている。彼は私のことを覚えてくれるから、毎回おまけしてくれたり、スモールトークしたり結構楽しい。もともとお父さんが経営していた店を引き継ぎ、ヴィーガンのアイスとか旬のフルーツを取り入れたアイスとか次々開発して、どれもが美味。スイカ、メロンのアイスは本当にフルーツを食べてるみたいなんだけれどやっぱりジェラードで不思議な感覚で夕方になると絶対行ってしまう。
メーデーのちょっと前の週末にクラブに行く前にちょこっと寄ってみた。ノイケルンに住む彼氏がそこのアイスを食べたことがないっていうので、天気が良くて暑くてすっごい行列だったんだけどどうしても食べたかったし食べてもらいたかったので結局列に加わった。例の金髪坊主の女の子とグリーンのシャツを着たオーナーがテンパりながらお客をさばいてるんだけど、オーナー、なんか盛るのヘタ。私の番になったけれど覚えてないみたいだったので、お勘定していたら、うしろから「あー、来てくれたんだねー、ありがとう!」と赤毛のマリオがやってきて声をかけてくれたからびっくりした。えっ、えっ、なんで二人いるのー?とびっくりしちゃったら「これ弟なんだよー」と紹介してくれた。緑のシャツでちょこっと色白なのでまさにルイジみたいだった、笑える。
なんで、私のお気に入りの店のマリオには実はドッペルゲンガーみたいな弟のルイジがいることを知り、ますます気に入ってしまった。スタンプカードももらっちゃったので、また通わなくては。
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