準備期間はわずか4ヶ月!?フルリモート企業の海外展開の進め方
こんにちは。1500名以上が23ヶ国、47都道府県でフルリモートワークをする株式会社キャスターです。
先日、初の海外拠点をドイツに開設し、その後はドバイにも事業展開していくことを発表しました!
また、8月1日より、企業の業務支援をオンラインで行う「CASTER BIZ」のサービス提供をドイツにて開始する予定です。
今回は、海外事業を担当する取締役CFO/CSO・川村さんとGlobal team・亀谷さんにドイツ拠点設立エピソードを聞きました。
フルリモート組織がグローバル展開するのは必然だった
ーーまず、どうしてキャスターが海外に事業展開することになったんでしょうか?
川村:そもそも「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げているキャスターが、海外に展開しない理由がないんですよね。
キャスターは創業(2014年)からフルリモート組織です。リモートで働ける環境が前提なので、そもそもエリアの制約はないはずです。なので、今回の海外展開も特別なことではないと思っています。
今は、国際的にも国をまたいだ雇用や、フルリモートワークを前提としたリモート雇用が活発になってきていますし、いいタイミングだと思ってます。
ーーなぜ、ドイツが最初の拠点に決まったんでしょうか?
あらゆる観点でさまざまな国を検証した結果、ドイツに決まりました。
人口や人件費、拠点の設置しやすさ、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング。「CASTER BIZ」はBPOサービスです)普及状況ーー、また、現地在住のメンバーがいることもポイントになっています。
ドイツは、労働者を守るための法律が非常に厳しい国です。解雇規制が強く、人を雇用することが簡単ではないんですね。労働時間もヨーロッパの中でも少ないことで知られていますし、フリーランスへの報酬も高くなります。だからこそ、雇用ではなくアウトソースという点で「CASTER BIZ」のサービスを使っていただけるニーズを感じました。
また、ベルリンはスタートアップのハブとして成長し続けている都市で、スタートアップの数が多いというのも理由の1つです。
「CASTER BIZ」のクライアントは、現地企業・スタートアップの成長企業をメインに考えていますが、日本と同様、多くのスタートアップ企業はバックオフィス業務、特に人事や経理スタッフの採用に課題を抱えています。人事や経理業務をアウトソーシングすることは、人材を雇用することなく、人手不足を解消する1つの手段となり得ます。
幅広い業務をアウトソースできる「CASTER BIZ」には、チャンスがある市場だと考えました。
準備は実質4ヶ月!スピード展開できた理由はリモートワーク
ーーいつ頃から準備を始めたんですか?
川村:以前からグローバル展開の構想はありましたが、本気で海外事業を動かそうという話が出たのが今年の1月下旬ですね。
そこからメンバーを集めて、キックオフミーティングを3月に行いました。準備期間は実質4ヶ月です。
ーー4ヶ月!? こんなにも早く進められたのには、何か工夫があったんでしょうか?
川村:スピーディに成し遂げられている理由は、やはりリモートワークが大きいと思います。
一般的には、海外拠点を設置する際、まずは駐在員事務所を設立して社員を現地に派遣することが多いと思います。でも、私たちはリモートワーク企業なので、駐在員0でスタートしました。ヨーロッパにキャスターのメンバーが多数在住していたことも支えになっています。
また、もともとリモートでサービスを提供していることから、海外のクライアントからの依頼に既存のメンバーで対応できるので、サービス開始もスムーズに進められます。日本で開発・使用しているシステムを海外でもそのまま使えたことも大きかったですね。
そして、海外事業を進めるために作られたチームは、最初は代表の中川さんと私を入れて6人でしたが、全員が他の業務と兼務していて、それぞれ30%くらいの工数しか海外事業の業務には充てていません。実質2名弱で進めてきたと言えます。
チャットで業務を行うことが多いリモートワークですと、並行して複数の業務を進めることができますし、意思決定も早いんですよね。
ーー非常にスムーズに見えますが、壁にぶつかったことはありませんでしたか?
川村:時差問題はありますね。日本とドイツの時差は7時間あり、現地メンバーとのチャットではタイムラグは発生します。
もう一つ挙げるとすると、やはり採用ですね。でも、少しずつ応募も集まっていて、この壁は乗り越えつつあります。今のところ、ドイツ在住の日本人の方から応募がきていますが、現地の方の採用はまだ進んでいないので、そこは課題です。
「日本からドイツへ進出」ではなく「ドイツの現地企業」としての意識
ーーどんな人に入社してもらいたいですか?
川村:現地の方に入社していただきたいです。ドイツ人の方もぜひ入っていただきたいなと思っています。
というのも、キャスターは日本企業が海外進出するというのではなく、ドイツの現地企業として、拠点を作る気持ちで海外展開を進めています。
ドイツ企業を作りたいのに社員が日本人だらけというのは、言っていることとやっていることにギャップが生じますよね。初めに日本人メンバーが増えてしまうとローカルの方が入りづらくなると思いますので、うまくバランスをとっていきたいです。
入社には英語は必須ですが、日本語は話せなくても大丈夫です。チーム内では、ミーティングやチャットも英語を社内公用語としています。
ーーベルリンのどんな街にオフィスを借りたんですか?
亀谷:Schöneberg(シェーネベルク)にある閑静な住宅街です。6月に出張で行った際に周辺を散策してみたのですが、素敵なカフェが多く、少し歩くと教会や噴水もありました。
亀谷:犬の散歩や、サイクリングしている人もいて、穏やかで心地よい街だなと感じました。
契約したシェアオフィスには、野菜や果物のフリーゾーンがあったり、テラスもあり、雰囲気のよいところですよ。
出張中は、ドイツ料理やフュージョン料理を食べました。また、ドイツといえば、ビール!ノンアルコールビールも豊富で、ランチタイムにはノンアルコールビールをレモネードで割ったものにトライしたりしました。私は、あまりお酒は飲めないのですが、これは美味しかったです。
一番印象に残っているのは、オフィス近くにある有名なアイスクリーム屋さんです。猛暑の昼下がりに人気のアイスを求める住民が大行列を作っていました。
ーーキャスターはフルリモート組織ですが、借りたオフィスはどんな役割になるんでしょうか?
亀谷:フルリモートワークの会社ですが、物理的な拠点があることで現地のリモートワーカーがキャスターへの就業を決める安心材料にもなれば嬉しいです。ベルリンにいるメンバーは仕事場の選択肢として気軽に利用もできますし。
ーー現地に行ってみて気づいたことはありますか?
川村:個人データ保護や取り扱いが非常に厳しいことを改めて実感しました。EUにはGDPR(General Data Protection Regulation / EU一般データ保護規則)という規則があり、個人情報の扱いについて厳格に定められています。
さらに、労働法や派遣法が厳しいことは「CASTER BIZ」にとってはチャンスとなる一方で、自分たちの組織を運営する上で慎重さを求められるところでもあります。
さまざまな制約のなかで、いかによいサービスを設計し、提供していけるかが重要です。
ーーカルチャー面で印象に残ったことはありますか?
亀谷:数日の滞在だったので、まだ率直な印象として言えることですが、そしてもちろん人によりますが、個人的にはドイツの方の笑いのツボがひょっとして日本と近いのでは?と思いました(笑)。
これから一緒に仕事をしていくなかで、実際はどうなのかしらと深く知っていきたいです。
川村:私は、日本と違い、日曜日にスーパーが空いてないことにびっくりしました。空いているお店もありましたが、少なかったですね。
亀谷:その代わりというわけではないですが、土日は街のあちこちで蚤の市が開かれていて、人出も多くにぎやかでしたよ。
ーーグローバル展開で、キャスターは今後どう変わっていくでしょうか?
川村:原理原則は変わりません。今までやってきたことを海外でも愚直にやるだけです。
現地の法律に合わせて対応すべき点はありますが、基本的な考え方は同じで、私たちはリモートワークを当たり前にするために会社を運営しています。
リモートワーカーに働く環境を提供し、スキルにあった適正な報酬を払うために会社として利益を上げていくーーこれまで日本だった市場を海外にも広げるだけのことと思っています。
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