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高校時代の、思い出の店、再び
高校時代、3年間のほとんどを部活漬けで、ろくな青春は送って来なかった自分
そんな自分にも、部活を辞めて卒業までの半年だけ、自由な時間があったのです
仲のいいクラスメートと土曜日の午後、飯を食って、友達の家で遊んで帰る
半年だけですが、そんな青春時代があったのです(付属校だったので、大学受験とかの心配がなかった)
土曜日の午後になると、途中下車して大きな駅で降りて、適当に飯をみんなで食べる…
食べ盛り、そして、基本的に貧乏人、そんな学生が行く店として使われていたのが、今回の舞台
「シェーキーズ」
いわゆるピザの食べ放題…ですね。
当時(今から約25年前)は、ピザと言うのは、まぁ、今と変わりませんね
昭和時代だと、喫茶店とかで「ピザ」というと、ピーマンにサラミ、玉ねぎか何かを載せて、トマト風味のピザソースとチーズ、いわゆるピザというものはその一種類だったのですが、平成になると、今とは変わりません
今と変わらないとはいえ、今ほど気軽にサイゼリヤで…というほどサイゼリヤがあったわけでもなく、学生の時分には1枚で満足できるわけもなく、この店がチョイスされるわけです
1000円程度のお金で腹一杯ピザを食わせてくれる。学生にとっては、これ以上ありがたい存在は、ないわけで…
扉を開けて店内に入ると、薄暗い店内、大きなカウンターがあって、そこには多種多様のピザとポテト、スパゲティやサラダバーが置いてある
客はそれぞれ適当に、好きなだけピザだのポテトだのサラダだのを取ってくるという、いわゆるバイキングスタイル
まるで給食か配給か…という感じで、並んで取っていく
チーズだけが乗ったピザ、フルーツが乗ったもの、いわゆるオーソドックスなサラミとチーズのピザ、様々なピザ。
ピザの脇には、パスタが置いてある
バジル、明太子、ナポリタンなど…
あとはポテトに、サラダバーのサラダ…
それらを腹一杯になるまでひたすら詰め込むのだ…
「お前、ポテトで腹膨らましたらもったいなくないか?」
「そのスパゲティどうよ?。こっちのバジルの、結構いけるぞ」
「甘いピザ…ね。まぁ、食えなくはないけど…」
「結局、いろんなピザ喰っても、最後はチーズが載っているオーソドックスなピザに戻ってくるものだな」
「というか、ポテトうめえ。これに手を出したら元が取れなくなるのは分かってるけど、罠なのはわかってるけど…」
「口直しにサラダ…。ここで豆やトウモロコシは腹に溜まるからチョイスしちゃいけないのは分かってるけど…」
「結構食ったな。この後どうするよ?」
「ゲーセンは金ないしな…。お前の家、今日、大丈夫?」
「行ける行ける。来るなら来いよ」
こんな馬鹿話をしながら、笑いあい、話しあい、食べる…
正直言って、すごい美味しい!という店ではなかったが、皆でワイワイ馬鹿なことを言いながら、信頼できる連中と食べる飯は、美味かった。
この時間よ、永遠に…。と、口には出さなかったが、皆が思っていたと思う
……さて、時は流れて25年後
身体を壊した自分は、嫁に付き添われて、1月に1度病院に行くために、池袋に行くことになっている
そこで見つけたお店「シェーキーズ」
懐かしいなぁ…などと、嫁に昔話などをしながら、店に…
…店舗は違うが、やってることは、25年前と同じ…
あぁ、そうそう、こんな感じにピザが並んでいて…
で、ポテトもあるある…懐かしい…
違うのは、店が少し明るくなっているのと、今は当時の25年後という事だけ…
そう、25年後なのだ…
あのころとは、食べられる量も違う…
「たったこれだけで?」という量で、撃沈
元を取るとかそういう話じゃない。食えなくなっている…
一抹の寂しさを抱えて、店を出る…
全ては過去になってしまっているのだ…
胃袋も身体も、25年後なのだ…
あの頃のような頑健さは、もうない……
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