バブルの頃#182:人材紹介所訪問事例
IBMが日本発のThink Pad やIBM HomePage Builderを販売していた頃の話です。
会社が現職社員の転職活動を奨励しているという感触を得たので、就業時間中に次の職探しをはじめました。いくつか訪問した中で、ミスマッチのケースをまずご紹介いたしましょう。
事例-1
人材紹介会社は、東京では赤坂、麹町、大手町、新橋、広尾などに多いようですが、訪問した会社は、麹町あたりで1Fに文房具屋があるビルの3階にありました。
インターネットで求人状況を調べ、メールで業務履歴書を送ったところ、面談したいとのことで、多少のリスクを負って平日の午後アポをとりました。
受付がありませんでした。近くのデスクに座っていた女性に取り次ぎを依頼したところ、玄関ホールわきのコーナーで代表取締役が対応してくれました。待っている間に電話がなりました。ところが、デスクに座っていた女性は電話をとりません。電話をとらずに私用電話をはじめました。やっと、代表取締役が電話をとりました。この辺で、違いに気づき帰るべきだったのですが、急ぎの用もなかったので、そのまま待っていました。ヘッドハンティング会社に呼ばれたことがある方はよくご存知かと思いますが、外資系の人材紹介会社は不釣合いなほど贅沢なオフィスを構え、受付には帰国子女みたいな女性がいて、個室に通されコーヒーなどがサービスされます。今回は、あまりの格差にサプライズでした。
事前に送った業務経歴書をプリントアウトするのに時間がかかったようで、20分ほどまたされた後、代表取締役があらわれ面談がはじまりました。まず、転職の難しさをご自分の体験談を中心に説明してくれました。外資系の会社に転職したときの惨めな処遇を本にしたとのことで、ご本人が執筆された新書版の転職関連書籍を見せてくれました。
本人の話によると、ドイツ系の日本支社それも九州の地方都市で仕事をされたそうです。ドイツ人が優遇され、現地採用の日本人は安い給料で働かされ、待遇も悪いと20分ほど説明してくれました。当時の事務所の配置図(いかにドイツ人が広い個室で快適で、日本人が大部屋に押し込まれているかが表現されています)もありました。
外資の職場環境は、5年ほど経験済なので事務所の配置図などよくわかりました。そして、人材紹介会社を経営しているこの人物の前職は、外資系企業の地方支店で中間管理職であったとお見受けしました。私はドイツ本社採用で日本に出向したので、この人のようなB級の現地採用社員を何人も解雇した現場にいました。私の履歴を読み始めて、やっとお気づきになったようです。お互い、会う必要がなかったことがわかりました。あたりを見回したところ、想像できたのは、この会社の商材は日本企業から外資に転職しようとするサラリーマン暦2~3年の若い人材ではないかということでした。このレベルで商売が成り立つなら、人材紹介会社に登録するのではなく、ヘッドハンティング業務をするほうがまだチャンスがありそうな気がしました。
そういうわけで、訪問目的は未達で失敗でしたが、相手が何を商っているかを知ることが必要ということを学習しました。