第105回全国高校野球選手権大会 ダークホースはここだ!
第105回 全国高校野球選手権大会
ダークホースはここだ!
大会の展望
今年もいよいよ「夏の甲子園」が開幕する。
今大会の展望としては
優勝候補は仙台育英(宮城)
という考えが一般的だろう。
仙台育英を追うのが
広陵(広島)
智弁学園(奈良)
履正社(大阪)
浦和学院(埼玉)
慶応(神奈川)
上記の5校をわずかな差で追うのが
沖縄尚学(沖縄)
日大三(西東京)
専大松戸(千葉)
愛工大名電(愛知)
花巻東(岩手)
九州国際大付(福岡)
八戸学院光星(青森)
これら13校が中心となって選手権大会を彩る
こう考えるファンが大半だろう。
ただ私が夏の高校野球を観戦するにあたって、最大の楽しみは
旋風を巻き起こすダークホースはどこだ?
という点である。
近年では昨年の下関国際や、2021年の近江、2018年の金足農、2016年の北海
惜しくも優勝には手が届かなかったものの、その健闘の記憶は時に優勝校以上の輝きを放つことがある。
美しき敗者に当たるスポットライト
選手たちの「一夏の輝き」に我々高校野球ファンの胸が熱くなり、その懸命な姿からパワーをもらう、これこそが古くから日本で愛される高校野球の醍醐味ではないだろうか。
今大会の特徴
全地区の地方大会を観戦して感じたのは
今年の出場校に弱いチームは無い
という点だ。
「優勝候補と目される学校と、前評判の高くない学校との戦力差が大きく開いていない」
とも言い換えられる。
それだけに今大会は例年以上に接戦が増えるのではないだろうか。
そして接戦が増えた結果、延長10回から導入されるタイブレークが大会を大きく左右することになるのかもしれない。
上記から
今大会はダークホースが旋風を起こす可能性が高いのではないか
と筆者は考える
今大会のダークホース
今大会の出場校に弱いチームはない。
それだけにダークホースとなり得る高校が多いのだが、今回は戦力的にも歯車が噛み合えば一気に上位も狙えるのでは?と感じた3校を独断と偏見でピックアップしたい。
①文星芸大付(栃木)
旧校名の宇都宮学園時代から、数々の強豪校の勝ち上がりを阻んできた「ザ・ダークホース」とも言える学校だが、今年も戦力的には面白い。
エースの渋谷は球威があるタイプでは無いが、左腕からキレの良い変化球をコントロール良く投げ分ける安定感が光る。そして背番号10の工藤、11の2年生堀江と3本柱が安定しているのが大きい。
中でも2年生の本格派右腕の堀江は、力のあるストレートと曲がりの大きいスライダーが武器の好投手でこれからの成長が非常に楽しみな選手だ。
打撃陣も曽我、小林、黒崎の中軸は力があり、俊足の大塚、篠崎と個性的な選手が並び、栃木大会ではチーム打率.394の好成績を残した。
そして闘志を全面に出す捕手の黒崎、グラブ捌きの柔らかい大塚、曽我の二遊間、俊足のセンター篠崎とセンターラインに強固なタレントが揃っており、優勝候補とも互角の試合展開に持ち込める戦力とみる。
一方で、栃木大会では軟投派の投手を打ちあぐねて苦戦するシーンが見られた点が懸念材料でもある。
②浜松開誠館
近年静岡県内で上位の常連となり頭角を現していたが、晴れて甲子園初出場を果たした。
外野手として中日ドラゴンズにも在籍し、2008年には常葉菊川を甲子園準優勝に導いた佐野心氏が監督を務める。
そして同じく中日ドラゴンズで投手として在籍した古池拓一氏、小島弘務氏がコーチを務める。
一時期は中村紀洋氏がコーチを務めた事でも話題になった。
ベンチばかりではなく選手も非常に力がある。
チームの最大の武器はタイプの異なる3本柱の投手陣だ。
エース右腕の近藤は140キロ台後半のストレートが武器。平均球速も常時140キロ台を計測し、試合終盤でも速球で押し込める本格派右腕だ。個人的には今大会で最も注目している投手の1人である。
また控えの松井、広崎の両サウスポーもなかなかの好投手だ。
背番号11の2年生松井は非常に早いテンポからコントロールよく内外に投げ分ける制球力が武器。
普段はレフトを守る広崎は140キロを越える速球派のサウスポーだ。
一方で打線は長距離砲こそいないものの二塁打が多いのが特徴的だ。中でも深堀、広崎の1、2番で計9本の二塁打を放っている点に注目したい。
初戦の相手は東海大熊本星翔。
こちらも非常に力があり、今大会のダークホース対決で非常に楽しみな一戦だ。
③徳島商
板東英二、川上憲伸と言った本格派右腕を輩出した徳島商に、また1人楽しみな本格派右腕が出てきた。
それが今年のエース森である。
ストレートは最速149キロと言われているが、特筆すべきは球速ではなく球威だ。183cm、89kgの堂々たる体格から投げ下ろすストレートには非常に力があり、45イニングを投げて四死球10と制球力もある。投手を始めたのは高校になってからと伸びシロも大きく将来が楽しみな好投手だ。
複数投手が必須と言われる現代高校野球において、森は1人で徳島大会を投げ抜き、全試合を1失点以内に抑える安定感を見せた。
しかも対戦相手は小松島、城東、川島、阿南光、鳴門と全チームが甲子園経験のある学校であった点にも触れておきたい。
打線は1試合平均4点。
平均というよりも、全試合が4得点だった。
決して「破壊力がある」とは言えないが、2年時から中軸の3番の森口を中心としたコンパクトなスイングで低く強い打球に徹した打線は粘り強い。
2年生の2番横手が非常に俊足なだけに、1、2番の出塁が鍵を握ると言えるだろう。
初戦の相手は強豪の愛工大名電。
戦力では劣るが、ロースコアの接戦に持ち込めれば勝機が見えてくる。消耗の少ない初戦なだけに森の投球次第では「あるいは?」と思わせるダークホースと言えるだろう。
まとめ
今回は3校をピックアップしたが、上でも述べた通り今大会は上位チームと下位チームの戦力差が小さく「ダークホース」と呼べる高校が多く存在する。
クラーク国際、北海、日大山形、立命館宇治、英明、東海大熊本星翔・・・
と上記3校以外にも紹介したいチームが多数ある点はご了承願いたい。
甲子園ラボ