国学院久我山vs大阪桐蔭 センバツ準決勝 どこよりも本気で見どころ紹介
第94回選抜高校野球大会
準決勝 第2試合
国学院久我山(東京) vs 大阪桐蔭(大阪)
泥臭く王者に食らいつけ
自慢の全員野球!
準決勝第2試合は東京vs大阪の対決となった。
秋の明治神宮大会でも優勝し、今大会でも圧倒的な強さを見せる大阪桐蔭に対して、初のベスト4進出を果たした国学院久我山がどのように立ち向かうかが注目される。
組み合わせ上、日程的に厳しいゾーンに入った大阪桐蔭だったが2回戦の広島商戦が不戦勝となり、思わぬ形で消耗が少ないまま準決勝にたどり着く事が出来たと言えるだろう。
また国学院久我山も試合は3試合こなしているものの、複数の投手を上手く継投させての勝利が多く疲労面の試合への影響は無いと見る。
投手力分析
国学院久我山はエース右腕の成田と渡辺、松本のサウスポー2人を合わせて3人のリレーで勝ち上がってきた。3人ともタイプは違うがそれぞれ安定感があり実力的にも遜色ないと言えるだろう。
エース成田は今大会14イニングで4四球と制球が良く打たせて取る印象だ。
リリーフも渡辺は変化球、松本はストレートの球威を武器とするサウスポーで、タイプの異なる3投手がいるという点が大きな特徴だ。
ただ甲子園での3試合で6失策を記録した守備には課題が残る。相手の大阪桐蔭は打球が早く、内野陣に綻びが出るようであれば一気に隙を突かれるだけに気をつけたいところだ。
3投手の継投で大阪桐蔭打線に的を絞らせない展開に持ち込みたい。
一方の大阪桐蔭は初戦で好投した背番号10の川原の先発が濃厚と見る。140キロを越える力強いストレートと右打者の外角に決まる鋭いスライダーが武器の長身右腕だ。
控えにもエースナンバーの別所、市和歌山戦で登板した前田、南の2年生2人も控える。と 全員が甲子園でも素晴らしい投球を見せた事からも、質量ともに磐石の布陣であると言えるだろう。
パックの守備面も2試合でノーエラーと投手を盛り立てている。内外野とも守備範囲、グラブさばきともに申し分なく、まさしく王者と呼ぶに相応しいチームだろう。
打力分析
国学院久我山打線の特徴は何と言っても機動力と粘り強さである。初戦からセーフティバントやスクイズも多用しており、大阪桐蔭としても当然警戒してくるだろう。
また機動力でうまく走者を進塁させ、2アウトから粘り強く得点してきた点も見逃せない。
中でも1番の斎藤は巧打で脚も速く、このチームを具現化している好選手だ。
9番の萩野、3番の木津と俊足な打者が当たっている強みを生かしたい。
また星稜戦では今大会苦しんでいた4番の下川辺がホームランを放ったのも明るい材料である。
一方の大阪桐蔭は初戦の鳴門戦では好投手のサウスポー冨田の前に右打者が苦しめられた。しかし準々決勝では1試合6本塁打の大会記録に並ぶ強打を見せつけ17点をあげた。
中でも1番伊藤、準々決勝で4番を務めた丸山、7番キャプテンの星子の3人が絶好調と、上位から下位まで息が抜けない強力打線だ。
とは言え、このチームの打の中心はやはりプロ注目の捕手松尾とセンター海老根の2人である、今大会は当たりが止まっているが準々決勝では終盤にようやく海老根に本塁打が飛び出し、復調の気配もうかがえる。
この試合の見どころ
投打ともに戦力は大阪桐蔭が優位なのは否めない。
特に市和歌山の好投手米田、淵本を攻略し6本塁打17点をあげた打線は、国学院久我山にとっては脅威だろう。
ただ大阪桐蔭が同じように大量得点を挙げて簡単に決勝進出を果たすかと言えば、そうとも限らない。
高校野球で大量得点の次の試合というのは、なかなか打てないものだ。
これには2つの理由が考えられる。
まず1つは打者の振りがどうしても大きくなってしまうという意識面。そして2つ目は各打者の得意な球のデータを対戦相手チームが得られる点だ。
現に2018年に根尾、藤原を擁した大阪桐蔭は準々決勝で花巻東に19-0で圧勝した後、戦力で大きく上回ると見られていた次の三重戦で延長12回3-2と大苦戦している。
西谷監督は当然気を引き締めてくるだろう。
この試合のポイントになるのは何と言っても、「国学院久我山の3投手が大阪桐蔭打線をどう抑えるか」に尽きるだろう。
その為には立ち上がりから球速差のつけた変化球を上手く使い、左右高低だけでなく前後にも揺さぶる配球を心がけたい。
また打ち込まれる前に先手で継投に入る事が出来るかにも注目したい。
国学院久我山としては点差が開くと、得意の機動力の効果が出ない。何としても僅差に持ち込み、得意の機動力で揺さぶって大阪桐蔭に気持ちよくプレーさせない展開にする必要がある。
その為にもここ3試合で多かったエラーをいかに無くせるかが大切となる。
逆に大阪桐蔭は普段通り、試合前半から甘い球を積極的に振りに行きプレッシャーをかけていきたい。準々決勝で打線は大当たりだったが、大振りする事なくコンパクトに低い打球を心掛けられるかがポイントだ。
国学院久我山は笑顔が絶えず、尾崎監督をはじめとして試合中でも良く声が出る雰囲気がとても良いチームだ。
バックが積極的に声をかけ、投手を盛り立てて何としても王者に食らいつく姿勢をみせて欲しい。
臨時コーチを務めたイチロー氏もその立ち向かう姿勢を見ているだろう。
ここは甲子園、恩返しには最高の舞台だ。
失うものは何もないはず。
王者に臆することはない。
泥臭く接戦にさえ持ち込めれば勝機は生まれてくるはずだ。