エアコンの市場規模、どのくらいですか?【コンサル面接解答集/フェルミ推定】
はじめに
ケース面接対策道場のケース侍田中です。
ケース面接対策でうまくいかないことが続くと、「自分は頭が悪いんじゃ…?」と自己嫌悪に陥ってしまうことってありますよね。
私も、以前そうでした。
自分がケース面接対策で苦労した経験から、わかりやすい丁寧なケース面接対策のコンテンツを発信しています。
この解答例は良問を選んで、解答したものです。
実際の面接のディスカッションを想定して作られており、各ポイントも記載されています。
一連の流れ、考え方をぜひケース面接対策の参考にしてみてください。
こちらは前回の記事になります↓↓↓
問題1:エアコンの市場規模推定
面接官「本日の初めのお題は、国内エアコンの市場規模を推定して下さい。5分で考えて下さい。何か質問ありますか?」
(1)前提確認
田中「エアコンの定義を擦り合わせさせてください。
エアコンと一口に言っても、
・業務用
・家庭用
にまず大別されます。
今回は、市場規模のボリュームも一定あり、身近な家庭用エアコンの市場規模算定でよいでしょうか?」
面接官「そうですね、家庭用エアコンでよいです」
田中「承知しました。さらに、家庭用エアコンは、一般家庭の他、飲食店や個人事業主の事務所にも設置されていると思います。
家庭用エアコンの市場規模の過半は一般家庭に設置されているエアコンと捉え、今回は”一般家庭に設置されている家庭エアコン”の算定でよいでしょうか?」
面接官「はい、田中さんの設定で大丈夫です。他に質問なければ、初めて下さい。」
田中「承知しました」
(2)算定式とその数値の根拠を述べる
面接官「いかがでしょうか?」
田中「結論として1兆1,000億円になります。算定式、セグメント分け、数字の根拠の順で説明します。
・算定式
算定式ですが、一般家庭が購入数する、家庭用エアコンの販売数量/年×購入単価で考えています。
販売数量/年は更にブレイクダウンし計算しました。
家庭用エアコンの市場規模=
販売数量/年(➀世帯数×➁エアコン設置割合×➂エアコン設置台数/世帯÷➃買替年数)
×➄購入単価
としています。
・セグメント分け
次に、➂エアコン設置台数/世帯、➄購入単価は、世帯の構成人数で差が出ると考えました。エアコンの設置数とエアコンの大きさは、部屋の広さと数で分かれると考えられるためです。ですので、セグメントは単身、複数世帯で分けて考えました。
・数字の根拠
数字の根拠について、因数順に説明していきます。
➀世帯数
統計データを基に、人口1.2億人のうち世帯平均人数を2.5人として、全世帯を5,000万世帯から出発しました。そのうち、単身世帯が3割の1500万世帯、複数世帯が7割の3,500万世帯になります。なお、複数世帯の世帯平均人数は3名になります。
➁エアコン設置割合
夏にはエアコンが設置されていないと熱中症で命に関わる認識が醸成されていますので、全世帯100%と仮定します。
➂エアコン設置台数/世帯
単身、複数世帯分けて考えました。
単身世帯は1台、複数世帯は2.5台と仮定しました。
➃耐用年数
一般的な家電の耐久期間は10年程度と記憶しており、そちらを採用しました。
➄購入単価
単身、複数世帯分けて考えました。
部屋の大きさで、エアコンのサイズ、出力の強さが変わると考えたためです。
単身世帯のエアコンは7万円、複数世帯は15万円としました。
算定すると、1兆1,000億円になります。
(3)因数の深堀
面接官「概ね良いと思います。気になる点があるのでいくつか質問させてください。➂エアコン設置台数/世帯を単身世帯1台、複数世帯2.5台とされた根拠を説明してもらえますか。」
田中「そうですね、単身世帯は1Kが多いと思いエアコン1台としました。複数世帯は3人世帯が主になると、2LDK~3LDKの住居がメインと考えました。リビングに1つ、寝室に1つはどの世帯もあると考えました。
一方で、残り1~2部屋の全てにエアコンが付いていなことも、自分の実家や、友達の家に行って感じています。半分の家庭は2つ、半分の家庭は3つ、間をとって2.5台としました」
面接官「いいですね。耐用年数10年と置いて頂きましたが、エアコンは修理では直せず、壊れた時に新規を購入するイメージでしょうか?」
田中「はい、そのイメージでしたが、改めて考えますと、ニューモデルが販売されての購入機会もあると思います。
iPhone、車の様なデザイン性での購入需要はなさそうですが、省エネといった機能面の向上によっての購入需要はあると思います。
ですので、“耐用年数” (=壊れての買替え)ではなく、“買替年数”(=壊れての買替え+ニューモデルでの買替)と捉えるのがより適切だったと思います」
面接官「分かりました。➄購入単価は新品をイメージされましたでしょうか?」
田中「はい、新品をイメージしました。
ですが、価格.comに代表される様に中古市場も流通しており、そちらも加味出来ればより適切だったと思います。
なお、私の体感ですが、エアコンの様な10万円以上する高単価の商材で、取り付けの手間暇を要することから、購買時において、現物を一度店員の顔を見て説明を受けるプロセスがあり、かつ、エアコンの設置も請け負ってくれ取り付けもしてくれる家電量販店で新品を購入するニーズが強いと考えます。仮定ですが、家庭用のエアコンの80%程度は家電量販店において新品で購入されていると考えました」
面接官「分かりました」
(4)改めての算定
面接官「では、ディスカッションした内容で、改めて家庭用エアコンの市場規模を推定するといかがですか?」
田中「そうですね…20秒ほど、お時間頂けますでしょうか?」
田中「結論的には再度計算しても1兆1,000億円になりそうです。
修正した因数は、”➃買替年数(耐用年数)”と”➄購入単価”になります。
まず、➃買替年数(耐用年数)は商品は、故障ではなくリニューアルモデルで買替意欲が湧く商品が5年に1度は販売されると仮定しました。
買替年数を、故障での買替は変わらず10年、リニューアルモデルでの買替を5年として、家庭用エアコンが購入される動機は、故障orリニューアルそれおぞれ半分ずつ仮定しました。数値は、間をとり7年としました。
そして、➄購入単価ですが、中古品も加味すると、新品の半額を中古の価格(単身用のエアコン3.5万、複数世帯用のエアコン7.5万)とし、新品の購入割合は80%(=中古20%)とします。
加重平均し、エアコン1台当たりの購入単価を単身世帯5万円、複数世帯12万円で計算しました。
初期アウトプットと同じく、単身世帯1,000億円、複数世帯1兆円、計1兆1,000億円となりました。
理由は”➃買替年数””を短くすると市場規模は大きくなり、”➄購入単価”を下げると市場規模は小さくなりますが、今回修正した数値ですと、それぞれの増減が相殺され、結果として初期アウトトプットと同程度になっております。」
(4)算定結果の評価
面接官「概ね良いと思います。数字の桁感としては如何ですか?」
田中「概ね妥当かと考えています。母数は統計データから出発し、置いた数字も体感にはなりますが、普段の日常生活を通じて得た数字になり、大幅にはズレないと考えます。
数字は存じてないのですが、例えば、近接領域、エアコンと同じ買替頻度や単価の大型家電(冷蔵庫、洗濯機)の市場規模を知っていれば、そちらの数字をモノサシに検証は出来ると考えます」
面接官「なるほど。他に検証方法はありますか?」
田中「そうですね、エアコンの代表企業の売上とシェアを知っていれば、代表企業の売上÷シェアで求めた数字を当てて検証は出来ると考えます。」
(5)他の算定方法の確認
面接官「なるほど、理解しました。
では、初期アウトプットで算定したとは異なる他の算定式では、どのようなアプローチであれば市場規模を算定出来そうですか?」
田中「はい、先程の算定結果の検証方法と重複するところですと、
・近接領域のアナロジー
・主要プレイヤーの売上÷マーケシェア
が考えられます。
他には、供給サイドでのアプローチはありあそうです。
エアコンのバリューチェーンに分解すると、例えば、製造と販売で求められると思います。
製造ですと、
・製造拠点数×1拠点のエアコン製造量×販売される数量×販売単価
になります。
販売ですと、
・販売チャネル数×1チャネルのエアコン販売量×販売単価
になります。」
面接官「OKです。市場規模推定はここまでにして、次は売上向上戦略を考えて頂きたいと思います」
田中「承知しました」
いかがだったろうか。今回はフェルミ推定について解説してみた。
次回は売上向上戦略について解説してみたいと思う。
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