🔓殺人の家~柏市・一家4人撲殺事件~
ネギ畑とナシ園が広がるのどかな郊外。
神社の周辺には公園があり、散歩する高齢者や畑仕事に精を出す人々の平和な日常があった。
その一帯の中で、異様な一角があった。
ぱっと見でも、大きく立派な家屋がそこにはあったことがわかる。しかし今、その家屋は焼け落ち、かつてここで暮らした人々も、たった一人を除いてこの世に存在していない。
ここには、つい先日まで一家5人が仲良く暮らしていた、と思われていた。
互いの名を呼ばずとも通じ合える老夫婦、中学教師と看護師という、申し分のない長男夫婦。そして、おじいちゃんのことが大好きな幼稚園に通うかわいらしい娘……
平成20年6月24日朝、家族の幸せな日常は突然終わりを告げる。
その一家を葬ったのは、家族の中の一人だった。
その朝
いつもと変わらない朝だった。台所では妻が朝餉の支度をし、離れの2階ではそろそろ息子夫婦が起きだしてくるころだ。
台所を通り過ぎようとした時、妻が気配に気づいたのか、したくする手をいったん止めた。「おはよう」の声を期待した男だったが、妻は男の気配を認めると、そのまま何も言わずに朝餉の支度を再開した。
男はいったん台所を通り過ぎ、家の外の物置に入って再び戻ってきた。
その手には、全長80センチ、重さ3キロの大ハンマーが握られていた。
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