正論コメントやモデレーター批判が削除されたりする理由
1.はじめに
配信コメントで、「なんで正論を言っているのに削除(・タイムアウトや永久BAN含む)されるのか」「モデレーター批判はなぜ許されないのか」と思う人もそれなりにいるように思う。
究極的には配信者次第だし、配信によって違うと思うが、いくつかのモデレーターをやって感じた私なりの考えを書こうと思う。毎度のことではあるが、あくまで私個人の考えであって、モデレーターを務めている配信者の意見の代弁や、モデレーターの総意などではない。
2.正論コメントが削除される理由
理由は簡単で、そもそも配信コメントは正論を書いて議論をする場ではないから。
もちろん、そういう話になっているときは、正論を書いても良いだろう。たとえば、「今のムーブ、どこが悪かったんだろう」と配信者が尋ねたら、普通に正論を書けばいい。
ただ、尋ねてもないのに、「立ち回りがゴミすぎる」だとか、「射線管理が下手くそ」「こんなレベルじゃ勝つのは無理だね」だとか書かれたら、気分悪いだろう。仮にそれが正論だとしても、正論だから言っても良いという話ではない。普通にリアルでも同じだろう。
「言ってることが正しい」のと、「言うことが正しい」のは別次元の問題だということだ。
この手のコメントを削除すると、「言論統制」といわれることも多いが、そもそも配信コメント欄は民主的政治過程の場ではないし、パブリックな場でもない。配信者とリスナーがコミュニケーションをする場なのだから、不快だったら削除するというだけの話だろう。言論活動そのものは自分のSNSなどでできるはずだ。
それに、結局そういうコントロールをする方を、多くのリスナーは快適だと感じて望むのだろうから、配信者にとってもほとんどのリスナーにとっても有益だろう。
3.モデレーター批判が削除される理由
モデレーター批判が削除されるのは、「自分が批判されて頭に来たから」ではない。モデレーター批判にせよ誰に対する批判にせよ、批判コメントは見ている人が不快という、ただそれだけの理由だ。配信者批判や同行者批判、リスナー批判、リスナー同士の喧嘩を削除するのと同じ理由。単純に、他の人が見ていて気持ち良いものではない。
私は、理由を付記した抗議だったら、削除しないし、ちゃんと理由があると思えば受け入れて対応する。過去にも、誤BANしてしまったことがあったので、そういうときは謝って対応している。
ただ、「モデレーターゴミ」とか「モデレーター死ね」とだけコメントされても、本人がどういう正当化理由があると考えているのかは分からないし、単なる暴言コメントでしかないので、削除するしかない。そのコメントを残しても、生産性がないだろう。
私は、モデレーター批判そのものは構わないと思うが、自己のコメントが削除されるべきでないと考える正当化理由を述べて欲しい。既に書いたように、「正論だから」では正当化にはならないし、「他にももっと悪質なコメントがある」も正当化にはならない(他のコメントを削除すべき理由にしかならない)。
その正当化理由が妥当であれば、受け入れて対応するし、妥当でなければ、妥当でない理由を回答する。それがあるべきコミュニケーションだと思う。
4.曖昧なものは削除しづらい
「なんでもっと悪質なコメントがスルーされて、俺のは削除されたんだ」と思う人もいるかもしれない。
この辺は難しいところで、単純な悪質度で対応しているわけではないのだ。
たとえば、同行者がミスをして「トロールで草」とかいうコメントがされたとしよう。そして「これは同行者批判じゃん、削除で当然でしょ」と思うかもしれない。けれども、これはモデレーターとしては悩むのだ。その同行者のトロールを配信者が笑ったりする風潮があって、コメント欄でもそういう盛り上がり方をするのが通例なのであれば、そもそも「批判」ではないのだ。
他にも、配信者に対し、「なんでグレ投げないの?」みたいなコメントをする人もいたりするが、これも批判なのか単純な疑問なのか、区別がつきづらいのだ。この手のコメントは、私はその人の過去のコメントから推測したり、一旦様子見して他のコメントも併せて判断したりするが、そのコメント1つだけではなんともいえないのだ(批判コメントと受け取られるようなコメントが良くないのは、いうまでもない)。
これに対し、悪質度そのものは高くなくても、たとえば他の視聴者に突っかかるようなコメントは削除される。これは、悪質度の問題ではなく、単に正当化の余地がないというそれだけの話だ。他にも、配信と無関係な話だとか、「今ってどのキャラが強いの?誰か教えて」みたいなリスナー同士の会話を誘発するようなコメントも、さほど悪質ではないが削除する
つまり、「悪質なコメントかもしれないし、そうかもしれない」というコメントは削除しづらいけど、「そんなに悪質ではないけど、明確にルール違反」というコメントは削除されやすいということ。
5.モデレーターに求められるもの
ここまで書いてきて気づいたのだけど、モデレーターにも力量が求められることになる。というか、私はそう思っている。
モデレーターは、なぜそのコメントを削除したのかという理由を、自分の中で明確に持っておく必要があるし、聞かれたら回答できる程度に言語化する必要がある。
そして、自分が間違っていた場合には、きちんとそれを受け入れて対応する真摯さも必要になる。
さらに、不適切と思しきコメントがあった場合、配信者がどう思うか、他の視聴者がどう思うかを考えなければいけない。不適切なコメントを削除したら、そのコメントをした人は怒るだろう。でも、その怒りにひよったら、その他の配信者や視聴者が不快に思って怒るのだ。だから、不適切なコメントがなされたら、誰も不快な思いをさせずに解決するというのは不可能だ。誰かを不快にさせるという帰結を、引き受ける覚悟が必要だ。