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【心霊体験ファイル】 事故多発の交差点
私は、とある村で生まれ育ちました。
「ここはヤバイ」
昔、偶然、車で通った霊能力者が、そう口にしたという逸話が残る村です。
いかにも胡散臭い話ですが・・・
私が、いくつも不思議な体験をしてきたことだけは、事実です。
その中の一つを綴ります。
「事故が多発している場所は、本当にヤバイ」・・・という話。
*
当時、私は高校3年生。
高校まで、電車で通っていたのですが、田舎のため、最寄り駅まで車で10分かかります。
毎朝、仕事に行く父の車で駅まで送ってもらっていました。
その途中、ある交差点があります。
国道と村道が交わる交差点。
信号機があり、障害物もない、見晴らしのいい交差点。
その交差点の傍らには、花束が添えられています。
そこは、事故が起きる要素が少ないにも関わらず、事故が絶えません。
死亡事故も、何度か起きています。
*
その日、私はいつも通り、父の車に乗せてもらい、駅に向かっていました。
問題の交差点・・・
赤信号で、一旦停止。
青信号に・・・
父は車を発進させました。
その時でした。
・・・・・・・・
大きな衝撃。
粉々になったガラスが、私の顔に降りかかりました。
右側、運転席の側面に、車が猛スピードで追突。
私と父の乗っていた車が、大きく飛ばされたのです。
そして、はじき飛ばされた車が止まった瞬間でした。
どこからともなく、笑い声が聞こえたのです。
「キャハハ」
「ハハハ」
「アハハハ」
それは、何人もの笑い声でした。
男性の声、女性の声、子どもの声・・・
いろんな声が入り混じる、とても気持ちの悪いものでした。
一瞬、何が起きたのか理解できませんでした。
我にかえり、父の方を見ると・・・
外傷はなく、一安心。
「よかった・・・」
しかし・・・父に異変が起きていたのです。
目の焦点が合っていません。
何を言っても反応しません。
私は、父に声をかけ続けました。
すると、また笑い声が・・・
「キャハハ」
「ハハハ」
「アハハハ」
笑い声が、やんだ瞬間でした。
父が突然、動き出し、奇声を漏らしながら、車を走らせようとしたのです。
私は、必死になって止めました。
そして、数十秒後、父は意識を失いました。
その後、救急車で運ばれ、父は、内臓破裂で緊急手術。
肺を片方失いましたが、一命を取り止めることができました。
私は、幸い、ガラス片で額を切っただけで済みました。
追突してきた車の運転手は無傷。
原因は、信号に気がつかなかったため、猛スピードのまま交差点に突入したとのことでした。
父に、回復した後、事故のことを聞きましたが、全く記憶にないそうです。
あの笑い声は、一体何だったのか?
*
あれから、およそ20年。
高校卒業後、東京に上京した私は、年に数回、田舎に帰る。
あの交差点・・・
そこには、花束が捧げられている。
事故多発地帯は、何かがいるかもしれません。
本当に気をつけた方がいいと思います。
*
父は、今も元気です。
長生きしてね!
〜完〜
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