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【謎の人物ファイル】 無口なまさこさんが、ボソッと一言(心霊体験?)

私が、小学生の時の話です。

私は、とある田舎で生まれ育ちました。

見渡す限りの田んぼ。


小学校からの帰り道、田んぼ道をひたすら歩きます。

その途中、ポツンと、ある女性が、いつもたたずんでいます。

まさこさん

誰から聞いたか記憶にありませんが、私たちはその女性を、そう読んでいました。

まさこさんは、年齢が40代のようにも見えるし、それ以上にも見えました。

髪の毛はボサボサで、服装は地味なロングスカート。
あまり綺麗な格好とは言えず、近寄りがたい雰囲気でした。

なんでいつも立っているんだろう・・・

僕たちは、毎日、まさこさんの横を素通りするだけ。
会話したことはありません。
まさこさんが、喋っているのを見たことも、一度もありません。

すれ違う時、少し怖いなと、いつも思っていました。


しかし、ある日を境に、まさこさんに挨拶をするようになりました。

まさこさんに、救われた出来事があったのです。



その日、いつも通り、まさこさんの横を少しビビりながら通り過ぎました。

すると、まさこさんが、ボソッと一言・・・

「早く帰って・・・」
ビクッ!

私たちは、「ワーッ」と叫びながら、ダッシュで自宅へと帰りました。


翌日のことです。

友達のSくんが、言いました。

「昨日家に帰ると、庭でタロウ(犬)の首にチェーンが絡まって、窒息しそうになってた。まさこさんがそのことを、教えてくれたのかも」


帰り道、僕たちは、まさこさんに思い切って、「ありがとうございました」と言いました。

すると、まさこさんは・・・

ペコリ

軽く会釈をしてくれました。

それ以来、すれ違う時、挨拶をするようになりました。
まさこさんは一言もしゃべりません。会釈をしてくれるだけです。


中学生になり、その道を通らなくなり、まさこさんと出会うことはなくなり・・・いつしか、まさこさんの存在は忘れていきました。



大人になり、都内で生活していた僕は、実家に帰省。

自宅へと向かう途中、あの田んぼ道を通ると、
僕は、ふと、まさこさんを思い出しました。


両親に、まさこさんのことを話しました。
しかし・・・

「そんな人、知らない」

というのです。


まさこさんは、絶対にいました。


もしかしたら幽霊?
幽霊だとしても、まさこさんには、とても感謝しています。
その節は、ありがとうございました。

ペコリ

〜完〜

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