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【心霊体験ファイル】 知らない放送
これは私が、小学校6年生の時に体験した話です。
私は、とある村で生まれ育ちました。
昔、その村を偶然、車で通った霊能力者が、
「ここはヤバイ」
と、口にしたという逸話が残る村です。
それが本当かどうか、わかりませんが、
私が、いくつも不思議な体験をしてきたことだけは事実です。
その中の一つを綴ります。
*
その日は、強風。
小雨が降る夕方、空が紫色だったのを鮮明に覚えています。
*
当時、私は、放送委員会でした。
放送委員会の仕事は、完全下校の時刻を知らせる放送を行います。
時刻は、15時55分。
私は、16時の放送に備え、一人で放送室にいました。
天候が悪く、校庭には誰もいません。
友達たちは、体育館で遊んでいました。
すると、ある放送が流れたのです。
それは、無機質な女性の声でした。
「台風が近づいています。国旗を立てるポールが倒れます。注意してください」
放送は、職員室でもできます。
先生が放送したのだろう・・・
変な放送だな・・・
そう思っていると、先生が勢いよく放送室に駆け込んできたのです。
「おい、何やってるんだ!」
「えっ?」
私は、理解できませんでした。
「ふざけるな!お前、放送しただろ!」
職員室では、誰も放送していない。
私以外、放送する人間はいない。
というものでした。
何を言っても、信じてもらえません。
その時でした・・・
「キャー!」
体育館で遊んでいた友達たちが、悲鳴を上げながら、廊下を走ってきたのです。
「体育館のギャラリーに、知らない女の子が立っていた!」
見間違いではない。
友達たち、数人が見たというのです・
すると、また放送が流れたのです。
「ピーンポーンパーンポーン」
「ザザ・・・ザザザザ・・・(ノイズ音)」
みんなパニック状態。
泣き出す女の子たち。
先生たちも、慌てていました。
そして、とにかく早く帰れと、帰宅を促されて帰りました。
強風で、小雨が降る中、恐怖に震えながらの帰宅。
頭の中で、ドリカムの「晴れたらいいね」をひたすら歌って恐怖を和らげたのを覚えています。
*
あれから、およそ30年経ちますが、
今も、あの放送の声は、耳に残っています。
ドリカムも好きです。
でも聞くと、当時の恐怖体験を思い出します。
〜完〜
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