【謎の人物ファイル】 催眠術をかけてくるバスのおじさん
今から30年ぐらい前の話。
小学校1年生の僕は、週に一度、催眠術にかかったフリをしなければならなかった。
毎週水曜日、その人はやってくる。
夕方、バスに乗ってやってくる。
催眠術をかけてくるのは、バスの運転手だ。
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僕は、スイミングスクールに通っていて、スクールのバスが自宅近くに迎えに来て、それに乗って通っていた。
何故だか覚えていないが、僕の指定席は、運転席の斜め後ろだった。
バスに乗り込むと、他の生徒たちが全員揃うまで、待ち時間がある。
その時間が、僕が催眠術にかけられる時間だ。
というか、“かかったフリ” をする時間だ。
バスの運転手さんは、50歳ぐらいだったと思う。短髪で、髪が硬めだったと思う。見た目は、普通のおじさんだったと思う。
普通のおじさんが、何故か、僕に催眠術をかけてくる。
「だんだんだんだん眠くなる。眠くなる。眠くなる・・・。」
全然眠くならない、、、どうしよう。。。
寝たフリをする。
スイミングスクールまで、バスで30分。
寝たフリをしている。
ちなみに、帰りもだ。
それが、毎週だ。
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小学生の時だったか、中学生の時だったか、性格診断テストみたいなものがあった。
「我慢強さ」を現す項目があり、僕は、その部分だけ、抜きん出ていた。
社会人になり、つらい時も耐えられたのは、”バスの運転手さんのおかげ”・・・かもしれない。
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ちなみに、スイミングスクールは、3年で、辞めた。
辞めた理由は、運転手さんのせいではないよ。
毎週水曜日にテレビでやっていた、ドラゴンボールが見たかったからだよ。
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この体験を書いていて思ったのは、小学一年生でも、気をつかうんだなと、いうこと。
まだ幼いからといって、何も考えていないわけではない。
私の息子は今、0歳。
今後の育児に、生かそうと思う。
〜完〜
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