「ハゲと帽子」と「出っ歯とマスク」 マストアイテムからの卒業
僕(現在39歳 男)には、Cちゃんという、心の友がいる。
Cちゃんは、女性。性格は控えめで物静か。
大学時代、同じゼミだったが、当時は、挨拶をする程度の間柄だった。
仲を深めたのは、大学の卒業式。
ゼミ仲間の飲み会でのこと。
ある話が、きっかけだった。
お酒の力もあったのだろう、
普段、自分をさらけ出さないCちゃんが、悩みを口にした。
「私は、出っ歯がイヤ。」
一方、僕は、薄毛が気になり出していた。
「俺は、ハゲるのがイヤ。」
コンプレックスを吐き出した2人には、妙な友情が芽生えた。
飲み会が始まる前、乾杯のグラスを合わせることもなかった2人。
二次会では、真っ先にCちゃんが、僕にグラスを差し出してくれた。
乾杯!
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社会人になってから、年に一度、ゼミの仲間たちで集まった。
Cちゃんは、いつもマスクをしていた。
“出っ歯を隠したい” からだと思う。
一方、僕は、いつも帽子を被っていた。
“ハゲを隠したい” からだと思う。
と、Cちゃんは思っていたと思う。(実際、かなりハゲてて隠したかった)
その後、徐々に、ゼミ仲間で集まることが減り、Cちゃんとも会わなくなった。
っていうのが、10年ぐらい前のこと。
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4年前、35歳の僕は、発毛活動のすえ、ハゲから復活した。
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今年1月・・・
Cちゃんに、数年ぶりに会った。
ゼミ仲間の、結婚お祝いメッセージビデオの撮影。
結婚式はまだ普通にやっていて、コロナが少しだけ流行り始めたぐらいの時期だった。
Cちゃんは、マスクをしていた。
しかし、メッセージを送るため、マスクを取った。
そこで、僕が見たものは・・・
あっ、出っ歯が治ってる。(僕の心の声)
僕は、帽子を被っていたが、さりげなく脱いだ。
あっ、ハゲが治ってる。(Cちゃんの心の声 たぶん)
互いに、そのことに触れなかった。
互いに、心の中で「頑張って治したんだね」と誉めあった。
(たぶん、、、少なくとも僕は)
互いに、マストアイテムを必要としなくなった。
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今年4月。
コロナでマスクが品薄で買えなかった時、Cちゃんが、僕にマスクをくれた。
ありがとう、Cちゃん。
僕があげられるのは、帽子だけど、いらないよね。
かわりに、コロナが落ち着いたら、ごちそうするね。
また乾杯しよう!
コロナの終息と、2人のコンプレックスから卒業を祝って。
〜完〜