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【謎の人物ファイル】 愛しのカフェ兄

これは、僕が高校生の時に体験した話です。

怖い話ではありません。

僕は、コンビニでアルバイトをしていました。

そこに決まって、
毎週日曜日の15時、その男性は現れるのです。

年齢は、30歳前後。
体型は、痩せ型。
髪の毛は、茶髪のロング

「シャ乱Q」にいそうな雰囲気。

車は、真っ赤なスポーツカー。
高そうなスーツに、身を包んでいます。

そして、決まってあるものだけを買います。

100円のカフェオレ。

パックの500mlのやつです。

それだけ買って、颯爽とスポーツカーで走り去っていくのです。

私は、その男性を、

カフェ兄

と、勝手にあだ名を付けていました。

カフェ兄が、何をしている人なのかわかりません。
話したこともありません。
単に、客と店員の関係です。

またキター w
今週もキター!
カフェ兄、キター!!

しかし、およそ1年後、
突如、異変が起きたのです。

いつものように、日曜日15時、カフェ兄が颯爽と姿を現しました。

「ドンッ」

会計に差し出されたのは・・・

マウントレーニア!?

僕は戸惑いながらも、平然を装い会計しました。

(なぜ?今週は贅沢?)


翌週は、何を買うのか?
楽しみで仕方ありません。


そして、次の日曜日。

予定時刻の15時・・・

カフェ兄が来ない・・・

16時になっても17時になっても、結局、来ませんでした。

一体何があったのか? わかる術もなく・・・

その翌週も来ず、以来、カフェ兄は、姿を現すことはありませんでした。

愛しのカフェ兄は、どこへ・・・

いつの間にか、カフェ兄のファンになっていたようです。


以来、バイトは、愛しのカフェ兄を待つ日々・・・


そして、およそ半年後、ついにその時が!


その日、100円のカフェオレを買った人がいました。

もしや・・・
ふと顔を見ると・・・カフェ兄でした!

でも、「カフェ兄」が、カフェオレを買うまで、僕は気が付きませんでした。
それには理由があります。

服装は、地味。
髪の毛の色は、黒。

車を見ると、スポーツカーから庶民的なものに変わっていました。

驚きましたが、元気そうで、うれしくなりました。

そして、それを最後に、カフェ兄が姿を見せることは一度もありませんでした。



ここからは、僕の妄想です。

かつてカフェ兄は、何かしらの問題に巻き込まれた。
最後の贅沢?で、マウントレーニアを買った。

この半年で、その問題を解決した。
スポーツカーを手放し、服装も一変するぐらい大変なことだったのでしょう。

そして、再び、コンビニに来てくれた。
僕に、元気な姿を見せるために・・・



カフェ兄、ありがとう!
勝手にファンでした!

バイト生活に楽しみを与えてくれたことを感謝しています。

何はともあれ、カフェ兄は、僕の青春時代の記憶に強烈に刻まれた、伝説の人物です。


〜完〜

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