認知症治療に有効なバリデーション療法

判断力が曖昧だったり、認識能力が低下した認知症患者とのコミュニケーションは容易ではない。
そこで、バリデーション療法に注目が集まっているが、バリデーション療法とは、認知症患者とのコミュニケーションを図るための取り組みである。


バリデーションとは、承認のことを指しており、バリデーション療法は認知症患者の承認欲求を充たすことを目的としているセラピーだ。
その特徴は、徹底して認知症患者の言葉に耳を傾け、気持ちに寄り添うことである。
たとえ認知症患者の発言が他愛のないものであっても、無視したり、いい加減な対応をしたりすることは避けなければならない。

なぜなら、認知症患者にとって重要なことは、意味のある会話が成立することではなく、真摯な態度で自分の話を聴いてくれる人が傍にいることだからだ。
したがって、バリデーション療法では、介護スタッフがいかに会話を成立させるかに力を注ぐのではなく、あらゆるスキルを動員して要介護者の気持ちに寄り添うことを重視しなければならない。

そして、相手の発言をしっかりと聞き、笑顔でときには大袈裟に頷くこともポイントだ。
さらに、スタッフはスキンシップやアイコンタクトを図り、ジェスチャーを交えて利用者の五感に訴える工夫をしなければならない。


介護職員が粘り強く要介護者の話に傾聴し、承認欲求を満たす反応をしていけば、認知症の要介護者も介護職員の対応に満足して、信頼関係を築ける可能性は高まる。
バリデーション療法の魅力は、難しいテクニックを身につけるよりも、認知症患者の言葉を受け止める努力を積み重ねることのほうが大切だ。
毎日顔を合わせる利用者に継続的にこの療法を施すには根気が要るが、結果として利用者の情緒が安定し、介助がやりやすくなれば、質の高いサービスが提供できるだろう。


バリデーション療法については、<<「探求」と「受容」のコミュニケーション術>>により詳しく説明されているので、ぜひ一読してみてほしい。

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