はじめて天体望遠鏡を買ったけど使わなくなった理由とは?
■初めての天体望遠鏡で過度な期待は禁物。
星空や天体に興味を持っていざ天体望遠鏡を買って、これで図鑑のような凄い宇宙の天体が見られると思っているとがっかりする人がほとんどです。
苦労して土星や木星とか見たけど、結局、それ以降飽きて、使わなくなって押し入れや物置に放置されたりしています。そんな経験から、星空や天体、宇宙に興味を失った人が多いのも事実なんです。
その原因は、以下のようなものが多いです。
◆入門用天体望遠鏡のがっかりポイント
①星が導入できない。
月は大きくて明るいので、比較的簡単に望遠鏡の視野の中に入れられる(導入できる)が、他の星や天体を入れるのが難しい。(高価な天体望遠鏡だと自動導入装置が付いているものがあるが入門用の安価なものはあまりない。)
ほとんどの天体望遠鏡には、ファインダーと言われる低倍率の小さな望遠鏡が横に付いていて、それで星を見つけてから、大きい望遠鏡(主鏡)で導入するのですが、ファインダーの中心と主鏡の中心が合っていない(同じ場所が見えていない)と使えませんので、それを合わせるファインダー調整が必要です。そのファインダーの調整がネジ3本(1本バネネジでその他2本の場合もある)で行うのですが、これが初めて望遠鏡を使う入門者には難しい。
天体望遠鏡やファインダーの多くは左右上下が逆さまの倒立像なので操作の難易度が高い。(見た目と逆方向に操作する必要がある。)
架台を僅かに動かすにも調整が難しい。(微動装置が付いていないものもある)
慣れていないと木星や土星すら導入に手こずります。
また、普通は低倍率のアイピース(接眼レンズ)でど真ん中に天体を導入して、徐々に高倍率のアイピースに差し替えて、その度に対象を真ん中に来るようにしてから、ピント調整していくのですが、この作業も入門者には難しい。
そもそも星の位置がわからない(最近は星座アプリとかあるので難易度は低くなったが、それでも慣れていないと自分の眼で見つけるのは難しい。)
②折角、導入した星や天体も動いて、すぐに望遠鏡の視界外になってしまう。
星は1時間に15度、1分間だと1/4度動くので、狭い範囲を見ている天体望遠鏡では数十秒で視界から外れて見えなくなります。
これは実は星が動いているのではなく地球が自転しているからなのです。
星を追尾する装置(赤道儀など)を使えば星は止まったように見えますが、入門用の天体望遠鏡でこれらの装置が付いていることは少ないです。
③星や天体を見ても点にしか見えなくて面白くない。
月のクレーターは、くっきりと見えますが、太陽系外の恒星はどんなに凄い天体望遠鏡でも点にしか見えません。
大まかな星の形や模様がわかるのはせいぜい太陽系の惑星の木星や土星ぐらいです。
金星は小さくて明るい三日月や半月にしか見えなくて、火星はオレンジ色の玉にしか見えません。
水星はやや大きい点に、天王星、海王星はホントに小さな点にしか見えません。ましては、太陽系外の星は当然、点にしか見えないのです。
④大き目の望遠鏡を使っても、淡い天体は白黒の霞や雲のようにしか見えない。
頑張って、口径80mmの屈折望遠鏡や130mmの反射望遠鏡を買ったけれど・・・
深宇宙の銀河や星雲は暗いのでモノクロにしか見えません。人間の目のしくみで暗いものを見るときはモノクロで光を捉えるようになっています。しかも星雲などはそもそも人間の眼で見えない赤外域の光を放っているものも多いのです。
天体望遠鏡を買ったら図鑑のような天体を見られると思ってがっかりする人がほとんどです。
◆入門用望遠鏡でも対象を選べば楽しめる。
入門用の天体望遠鏡でも見る天体(星団や二重星、彗星など)を選べば楽しめるのですが、入門者・初心者にそうのような天文知識がないので、結局お蔵入りになりがちです。(初歩的な知識があればこのページに掲載した画像イメージのようには、望遠鏡のアイピースから肉眼で見えますが・・・。私は眼視用にポルタⅡA80mfなどの入門用天体望遠鏡を楽しんで使っています。(星雲などはUHCやO-Ⅲといった特殊なフィルターを付けて眼視観望しています。)
◆がっかりポイントを克服する望遠鏡の発売
入門用望遠鏡は実は入門者には難しくて面白くないという話をしてきましたが、そういうがっかりポイントを克服してくれる画期的な天体望遠鏡がスマート望遠鏡なのです。
スマート望遠鏡
スマート望遠鏡とは望遠鏡とコンピューター制御出来る経緯台(望遠鏡を載せて自由に向きを変えられる台)、天体用カメラ、コンピューター、バッテリーがワンパッケージになった望遠鏡のことです。使い方は、WiFi経由でスマホの専用無料アプリから操作して、見たい天体をアプリのカタログ画面から選んで、その天体を望遠鏡が自動で捉えた画像をスマホ画面で見ることや保存することが出来ます。
では、スマート望遠鏡がガッカリポイントをどう克服してくれるかというと、
①は自動導入機能があるので、スマート望遠鏡自体がどこを向いているかを星図データから判断して希望の天体を機械任せで導入を行ってくれる。
②は自動追尾機能が装備されていて、地球の自転に合わせて動き、天体をいつも真ん中になるように追いかけてくれる。
③画像処理技術で様々な形の星雲や銀河を浮かび上がらせてくれる。
④赤外域の光も高感度内蔵カメラが取り込み、画像処理技術と光害を除去するフィルターで、暗い天体を色鮮やかに見せてくれる。
スマート望遠鏡は星空で天体を探す手間もなく、深宇宙の淡い天体を色鮮やかに見せてくれます。
値段も近年では標準的な入門用天体望遠鏡(ポルタⅡとか)と変わらない値段のスマート望遠鏡も発売されました。
これからの時代は入門者・初心者こそ初めて購入する天体望遠鏡はスマート望遠鏡にすべきだと思います。
スマート望遠鏡で天体を楽しんでから、実際に肉眼で見たくなった時、いわゆる普通の天体望遠鏡や双眼鏡を買ってください。
もしくは、もっと綺麗な天体写真を撮りたくなったら、やや高価なシステムになりますが、天体撮影機材一式を検討してください。
続きは下記のリンクの記事をどうぞ
(ここに掲載したアンドロメダ銀河、オリオン大星雲、リング星雲、木星などの色鮮やかな画像が下記のページに掲載されていますので、比べてみてください。)
◆お手持ちの望遠鏡のがっかりポイントを補ってくれる機材
もし既に天体望遠鏡をお持ちの場合は➀と②のがっかりポイントを補ってくれる機材を紹介します。あくまでもアイピースからの眼視なので、天体の見た目は変わらないです。
私はトラバースで二重星や星団のお気軽眼視観望を楽しんでいます。
ACUTER OPTICS 自動導入式経緯台「トラバース」
24,800円(三脚、ケース付き)(アストロ&バードウォッチング機材専門店シュミットの通販で買えます。)
トラバースはスマホで操作して、星を自動導入、自動追尾してくれる電動経緯台です。単三乾電池4本またはモバイルバッテリーで動作します。スマホとBluetoothかWiFiで接続して、専用無料アプリ(iPhone/Andorid)をダウンロードして使います。望遠鏡の向きにスマホ自体を合わせて簡単に使えます。
詳しくは下記の記事でどうぞ