子どもの力
人が本来持っている力を伸ばすには、『考える力』を意識しましょう。
答えを教えるのではなく、自ら考えて動く力。
学校の先生は
『どうしてこの答えになるのか』
を理論づけて分かりやすく説明するのではなく、子ども達に問いを投げかける。
そして自ら導き出した答えに対して、
『どうしてその答えになったのか』
を子どもに教えてもらう。
たとえ答えが間違っていても、その答えに辿り着くまでの過程にこそ、意味があります。
親は危険な道を避けて通るよう教えるのではなく、子ども達がどの道を選ぶのか、そして選んだ道をどんな風に歩いて行くのかを見守るコトが必要。
途中でつまづいたり、行き止まりになって助けを求めてきたら、その時はすぐに手を差し伸べられる位置で。
この時に気を付けて欲しいのは、子どもがつまづいたり立ち止まっても、助けを求めて来ない限りは見守るというコト。
その時子どもは頭をフル回転させて、必死に”今”に対する最適解を探しているところ。
邪魔しないで、根気強く見守ってあげて下さい。
『まさに!!』と思う事例があったので、紹介します。
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子ども達が通っていた小学校では、毎朝集団登校をしています。
朝の登校時間、お母さん達は当番制で子ども達が安全に登校できるよう、各班に1人付き添います。
横断歩道がないような小さな道路では、子ども達が横断する時に車が来ないよう黄色い旗を持って交通整備をする、旗当番もあります。
そんな中、ある班で
『登校班の付き添いをやめてみないか』
という提案が挙がります。
その提案があったのは、小学校から一番遠い地区の班です。
働いてるお母さんや未就学児を抱えてる家庭もあり、朝の時間が取れない方を除いたメンバーで当番制にすると、1人当たり週に2~3回付き添いか旗当番に当たってしまうのです。
『道路の旗当番は残して、付き添いはナシでも良いと思う』
『子ども達だけの登校は危険じゃないか?』
『通学途中に何かあったらどうするの?』
『子ども会費からシルバー人材を雇う』
様々な意見が出ましたが、最終的に出した結論は
『保護者の付き添いは辞めて、班長(小6の子ども)に任せてみる』
というものでした。
それを班の子ども全員に伝え、まずはやってみて班長に聞き取り。
難しそうならまた元に戻すというコトで、とりあえず1週間始めてみるコトに。。。
結果は、予想を上回るものでした。
その1週間、旗当番に当たっていた保護者からは、
『今まで隣の子としゃべりながらダラダラ歩いていたのに、付き添いがなくなった途端、みんなが周りを見ながら登校するようになっている』
『今までコチラから挨拶しても返って来なかったり、ボソッと返す子がほとんどだったのに、周りを見れているおかげでハキハキ挨拶できている』
『班長が”自転車来たよ~”って声掛けすると、後ろの子まで伝わるように子ども達が伝言していく様子が見られた』
といった声。
毎朝校門に立って挨拶をしている先生達からも
『この班は、すごく元気に挨拶してくれるようになった』
と、褒め言葉。
ちょっと気苦労があったかな?と心配していた班長さんからは、
『自分が最高学年で、みんなを学校まで連れて行かないといけないという自覚が生まれた。
周りの歩行者や自転車にも、気を配るようになった。
もう少し続けていきたい。』
という、何とも頼もしい言葉❣
子ども達の変わりようと周りの評価に驚きつつ、1か月が経過した頃。
班長さんからは、
『気を抜くと自分のペースで歩いてしまって、すぐ後ろの1年生が小走りになってるコトがあるので気を付けたい。』
なんて言葉も出てくるようになったそうです。
これこそ、人が本来持っている自分で考えて成長する姿だと思いませんか?
その班はそれ以来、保護者による付き添いをしていませんが、今では1年生~6年生まで他の学年同士の友達関係も増えているそうです。
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ちょっとしたコトで、子ども達の考える力はぐんぐん育ちます。
逆にちょっとしたコトで、その力を無力にも出来てしまいます。
私たち大人がその芽を摘まないよう、意識して関わっていかなければならないなぁと思った出来事でした。