「これが最後」というマインド

「今日死ぬとしたら、何して過ごす?」
「地球最後の日には、何が食べたい?」
世紀末が近づいた1990年代は、よくそんな会話をしてたなぁと思い出す時があります。
みんな『最後の日ぐらい幸せに過ごしたい』
『やりたいコトをしたい』
そう思うものです。

『これが最後』
人は”終わりが見えている状態”では、いつもよりほんの少し優しくなれる。
そんな気がしています。

例えば、毎日嫌々出勤する職場。
『今日が最後の出勤日』
と、思ってみて下さい。
ネチネチ嫌味を言ってくる上司も、
「この小言を聞くのも最後かぁ」
嫌な仕事を丸投げしてくる後輩にも、
「これぐらいやってやるよ」
クレーマーのお客さんも、
「何かストレス溜まってるのかな、大変そう」
面倒な書類も
「これを片付けたら、自分を労って美味しいビール飲むぞ~!!」
と、少し穏やかな気持ちで対応出来たりする。

ワガママ気ままな我が子にも、会えるのは今日が最後だと思えば
「甘えたいんだね」
「なんて可愛い泣き顔」
「感情いっぱい出せて良かったね~」
なんて、愛らしく見えてきます。

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キングコングの西野亮廣さんがレターポット(※)というサービスを開発した時に、きっかけとして話していたコトです。
余命いくばくかの友人のお見舞いに行った時、その友人の言葉1つ1つがものすごく胸に刺さったそうです。
おそらくその友人の話す言葉は愛に溢れていて、説得力があり、かつ無駄がなかったのでしょう。
西野さんは、その経験から
『話せる言葉(文字数)や時間が限られている状態だと、まさかその残りの言葉を暴言や愚痴に使う人はいない。
使える文字を有限にするコトは、優しい世界を生むんじゃないか。』
という仮説を立て、レターポットを開発します。

※レターポット:登録者同士でメッセージのやり取りが出来るアプリ。
文字を有料(1文字=5円)で販売し、さらにその文字には使用期限(4か月で腐る機能)が付いています。
詳しくは、こちらの記事が分かりやすかったです。

文字をお金に換え、腐る機能を付けて有限にし、『これが最後』を可視化したのです。
私も登録していますが、そこは本当に優しい世界が広がっています。
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イライラしながらする家事に育児、嫌々通う仕事や学校。
みんなこれが
『これから先も当面はずっと続く
と思っているから、イライラするし嫌々になるんです。
でも何かの事故やトラブルに巻き込まれ、本当に
『これが最後』
になる確率はゼロではありません。

「毎回”最後”になっても後悔しないように」
とは言いませんが、本当に嫌で投げ出したくなった時
『これが最後の出勤日』
と思ってみるのは、悪くないと思います。
それが会社なら、本当にその日を最後にしたって構いません。

Twitterやネット上での誹謗中傷を見る度に、時間や文字の無駄遣いを感じ、みんなピリピリして世知辛い世の中だなぁと悲しくなります。
『これで最後』というマインドは、残りの文字数が100文字の時に暴言や愚痴・芸能人の不倫ネタを呟かないのと同じで、心にゆとりを与え、人を優しくするのではないでしょうか。


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