究極の二択!コロナウイルスによる合説開催有無の意思決定を行動経済学から紐解く
コロナに振り回される就活サービス
コロナウイルス、大変ですよね!💦
当初想定していたよりも大事になっていて毎日びっくりしています。こういうことを言うのは失礼かもしれませんが、報道のされ方と実感値との相違があるので、違和感があるといいますか。関西ではまだ感染が広まっていませんので、皆さんくれぐれもお身体にはお気を付けくださいね。
さて、コロナウイルスの影響は就活生にも大きくなっています。
それは、「政府からの大規模イベントの中止要請」があったこともあり、合説が中止になったということ。
このような状況下で、新卒採用サービス各社は、合同企業説明会の開催を中止/延期するという決断をしました。
マイナビ→3/1~15に開催予定のイベントを中止、延期
リクルートキャリア→3/1~31に開催予定のイベントは全て中止。
ディスコ(キャリタス就活を運営)→3/1~15に開催予定のイベントを中止、延期。
(あさがくナビは2/27現在、東京と大阪での大規模イベントを実施予定です。)
3/1の採用情報公開(企業と学生の一斉接触)間近のこともあったこともあり、各社は緊急の対応を迫られました。
そして実は、各社によって公式見解が発表されたタイミングが違うことは知っていますか??今回は、その意思決定のタイミングの差がなぜ生まれたのかについて、行動経済学の「損失回避バイアス」という言葉から紐解いていきましょう。
・損失回避バイアスとは
損失回避バイアスとは、行動経済学の理論の1つ。プロスペクト理論の中に含まれる人の思考のクセです。こちらの理論を説明するときに使われる有名な思考実験があるので、ぜひ皆さんも考えてみてください!(詳しく知りたい方は、wikipediaの「プロスペクト理論」をチェックしてください。)
【第1問】あなたは、次のうちどちらを選びますか??
①絶対に10万当たる宝くじを引く
②10分の1の確率で100万当たる宝くじを引く
【第2問】あなたは、次のうちどちらを選びますか?
①絶対に10万払わないといけない罰ゲームを受ける
②10分の1の確率で100万払わないといけない罰ゲームを受ける
いかがでしょう??
おそらく、第1問は①、第2問は②を選んだのではないでしょうか??
そうした方は、この実験をした時の多数派に属します(もちろん、そうでなかった方は少数派というだけで間違いではないです)。
ただ、これって2問とも期待値(※)は同じなんです。第1問は①②ともにプラス10万、第2問は①②ともにマイナス10万。
※期待値=1回あたりの平均で得られる(失う)金額の値。値が大きさが、そのまま実験のメリットやリスクの大きさを表すといえる。
つまり、どちらも同じ期待値なのだから、第1問は①に偏る、第2問は②に偏るというのは理論上はおかしいのです。しかし、実際に人の意思決定はこの偏りが出ます。
つまり、利益か損失かによって、人の思考はいとも簡単に非論理的な感情に左右されるってことです。これが「損失回避バイアス」というものです。
感情に左右されるな、というつもりはありません。しかし、少なくとも損失が関わると意思決定の際に思考にクセが生じると知っておけば、避けられる失敗もあるはずなんです。
合説の実施有無の意志決定に見る「損失回避バイアス」
さて、冒頭のコロナウイルスによる「合説をやるべきかどうか」問題に戻ります。これはまさに、経営者が意思決定する際に、いかに損失回避バイアスと戦っていたかということが見て取れます。
☆スペシャル大問☆
①合説を中止する
②合説を実施する
ここでのポイントは、どのくらいの確率で損害を被るかわからないということです。ここからはあくまで推測ですが、①②についての状況を具体的に考えたいと思います。
①を選んだ場合:100%の確率で損害が生まれる。損害額は億単位。
②を選んだ場合:損害を被る(合説に参加した学生によって感染が拡大する)可能性はどのくらいか不明。そしてそのような事態になった場合、被る損害額は果たしていくらなのかも不明(感染が拡大した場合、被害者への医療保障費や社会的信頼失墜による将来的なビジネスチャンスの喪失なども損失に含まれます)。
、、、いかがでしょう??②に関して、感染が拡大する可能性も、そうした場合の損害額がいくらなのか、見当もつかないと思います。もちろん、専門家に意見を求めればそれぞれ精度の高い数値は出てくるでしょう。しかし、その数値をもってしても、意思決定を大きく遅らせるものがあります。
それが、先ほど説明した「損失回避バイアス」なのです。リスク期待値と損失回避バイアスを天秤にかけながら、経営者はこれを判断していたわけなんです。
そして、結果は冒頭お伝えした通り各社が中止や延期という決断をくださいました。しかし、意思決定した時期が異なるのです。
マイナビ:2/26にマイナビ2021上に公式発表
リクルートキャリア:2/20にリクナビ2021上、リクルート社プレスリリースにて公式発表
ディスコ(キャリタス就活運営):2/26にキャリタス就活2021上にて公式発表
といった具合です。
ここでのポイントは、リクルートキャリアが2/20に①を選んでいることに対し、約1週間遅れてマイナビ、ディスコが発表したということです。
リクルートキャリア社は2019年夏に発覚したリクナビDMP問題があり、今年はこれ以上顧客の信頼を落とすわけにはいかない(危険を冒せない)状況だったこともあり、早めに①を選択できました。
それに対して残り2社は、ギリギリまで①を選べなかった。それは、「損失回避バイアス」によって、「たとえ期待値が同じだったとしても、必ず損失の出る①は嫌だ」という思考が働いたからだと思われます。
※参考※
行動経済学の本によると、②の見積もり損害額期待値が①の2〜2.5倍マイナスになると②を選べなくなるらしいです。つまり、損失期待値がはっきりと2倍までと算出されたのであれば、「合説やっちゃおう!」という未来になっていたかもしれないということです。
詳しくは、「こちらの本」がわかりやすくておススメです!✨
最後に
さて、今回はコロナウイルスによる合説開催有無の意思決定の裏側を、「行動経済学」から紐解いて考えました。この考え方は、これから企業や自治体、国の重要な意思決定を見る上で非常に有用な視点だと思います。ぜひ身に付けて、個人としては損をしない選択をしたいですね!
ただ、学生からしたらこの問題で企業との接点が失われることは
「たまったもんじゃない!」
そう思うでしょう。実際、大事な3月に企業との接点が十分に持てないことは後のキャリアにも大きく影響をするわけですし。
そこで僕たちキャリエディは、立ち上がりました。合説がなくなったのであれば、作ってしまえばいいじゃないか、と。そこで立ち上げたイベントは名付けて
「みんなで作る!合同企業説明会」。
声を上げた学生メンバーが、これから猛スピードで企業さんや学生にアタックしていき、形にしようと必死になっています。
こうした動きに少しでも共感してくださる、もしくは興味があるのであれば、ぜひ以下のFacebookページをチェックして情報を入手していただきたいです。
もしよければ、ページに「いいね」して、メッセージをいただけるともっと嬉しいです。学生の方はもちろん、企業様から「出展してみたい」という申し入れも募集しております!ぜひお気軽にお申し入れください!
キャリエディ(Carrer-Education Ship) Facebookページ
https://www.facebook.com/CareerEducationShip/
夏にはオリンピックもあります。政府はどうするでしょうか。
いずれにしても、目の前の選択1つ1つが未来を変えます。僕たちの手で、未来を変えてやりましょう。どうせやるなら、楽しい未来に向かって。
P.S.
こんな形にしたい!とか、こんな企業を呼んでほしい!などのご要望があれば、ぜひコメント欄でメッセージいただけると嬉しいです。
今後の進捗も含めて、お答えいたします✨
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