ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第153わ「四騎士の❝ゲーム❞」
吸血鬼の貴族が人間の遊戯にどれだけ精通しているものだろうか。ここは人類の研究によって確立された定跡を信じて序盤を切り抜けるしかあるまい。何より今の俺には悩む時間も許されないのだから。キング側のナイトを中央に向けて前進させる。前進した敵のポーンを狙う一手。しかし……。
「センター(中央)は譲れません。私もナイトを前進させましょうか」
クイーン側のナイトが前線に躍り出る。敵のナイトに狙われたポーンを自分のナイトで守る一手だ。俺もポーンを守るべくクイーン側のナイトを前に出す。すると相手もキング側のナイトを前に出す。……四騎士の揃い踏みだ。
「あ、知ってますよ。これはフォー・ナイツ・ゲームですね」
やはり相手にはチェスの知識がそれなりにあるらしい。初心者を引っ掛ける❝ハメ手❞を狙わなかったのは正解だったか。次の一手はどうするか。動かすべきはビショップか?ポーンか?ポーンだとすれば、どのファイルのポーンだ?
(続く)