ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第142わ「チェックイン」
どうやら俺は吸血鬼の貴族のパートナーに相応しくない容姿をしているらしかった。光栄なことだね。この顔は生まれつきなんだ。文句があるなら両親に言ってくれ。……この世界の何処かで生きていてくれるといいけどな。
「お嬢様。今の我らは、言わば……」
「数年ぶりに起動した、シンバルを鳴らすサルの玩具にございます」
「「まずは新しい電池に代わる、当座の食糧を要求します」」
「チッ、わかりました。ルームサービスで昏倒させたニンゲンを注文します。ただし、食事は隣の部屋で済ませるように。目の前で死者が出るとダンナが五月蠅いですからね……」
……ルームサービス。周囲を見渡せば、この空間は確かにホテルの一室のように思える。ただ、人間を食事として提供する宿泊施設というのは寡聞にして聞いたことがない。吸血鬼の、吸血鬼による、吸血鬼の為のホテルか。
「そのダンナとやらの話ですが、お嬢様」
「我々にも味見をさせていただきたく存じます」