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今更ながら現時点での第4回逆噴射小説大賞の振り返りなどすることにした

……いや、今年は少し厳し過ぎやしないですか。応募総数が403に対して二次選考を通過した作品数が93って。百分率にして23%じゃないですか。そう思って去年の様子を調べてみました!! 応募総数が702に対して二次選考を通過したのは162作品でした。やっぱり通過率は23%でしたね。

如何でしたか?(何がだ)

ちなみに僕の作品はどうだったかと言えば、はい。十月一日から書き始めて推敲に次ぐ推敲の果てに二十日間をかけて完成した十束神剣百鬼夜行千本塚だけが、どうにか生き残ったという次第でありまして。ほぼほぼ全滅です。

どんなコンセプトで書いた作品だったのか。

古のダンジョンRPGへの憧れを爆発させて書いた作品です。僕は偉大なる原典であるところのウィザードリィを遊んだことは無いのですが、だからこそ憧れが募るのは止められねえのでした。ベニー松山センセイのノベライズ作品が大好きで、かつてゲームの攻略本(具体的にはアルティマニア)に挿入されていた小説パートも大好物です。こういうのは家庭用ゲーム機の表現力が貧弱だった時代、それを漫画やアニメ、小説などの媒体が支えていた時代への、ある意味では僕個人が抱くノスタルジーなのかもしれないですね。あの時の興奮をもう一度、そして願わくば自分の手で誰かをワクワクドキドキさせられたなら……。

では原典をなぞるだけで良いのか?

良いワケないっすね。サムライの少年を主人公に据えるのは良いでしょう。その家来に裸の忍者ニンジャを添えるのも悪くはないとは思います。その次に「世間に溢れるライトノベルにありがちな『日本刀スゲー!』を逆手に取って『日本刀やべえ……』にしてはどうだろう」という発想があったと記憶しています。破滅と表裏一体の魔剣ならば、その切れ味にも説得力が出るというものです。ただ一振りの村正を求めるだけならばウィザードリィですが、より多くの妖刀魔剣を求める物語となると完全に朧村正に引っ張られている感じがありますね。その作中のシナリオ名と複数あるエンディングの一つである『朧剣百鬼夜行』『百鬼妖刀千本塚』を掛け合わせて(「百」「千」の前に何か適当に「十」の文字を付けたい……)そう思った結果が十束剣とつかのつるぎ……そのままでは今一つ語呂が悪い! ならば十束神剣とつかしんけん!!

十束神剣百鬼夜行千本塚とつかしんけんひゃっきやこうせんぼんづか!!

……そんな感じで題名は決まったのでありました。審査員から「首が落ちても死なない侍ってサムライ8を擦ってるんじゃねーの?」みたいに思われたら困るなぁ、と不安になっていたのは今となっては良い思い出です。そこに追い打ちをかけたのが数日後に投稿された、同じく不死身の侍を主人公(多分)とした、ししジニー氏の補陀落死人剣西遊記でした。やべ~!!グーとグーで同じコンセプトがぶつかったら俺の作品は強度で負ける~~!!!!とか思いましたよ本当に。ていうか今でも思っているよ……。

なぜ主人公は不老不死の選民なのか?

主人公を始めとする、この国の侍が鬼の末裔だからです。この辺は柳田國男先生の「遠野物語」に於ける鬼子……異常な特徴を以って生まれてすぐ間引かれたとされる子ら……から着想を得ています。(※これ調べたら「遠野物語」ではなくて「山の人生」でしたね)鬼子とは生まれてすぐ立つ、喋る、髪も歯も生え揃った状態で生まれるなどの特徴を持つとされる、一種の超人です。時代が時代ならば英雄として大成していたかもしれない人々が何らかの手段で生き永らえて、支配者として平々凡々な只人の上に君臨する和風世界を書けば面白いのでは? と思った為でありました。ついでに言えば、この物語世界では日本人が「侍」と聞いてイメージするような手合いは地上を追われて洞窟人と化しています。ですので侍(を名乗る鬼の末裔)にとっての武器と言えば金棒です(これは世界樹の迷宮Ⅳの刀と金棒の二刀流で戦う職業(種族でもある)「モノノフ」の影響を受けていることを白状せねばなりますまい)。試練に挑むべく魔剣に頼る主人公は「剣が折れたぐらいで名前まで折れては堪らない」と思っています。つまり数を揃えて、どうにかしようと考えているのです。

「鑑定」

現代人が「鑑定」と言えば美術品の真贋を見極めることを指す場合が殆どでしょう。主人公の家来である忍者(※彼女は司祭の能力を持っています)にとってはアイテムの正体を突き止める作業のことを言い、肝心の侍にとっては切れ味を試してみる行為のことを言うのです。こういう❝ズレ❞が面白いかな、と思って盛り込んだのですが、果たして審査員からの評価はどうなることやら。

最後に

……そういう諸々のアイディアを800文字という制限のある弁当箱に過不足なく盛り込んで、尚且つ「続きを読みたい!」と思わせるパワフルな小説を書かねばなりませんでした。二次選考に通過したという一点に於いては、その試みは一定の評価をされていると言ってもいいと考えています。ただ、そこで作品を一つ通過させるのが精一杯だったという自分の限界に突き当たったのも事実です。毎度毎度、思うことではあるのですがライバル達が強大にも程がある……!! 今回、僕の作品をピックアップしてくださった朽尾明核様に至っては今年が初参加でありながら、三作品とも二次選考を通過していらっしゃるではありませんか……!! 逆噴射小説大賞は俺のような平凡なプレイヤーの成長を待たずに次々に強い敵が投入される悪夢のようなバランスのゲームですよ本当に……ッ!!(オワリ)

※これが前述のピックアップ記事です。たまに読み返して僕はニヤニヤしています。僕の作品と「朧村正」との類似点も挙げておられる。スゴイ。完敗です。犬と呼んでくだせえ。ヘッヘッヘ。(本当にオワリ)

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