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twentynine
ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第139わ「新しい友だち、新しい地獄」
どうやらセーフハウスとやらに到着したらしい。問題は今の声だ。どう考えても初めて聞く声だった。少なくとも吸血女の声ではない。
「着きましたよ。開けてください。開けなさい」
またも違う声だ。棺の蓋を強く激しく叩いている。外はどうなっている?この声の主は何者だ?敵の吸血鬼か?俺の吸血女は俺を置き去りにして敗死したのか?だとすれば、このまま籠城したところで俺の死期は数分と変わるまい。しかし偽物に騙されて食い物にされた挙句に死ぬというのは面白くない。俺を殺したければ自分の実力を以ってして、この棺の蓋を開けるといい。
「何で開けないんですか?イヤイヤ期なんですか?」
俺の知る声と顔の吸血女に俺の籠城の構えは一瞬にして崩された。何だ、生きていたのか。心配して損した。
「開けてしまいましたか」
「まことに愚かなことです」
見知らぬ顔。体のあちこちが継ぎ接ぎの、生命の鼓動も微塵も感じさせない二人の女が俺を見下ろしている。