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ハントマン・ヴァーサス・マンハント(邦題:吸血貴族どものゲーム)第125わ「さらば、戻れない日々」
相棒の瞬きが止まる。まるで時間を止める魔法にでもかけられたみたいに息遣いが止まる。慎重に相棒の目を覗き込むと、カラフルな飴玉のようだった瞳が今や、スプーンで叩かれたゼリーのように波打っているではないか。
「……演技なんですよね?」
そうだ。あんたを退屈させない為の演技。そのデモンストレーションだ。
「いや、何と言うか。あまりにも迫真の演技だったといいますか。不覚にも茫然自失としてしまって……」
方向性について要望があれば何でも言って欲しい。王侯貴族に仕える道化の真似事をしてもいいし、世界的に有名なコンサルタント探偵の助手みたいに、あんたの活躍を目の当たりにする度に大袈裟に驚いたり称賛してみたりする役でもいい。ズタ袋に詰められて運ばれるのだけは嫌なんだ。何でもいいから俺に役割と立ち位置を与えてくれ。
「わかりました。そこまで言うなら私も上に立つ者としての器量を見せねばなりますまい。犬になってください」