【エッセイ】免許センターで誕生日会をすればいい

少し前に、免許更新のため江東区の免許センターに行きました。

大学生のとき免許を取ってから更新は3回目。でも免許センターのあの雰囲気、どうも好きになれなくて。

普段交わらない領域の人たちが、境界を超えて集まってきて、自由に出ていくこともできずに滞留してる感じ。ずもずもする。
そこにいる人たちがあまりにも読めなくて落ち着かないんです。鼻をすすっただけで怒り狂う人がいるかもしれない。急に大声で電話し出す人がいるかもしれない。長く待たされているという状況もあって、どんより濁ったような緊張感。僕の性格もあると思いますが、少なくとも楽しそうにしている人はいません。

そんな中でずっと列に並んで、早く帰りてえなぁ、なんて思いながら待っていました。
だいたいなんなの「違反者講習」て?
僕は、この5年で一度だけ右折レーンに気づかず直進してしまっただけなのです。それだけなのに、どうして犯罪予備軍みたいな扱いをされなきゃならんのか。反対にまったく運転してない人がゴールド昇格って、ソシャゲだったら許されない設定だろ。


荒ぶる僕の情緒。
そんな中、ある事実にふと気づきます。

あれ、そういえばこの人たち、みんな誕生日近いんだよね?

免許更新は誕生日の前後1か月だから、センターにいるほとんどが、近く誕生日を控えている人、もしくは最近誕生日だった人ということになります。もしかしたら誕生日当日の人だっているかもしれない。

みんな同じ季節に生まれたお誕生日軍団。ここがディズニーランドなら、全員が誕生日ステッカーをもらえる権利がある。

そう考えると、館内が一気に明るくなった気がしました。


たとえば、誰かがサプライズで「お誕生日おめでとうー」とか言い出したらどうなるだろう。皆が皆、お互いを祝い合う大誕生日会が始まるかもしれない。今年はじめて祝われました!なんて嬉しくなって帰っていく人もいるかもしれない。
免許センター側がそういうことしてくれたら面白いのに。

何の思い入れもない他人が、誕生日が近い仲間になった。ひとつの事実に気づいただけで。誰かとすれ違うたびに、心の中でハッピーバースデーと祝っとく。

それからは、講習が終わるまで嫌な気持ちなど忘れてしまいました。


A 事務的に免許更新をするだけの場所
B 誕生日の近い人が一堂にあつまる場所
どちらも事実。
だけど下の事実のほうが気分が良い。

僕らが見ている世界は、事実半分、捉え方半分なんだと思います。そこがいい場所になるか、悪い場所になるかは、わりと捉え方次第。

こんなふうに、いまの状況の面白い切り口を考えながら過ごしてると、少しだけ人生のストレスを削れるかもしれません。


最近もうひとつ、同じように捉え方の変化でちょっと幸せになった例。

この前書いた記事、『文学部の逆襲が始まる』が少しずつ伸びています。有難い。同じように考えていた文学部卒の人が、実はこのnoteの中にたくさんいたのが嬉しいです。

noteは、かつて文学を学んだ人たちが、自分の好きをもう一度力にしようと挑戦している場所、なのかも。

そう思いはじめました。すると、やっぱり少し、ここが愛しくなってきました。

捉え方って大事だ。

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