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【コラム】『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の面白さを、構造化して考えてみた
先日アップした記事「トイ・ストーリーの面白さを、構造化して考えてみた」に、たくさんのスキをいただきました、ありがとうございます。
さらに、noteさんの『今日の注目記事』にも久々に選んでいただきました。
いやもう、こんなんでよければいくらでも書きますよってに。
実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下BTF)でもストーリーの構造化分析をしてみてたので、こちらもぜひ見ていただければと思います。
すごいですよ、この映画も。
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個人的にですが、「災難巻き込まれ系ストーリー」の中では、BTFは史上最強だと思っています。
他の映画と比べても、この映画は主人公の心理描写がかなり少ない。主人公マーティがただだ厄介な状況に巻き込まれていく、というお話。
だからこそ悲壮感とか重さが全くなくて、家族みんなで楽しめる映画になっているんだと思います。
では、この映画の面白さはどんなところから生まれているのか。
構造化して僕なりに感じたことをお伝えさせてもらいます。
「もっと面白くできないか」のアイデアが、一切の妥協なく詰め込まれまくっている。
これがこの映画のすごさだと思っています。
この「妥協のなさ」がうまく伝わるように、ストーリーの要素をイチから積み上げなおしてみようと思います。(実際にはどんな思考順で考えられたかは分かりません。あくまで理解のためのシミュレーションです)
まず「過去にタイムスリップして戻れなくなる話」というアイデアだけ、最初にあると考えてみます。
過去から戻れなくなるだけじゃあんまり面白くないですよね。だから、過去でどんな出来事が起きれば面白くなるか、いろいろ考えてみる。
そこで、「両親の出会いを邪魔してしまい、自分が生まれなくなってしまう」という困難をプラスします。
このアイデアひとつでもう一気に面白いんですよね……
だけど彼らはまだ満足しない。
「ただ出会いを邪魔するだけじゃつまらない。父親は臆病で女性が苦手な性格にしよう。さらに母親は息子である主人公に恋させてしまおう」
かなり状況がややこしくなってきました。
母親が未来の息子に恋をする、ってアイデアも新鮮で秀逸ですよねぇ。
しかしまだ手を緩めないっ!
「もういっちょ。いじめっ子のビフにマーティの邪魔をさせよう!」
……もうマーティ可哀想だって。
それでも、もっと面白くするために、まだ積み上げるんです!!
「この困難なキューピット作戦に、さらに時間制限までつけちまおう」
マーティは、タイムトラベルの電力源である「土曜夜の時計台の雷」までに、両親を恋仲にしないといけなくなる。これが時間制限の枷。
ここで、「未来への帰還」と「恋のキューピット作戦」というふたつの大きな目的が合流します。美しい合流です。
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この「時計台の雷」を帰還の条件にしたのは、本当に素晴らしいアイデアだと思います。
ただ一発の雷にしたことで、時間制限だけでなくやり直しが効かないという緊迫感も生まれます。
しかも「雷を捕まえてデロリアンに流す」とか、映像的にもワクワクするじゃん!
このひとつひとつのアイデアの秀逸さ、そしてそれらを違和感なく因果で繋げる技術。
これこそBTFが伝説的に面白い理由だと思いました。
さて、いかにこの映画が「妥協なきアイデアの集合」でできているか伝わったでしょうか。
平凡な作り手なら、「このくらいで十分だろう」と考えそうなところから、さらにもうひとつ、もうふたつ、「もっと面白くならないか!」を考え尽くしたんだと思います。
これらのストーリーの上に魅力的なキャラクター、ワクワクする映像、すべてが詰まった最強映画。
いったんこの記事はここまでにしますが、他にも魅力はたくさんあります。
三谷幸喜さんがBTFを「伏線映画」だと語られていたのですが、仰るように伏線の魅力も存分にある作品ですよね。
まさに擦り切れるまで読み込むべき教材!
みなさんも機会があれば、もう一度じっくり観返してみてください。