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忘れられない映画『デカローグ』

何だか知らないけれど,キリスト教に縁がある。とはいえ,我が家は特段,キリスト教信者家庭ではなかったから,幼児洗礼を受けたとかそういうのではない。

小学生の時,何かの折に母親のお供をしてレンガ造りの青学の側を通ったことがある。

西洋風のおしゃれな学園風の作りにキュンキュンし,思わず「こういう学校に行きたいんだけど」と,母親に行ったらすげなく却下された。

普通は子どもがこういうことを言ったら,受験を賛成してくれるものだと思うんだけど,親の教育方針はそうでなかったらしい。

以来,レンガ造り=キリスト教の脳内図式ができあがり,「チャペルがある大学に行きたいな~」と,高校生の進路決定はあっさりとそちらに舵を切った。

運よくキリスト教の学校にご縁を頂いて,4年間みっちりキリスト教学も必修単位の授業として学ぶことになり,教養としてのキリスト教が少しはわかるようになった。

洗礼を受ける予定の友達にくっついて,学校のシスター達が開いているキリスト教の勉強会にも通った。

綺麗に装う人が多かった大学だったけれど,勉強に打ち込むでもなく,きれいにメイクする,装うのもめんどくさいし,自分が若いだけでなんのとりえもなくて,ただ単に外の世界で生きるのが何もかもめんどくさくて,修道院に入りたかった。祈りの静寂な世界に籠りたかった。

その後,大学院は別の大学に通ったけれど,創立者の1人がこれまたキリスト教の牧師さんだった。

じゃあ,洗礼を受けて本気で修道院に入るかと言うと,教義を勉強するのも嫌だった。

そもそも,生まれながらに原罪なのがわからなかった。わたしたちは神の子なんでしょ?神の子は愛されてるんでしょ?じゃあ何で罪なんだ?そもそも,この世界を生み出した存在は,こんな高圧的なキリスト教的父権社会なんて創らないんじゃないの?

よくわからなかった。

だけど,キリスト教学の授業は面白かった。

イエズス会の神父様が講義をしてくださる授業もあれば,宗教学としてバリバリの社会学を教えて下さる授業もあった。

「魂とは何か」「愛とは何か」

公立の学校だったら絶対に教えてはくれないことを正面から問われる時間は,青年期のわたしにとって至福の時間だった。

そんな授業の1つで,十戒をモチーフにしたオムニバス映画を延々10話,観ていく授業があった。

話している言葉は,聞いたことがない東欧の言葉で,でもなんか懐かしい響きと映像の映画は,重たくて暗いのだけど,引き付けられていった。

カーテンを引き,暗がりの中で見る映画が終わると,ボーっとしていて,毎回,感想文を書かされるのだけど何をどうまとめたらいいのか皆目見当がつかない。

それはみんな同じようで,先生は「思ったことを書いて下さい」とおっしゃって,とにかく授業に出ていれば「優」を下さった。

あの映画はなんていうものだったのだろう?ずっと,心にひっかかっていて,謎だった。

アメリカ映画の『十戒』じゃないし,ロシア映画でもない。なんなの?と,思い続けていたけれど,さっき題名が分かった。

『デカローグ』という映画だった。

デカローグ (波:Dekalog, 英:The Decalogue) は、1989年から1990年にかけて製作されたポーランドのテレビドラマ・シリーズ。 クシシュトフ・キェシロフスキが監督を務め、キェシロフスキとクシシュトフ・ピエシェヴィッチが脚本を、音楽をズビグニエフ・プレイスネルが担当した。 各1時間の全10話で構成され、聖書の十戒をモチーフにしている。 現代のポーランドに住む人々が直面する道徳的・倫理的な問題が各話で扱われる。 本作はキェシロフスキの作品で最も称賛されており、「テレビ作品では最もドラマティックな作品」と言われている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0

最近リマスターされたようで映画館でも上映されていたみたいだけど,去年の年末で上映は終了していた。

20歳のわたしと今の年齢のわたしでは,全く違って見えるだろうから見たかったけれど,でもあの雰囲気はなかなかヘビーだ。

若いから「人はなぜに生きるのか」というテーゼに真っ向から向かえたような気がする。

とか言ったら,普通の人はそんなこと考えて生きていないとか。え???

「自分は何のために生まれて来たのか」それを知るために生きているんじゃないの?学問するんじゃないの?

あたし,そっちの方がびっくりなんだけど?

と言ったら,呆れられた。

それでも,わたしは生きるを学問したい。情報じゃなくて教養が欲しい。

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K夫人/発達∪心理学のオバさん
論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。

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