きゃろ16歳の夏
中学生の頃まで女子と話すのが苦手だったぼくです。
理由は、周りの男子から冷やかされるのが嫌なのと、話しかけて万が一、冷たい態度をとられて傷つくのが嫌だったからです。
そんなぼくでも、やっぱり思春期でして女子と仲良くなりたい!
そのために、駅伝の強豪校のスカウトを蹴って女子が多い共学校に進学しました。
今思えばその時が人生最初の大失敗だったかも。。。
そして無事合格して入学初日。
他の中学からきた男子はなんのためらいもなく女子と和気あいあいと喋っています。
『彼らはどうしてあんなに普通に女子と喋れるんだ?』
ぼくがそう思っていると男子が話しかけてきました。
『なんで女子と話さないの?』
『い、いや、何を話したらいいかわかんなくて。。。』
それを聞いたその男子は一瞬ぽかんとしたあと、
『そんなの気にしないでテキトーになんでも聞けばいいんだよ』
その男子の後押しのおかげでぼくの中の何かが弾けました。
そこからぼくの行動が180度逆転しました。
『はじめまして、〇〇中学からきたきゃろです。よろしくね』
この一文が話せるようになるのに16年の年月を要しました。
あっという間に打ち解けることができました。
それから程なくして、ぼくが変身するきっかけをくれた男子から、その男子と同じ中学からきた女子ですごく可愛い子がいることを聞きます。
別のクラスだったので、休み時間に用もないのにその子のいるクラスに偵察にいきました。
自分の友達を探すフリをしながら見回すと、ひときわ目立つ輝きを放つ女子を発見!
『あの子?』
『そう!』
ぼくの心臓は一瞬でその子に鷲掴みにされました。
そんなに意識しない女子であれば平気で話せるようになっていたのですが、その子に関してはそうはいきませんでした。
その時は話しかけることもできずに撤退しました。
それから作戦会議です。
『電話しちゃえ!』
友達の男子が中学のアルバムをかしてくれました。
当時(30年前)は、卒業アルバムの後ろのページに生徒全員の住所と電話番号が載せてあったので、その子の電話番号も簡単にゲットできました。
夕方電話ボックスの前で固まること1時間・・・
最後の番号をプッシュできません。
『何を話そう』
『両親がでたらどうしよう』
当時はスマホなんてありませんでしたし、本人がいる保証もありません。
ですが、高校デビューしたぼくは中学までのぼくとは別人でした。
『いてまえ!』
『トゥルルルルル・・・・ガチャ!はい、もしもし』
聞こえてきたのは紛れもない彼女の声です!
『あ、あの。。。誰だかわかる?』
一言も喋ったこともないのに最初に発した言葉がこれです。
相手も知る由もなく
『。。。誰?』
じゃっかん、いぶかしげに聞いてきます。
スイッチが入ったぼくはせきを切ったように話しはじめました。
『○年○組のきゃろっていうんだけど、◎◎さん(彼女の名前)と同じ中学出身の□□(友達の名前)と同じクラスです。友達になってください!』
最初は戸惑っていた彼女も、次第に打ち解けてきて気付いたら30分は話していたと思います。
それから一週間毎日電話しました。
そして週末金曜日、運命の日が訪れます。
『見たい映画があるんだけど・・・行かない?』
そう聞いたのはぼくではありません。
まさかの彼女からのお誘いにぼくは天にも登りそうな気持ちでした。
もちろん即答でOK!
その勢いで告白しちゃいました。
『もしよかったら・・・・付き合わない?』
少し考えた彼女は・・
『うん、いいよ』
死んでもいいと思いました。
彼女は学年でもトップ3に入ると噂されていた高嶺の花です。
そんな彼女ですから、男子はみな腰が引けていました。
『俺なんかが声かけても無理!』
『どうせ彼氏いるだろ』
ぼくはそんなの関係ねぇ!!当たって砕けろじゃ!!
という感じでありったけの思いをぶつけて
彼女をゲットしました。
『やらずに後悔するより、やって後悔した方がまし』
気持ちは言葉にして伝えないといつまでも伝わりません。
『言って嫌われたらどうしよう』
『恥ずかしいな』
それって全部、自分の都合ですよね。
自分が傷つきたくない、恥ずかしい思いをしたくない。
『好きな人のために自分ができることってなんだろう』
そう考えることができたら、自分本位の思考はなくなると思います。
おそらく彼女は、男子に対して奥手で、ぼくに積極的にこられて嬉しかったのだと思います。
今もし、気になる子がいてどうしようか迷っているならば、やるべきことは一つです。
『彼女はどうしたら一番喜ぶだろうか』
その答えは人それぞれのはずですから、あなたが思う
彼女の一番幸せになるであろう行動をしてください。
きっとあなたにも幸せが訪れますから!
最後まで読んでいただきありがとうございました。