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悪魔召喚と都市伝説
ども、か~まいんです。
久しぶりの更新になりました。
今日はある都市伝説についてのお話を少し。
みなさんは「合わせ鏡」についてご存じですか?
美容院や三面鏡等で日常的に使うことが多い合わせ鏡ですが、
深夜零時に合わせ鏡を覗くと自分の未来の姿が見える。
深夜零時に合わせ鏡をおいておくと、その間を悪魔が通り、
聖書で挟むと捕まえることができる。
合わせ鏡の間の空間は霊道である。
などという噂話を時々耳にされた方もいらっしゃると思います。
私がある病院の整備にかかわっていた時のことです。
その病院は、二次大戦時の傷痍軍人国立療養所のあった跡地に新しく建設することになったのですが、その中に、幅3m、長さ15mという長い通路のような更衣室を設けることになりました。
入口は通路の真ん中にあり、そこから長辺方向に何十人分もの更衣ロッカーをずらっと並べるのですが、更衣室の中に大きな姿見を2枚設置するレイアウトになっていました。
配置図面では、通路の一番奥の突き当りに1枚、出入り口の前に1枚を置く計画になっていたのですが、実際に備品が納品され、ロッカーを並べてみると、出入り口の隣に鏡を置くだけのスペースがありません。
しかし、すでに鏡は梱包を解かれ、職人さんが鏡のとりつけ位置の指示を待っている状況です。
その日は院内備品の納品ラッシュで、こんな所で職人さんの足止めをする訳にはいかないと考えた私は、あまり深く考えず、もう1枚の鏡を反対側の奥のスペースに設置してもらうように指示しました。
慌ただしい1日が終わり、最後に作業確認で院内を巡回します。
再び更衣室を訪れたそのとき、はた、と気が付いてしまいました。
これ、「合わせ鏡」になってるやん……
通路のような更衣室の端と端、鏡と鏡の間が15mもある、見事な合わせ鏡が完成しておりました。
夢もロマンも魔法もない話で言うなら、合わせ鏡には特に大きな意味はありません。
光の反射と減衰を繰り返すだけの、只の構造物です。
私は仕事モードの時はそういった話は基本的に相手にしない人間です。
霊障だのオカルトだとのいう話を持ち出して仕事の進捗を阻害する方達に対しては、相手の心象に一定の理解を示しつつも毅然とした態度で接しています。
ですが、これ、「か~まいん」という私人になると話は別ですw
深夜零時に合わせ鏡を覗くと自分の未来の姿が見える。
深夜零時に合わせ鏡をおいておくと、その間を悪魔が通り、
聖書で挟むと捕まえることができる。
合わせ鏡の間の空間は霊道である。
どれも比較的新しい都市伝説ですが、現代の魔法使いを志す私が、これはやはり検証せねばならない!という義務感に駆られるのは仕方がないことでしょう。
幸い、開院までの施設管理のため、1人で病院の警備当直をする日がありましたので、その機会を狙って、深夜こっそりと更衣室へ向かいました。
懐中電灯と聖書(結婚式の時に主人と交換したもの)を手に、深夜の病院を歩きます。
この時点でなかなかの雰囲気ですが、当時の私は、仕事が忙しすぎてちょっといい感じにおかしくなっていたので、恐怖心などは完全に何処かに行ってしまっており、ひたすらハイテンションにワクワクしておりました。
今思えば、むしろその状態がホラーだったのかもしれません。
電子ロックを解除し、件の更衣室に入ります。
電気は使える状態でしたが、あえて点灯せずに深夜零時を待ちます。
しかし、鏡と鏡の間が15mもあると、そもそもどこに位置取りをすればいいのかよくわかりません。
また、悪魔がどちらの鏡から現れて、どちらに向かって走って行くのかも不明です。
かといって、鏡と鏡の真ん中に立つと、懐中電灯程度の光源では、鏡に映っている自分の姿が良く見えません。困りました。
仕方がないので、物理的に道ができるということなら、最初に置いた鏡から後に置いた鏡へ向かって進むだろうという仮説のもと、最初に置いた鏡の前に向かって立ち、鏡に向けて聖書を開きました。
聖書を開いた箇所は少しでも悪魔の記述がある所が良いだろうと考え、ルカによる福音書の4章、荒野の誘惑が書かれているページを選びました。
準備万端で待ち構え、ついに時計(といっても携帯電話ですが)が零時を指し示す時がきました。
……が、何もおきません。
鏡に映っている私も、雑なメイクでぼざぼさ頭のいつも通りの私の姿です。
特段美しくもなければ年老いてもいない、代わり映えのない姿がそこにありました。
もしかしてここは明石から経度にズレがあるので、あと15分位は待たないと駄目なのか?などと思いつつ、あ、そういえば最近ゆっくり鏡で自分の顔を見ることがなかったなぁ。
やっぱちょっと肌も荒れてるし、髪もそろそろ染め直さないといかんなぁ、などという事を漫然と考えながら、15分ほど待った結果ですが……
結論!
合わせ鏡では悪魔は現れない。
また、合わせ鏡に自分の未来や過去の姿が鏡に映ることはなく、現時点のありのままの姿しか映さない。
という結果になりました。
いやぁ、これで悪魔召喚と都市伝説の関係について、実証実験によるエビデンスが1つ加わりましたね。
所詮、都市伝説は都市伝説ということでしょうか。
やはり悪魔召喚のような高度な魔術は、グリモワール等を専門に研究していらっしゃる方に委ねるのが良いかもしれません。
最後にもう1つ。
合わせ鏡の間の空間は霊道であり、良いモノや悪いモノが通る道であるというお話です。
実はこの合わせ鏡については、事後に看護総師長にお話をして、気になる方がいるかもしれないので、もし不都合なら撤去します、とお詫びを申し上げたのですが、一笑に付され、そんなの大丈夫よとおっしゃっていただきました。
今でも時々思い出したように看護師さん達に、更衣室はどうですか?と訊ねているのですが、病棟から遠いとか、ロッカーが狭いとかいったお話しはありますが、鏡について何かおっしゃる方は、今のところ1人もいらっしゃいません。
そのあたりから推察すると、合わせ鏡の間には霊道といったモノは存在しないか、仮にあったとしても、現実に影響を及ぼすようなものではないと考えて良いと思います。
まぁ、看護師さん達にとっては霊や悪魔なんぞより、生きている人間の相手の方が、はるかに大変なのだと思います。