JR九州を、救いたい。

九州を襲った記録的な豪雨から、1ヶ月あまり。

あの朝タイムラインで目にした肥薩線の、湯前線の、久大本線の、凄惨な沿線の光景が、今も脳裏に焼き付いて離れない。

ただでさえ、新型コロナウイルスの蔓延による人の移動の鈍化が、交通事業者の経営に致命的な打撃を与えている昨今。これらの路線の復旧への道筋が困難を極めることは、想像に難くない。

それでも、どうしても立ち直ってほしい理由がある。

自分の旅において鉄道は、単なる旅先への移動手段ではない。むしろ、それ自体が旅の目的たりうるものだ。駅や列車内の風情。沿線の景色。言葉にするとどうしても陳腐になってしまうが、自分を長年魅了してやまない、かけがえのない魅力が、鉄道の旅にはある。

そうした「旅の目的としての鉄道」を、鉄道オタク以外にも広く知らしめるにあたって、JR九州は間違いなく大きな役割を果たしてきた。そして、その活動の鍵を握っていたのが、まさに久大本線と肥薩線だった。

鉄道の旅の魅力に触れることで、鉄道を愛する仲間が一人でも増えるために、そして自分自身、これからもその魅力を享受し続けるために、「ゆふいんの森」は豊後森止まりでは困るし、「SL人吉」も「かわせみ やませみ」も「いさぶろう・しんぺい」も、復活してくれないと困るのである。

JR九州のために自分ができることといえば、お金を落とすことぐらいしかない。幸い鉄道事業は、飲食事業や製造販売業と違い、原価が売上にほとんど左右されない。だから、きっぷを購入すれば、ダイレクトに運行事業者の利益に貢献できる。

そういうわけで、先々週は鹿児島、先週は宮崎、今週は大分、来週は長崎…と、毎週「みんなの九州きっぷ*」を購入し、旅に出かけている。何もなかったとしてもこのきっぷは利用していたとは思うが、あの一件がなければここまで狂った使い方はしていなかったと思う。

とはいえ、自分ひとりが出せる金額なんて微々たるものだ。そして、自分の私情やJR九州の窮状をいくら訴えたところで、こんなご時世にお情けで九州に来てくれる人なんて、そうそういないだろう。

そこで、これからここで、自分が旅した九州の魅力を、自分なりに精一杯発信していこうと思う。その合間に、自分が感じている旅そのもの魅力や旅へのこだわりについても語らせてほしい。

2020年8月8日。肥薩線や久大本線と同じく自然災害に見舞われ、一部区間で運休を余儀なくされていた豊肥本線が、4年4ヶ月ぶりに全線で運転を再開する。暗い話題が続く中での、一筋の光明。そんな記念すべき日に、このnoteを始めることとする。

*みんなの九州きっぷ:JR九州の全線で、普通列車・快速列車と特急列車・新幹線の自由席が、土休日の連続する2日間乗り放題になる企画きっぷ。座席指定券も6回まで発行でき、全車指定席の列車にも乗車可能。全九州版と、豊肥本線以北+三角線をカバーする北部九州版の2種類。価格、購入方法など詳細は公式サイト(https://www.jrkyushu.co.jp/train/minnnanokyushu/)を参照されたい。

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