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【9日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Tui→Redondela 星の巡礼

おことわり
2023年の5月に巡礼路を歩いた記録を1年後に同日付でアップしています。当時の記録に加筆して旅を振り返ります。


暗闇を歩き出すと獣道だった

2023/05/26(金)
4:00
目が冷めて、というか寝ていないから、もうこのまま起きて行動するべきか? と思い悩んで体を起こす。ベッドの仕切りの向こうには人など居なかった。「あれ? 女性の咳をしていたあの音は?」と背筋が寒くなった話は昨日した。

4:40
寝床から鳥の鳴き声を聞いている。いよいよでかけて良いかと判断した。準備開始。

4:55
出発。気温は15℃。

ヘッドランプを着けて宿を出る。
矢印見つけられるかな?
朝食にクッキーを食べる

5:10
Tuiの街は城塞都市。山の稜線に南北に長く街が伸びている。そこに街道が走っている。しばらくは道路が続くだろう。あっさりしか見ていない地図を過信して進んだ。
教会の裏手の細い道を進み、矢印に導かれ巡礼路は薄暗い獣道に入る。いや、獣道は言いすぎた。本来なら嬉しいはずの林間の遊歩道だ。今日は怖い。

矢印はどこだ?
闇へと誘う黒い影

星のキャンパス

携帯カメラを地べたに置いて撮影。木の陰がわかる。

月が夜を見張っている。わずかな光が届いている。こんな日はヘッドランプが逆にいらない。目がなれると道が見える。土が白い。
ブラジルでリオ・ダ・ルースRio da luz(サンタ・カタリーナ州の田舎町のさらに小集落。光の川の意味)を訪れた時、夜道を歩いて帰った日を思い出す。ライトが無い方が目が慣れて視野が広くなるのだ。そのことは一緒に歩いた子供たちに教えてもらった。

5:30
北斗七星を頼りに北極星を同定し、自分が北に向かっていることを知る。

・ヘッドライトは照らすこともさることながら、自分を発見してもらう意味もある。
→自分から輝かないと見つけても貰えないんだねという教訓めいた言葉が浮かぶ。
よっぽど不安だったのか?

目指す土地はコンポステーラだが、その名前の由来はCampus stellae、ラテン語でスターのキャンパス(星の野)を意味することによるという。ある行者が星に導かれ聖ヤコブの墓を見つけたと伝説は語る。あるいは殉教したヤコブの遺骸を乗せた船を天使が星の光で導いたためともいう。

今ここで星に方角を知らせてもらうことは伝説と結びつく由緒正しい啓示なのだ。

ところでこの「星のキャンパス」説はコンポステーラの名前の由来として良く知られているが、学術的には否定されていると見ていいらしい。ロマンチックな説明なので、そう言いたくなる気持ちは良く分かる。

5:40
わずかに明るいか? 街の光か。

6:04
星が一瞬瞬いた。

6:10
地平が茜色に。地にも光が届き始める。

6:30
Riberdeouloという集落に出る。明るくなった。森を抜けた。怖かった。気温は13℃から26℃。

太陽の位置を知るアプリで日の出を確認した

日の出は7:04分。遅すぎるだろと突っ込みたくもなる。
ポルトガルと同じ経度、ロンドンより西にあるのに、ヨーロッパ中央時間を採用しているので、こんなことになるんだろう。

7:30
森を抜け集落から市街地へ。物流センター地帯。工場の臭いは咳き込むほど。もう少し山道を行く選択肢でもよかったのにと後悔する。

SIGMA dp3 Quattro ƒ/9 1/100 50 mm ISO 200
碍子? 碍子なのか?
SIGMA dp3 Quattro ƒ/2.8 1/100 50 mm ISO 100
SIGMA dp3 Quattro ƒ/2.8 1/100 50 mm ISO 100

朝カフェ休憩

8:30
Oporrino、市街地

線路と道路の立体交差とそれを越える歩道橋


SIGMA dp3 Quattro ƒ/11 1/200 50 mm ISO 200

8:43
カフェに入る。
カフェ・アメリカーノのサイズは小ぶりだ。
この時間になって、ようやくオ・ポリーノO pporrinoからの巡礼者と出くわすようになる。
トゥイTuiまでは国境の町でポルトガル語がおかしくない感じだったが、気がつけば店内はスペイン語になっている。言葉が通じない様子だったが、ポルトガル語で通してみる。
水を手に入れたかったので水道水を汲んでもらおうと頼んだが、自分でやれというので、トイレの水道の蛇口からひねり出した。

このカフェでも巡礼者のスタンプが置いてあり、自分で手帳に押していく巡礼者の姿も見られた。

目玉焼きのくり抜きがカワイイ朝食のトースト

待ってました雨

9:30
朝食をしっかりととった後、カフェから出発。
雨が降ってきた。今回の目玉アイテム傘が大活躍。晴雨兼用で日差しが強いうちは日傘にして歩いてきた。ここで初めて雨を経験する。
ところで、巡礼者で傘を持っている人間には一人も出会わなかった。たいていは、ビニールのカッパ。ちなみにカッパはポルトガル語。

一見、邪魔なようだが、日傘としての使い道と、出し入れのしやすさは圧倒的によい。また濡れたカッパの始末が悪いことには皆が難儀していたし、誰しも経験あることかと思う。

SIGMA dp3 Quattro ƒ/8 1/125 50 mm ISO 200
SIGMA dp3 Quattro ƒ/6.3 1/125 50 mm ISO 200

10:50
モスMosの町。集落を貫く道が整備されていて、行政がしっかりと予算をかけて景観をプロデュースしている印象を受ける。チャペルを訪問する。

SOMOS MOSというダジャレ。We are Mos.ということ。

11:00
チャペルの外の腰掛けから立ち上がり、しばしの休憩を終えて出発。

SIGMA dp3 Quattro ƒ/6.3 1/250 50 mm ISO 200
SIGMA dp3 Quattro ƒ/13 1/250 50 mm ISO 200

12:34
パドロンPadrónの急坂、景色が素晴らしい。

坂道と山道
SIGMA dp3 Quattro ƒ/13 1/160 50 mm ISO 200
SIGMA dp3 Quattro ƒ/14 1/160 50 mm ISO 200


100km未満では泊まれません

Albergue de peregrinos Casa da Torre

13:35
Albergue 到着。
Albergue de peregrinos Casa da Torre

スペイン語話者が、レセプションでもめている。どうやら泊まりたいが、100km未満の歩行は巡礼者と認められないということらしい。そうか100kmを切ったのか。
巡礼のルールとして100km以上徒歩で歩くというのがある。本当に適用されている現場に出会ったことになる。彼らは宿泊できずに断られていたようだ。
自分はサバナsábana(シーツ)を受取り部屋へ行き、そそくさとベッドメイキング。充電器を仕掛け、シャワーの用意。一連の動作も慣れたものだ。着替えを持ってシャワー室へ。古い建物の中に整備されたシャワー設備。シャワーと洗濯は同時に行う。日本から持ってきた小さめのただのコンビニ袋を洗濯用に使っている。固形石鹸で石鹸水を袋に貯め、洗濯物を入れてもんであげる。つけ置きにしてその間に体を洗う。流しながら、洗濯物もすすぐ。

14:58
シャワーと洗濯が終わる。

15:30
スペインのAlbergueでは共通のWifiアクセスが用意されているようだ。欧州の電話番号でMessageが送られて、はじめてWifiのアクセス権が得られる仕組みだ。

カナダ人とWifiの話になり、お互い繋がらないことを確認。
現地携帯を持たない、カナダ人困る。そして日本人も困る。後にどうやったのか、繋がるようになり事なきを得るのだが、この時点ではローカルの電話番号が無いと認証できないと諦めていた。

16:00
食事に出る。ラ・バラッカ・デ・フレディLa Barraca de freddy

ビールはもちろんエステレーラ・ガリシアEstrella Galicia「ガリシアの星」。コロッケ付き。
filetesプレート6.50€

後ろの席の女性二人組と話す。メキシコ人の旅行者であった。

天気予報

16:33 雷と雨

そう言えば天気予報を確認したことがなかった。携帯の待ち受け画面にそれとなく表示されている予報を見て、どうせ晴れだろうと思っていたところもある。いままでは本当に天気に恵まれていたのだ。これを見るとしばらくは雨も覚悟せねばなるまい。

食事を終えスーバーへ。

イカさん、タコさんも魚コーナーの定番

スーパーマーケットで初めて日本人と言葉を交わした。ポルトガルに来てからこっちそう言えば日本人とは出会わなかった。

18:00
宿に戻り、地階の食堂スペースへ。古い建物で石組みが素晴らしい。
資料整理をして、外出はせずに床についた。

石組みの建物だが内部の設備はきれいにリフォームされている。

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