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【10日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Redondela → Briallos 歴史と人々と
おことわり
2023年の5月に巡礼路を歩いた記録を1年後に同日付でアップしています。当時の記録に加筆して旅を振り返ります。
2023/05/27
気温は15℃から25℃。RedondelaからBriallos 36.6km
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5:50出発
まだ暗い。谷間の町で上空に鉄道橋が架かっている。不思議な構造の町だ。
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6:30 高台の休憩場所で昨日買ったパンとハムとチーズでサンドイッチを作る。
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いや、ヤコブのコスプレで巡礼に出かけるお父さんを見送る妻と子か?
7:17 アルカーデArcade入り。ここまで一人で歩いてきて誰にも会わない。町に出てようやく前方に巡礼者現る。
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7:40
カフェ・アクーニャCafe Acuñaでコーヒー一杯、チュロス付きを注文する。
うっかりポルトガル語で話していたが、自然と受け入れてくれた。そして、店員たちとマネージャーが話しているのを聞いていると、なんとなく分かる。
ん? 分かるぞ?
ははん、ガリシア語はポルトガル語に近くて、発音なども似ているんだな?
少し気を良くして、さっきのマネージャーにガリシア語Galegoで話しているのかと聞いてみたら、そのマネージャーがなんとブラジル人だった。
ポルトガル人でもなくブラジル人? じゃ、さっきやりとしたのもブラジルのポルトガル語?
「だってお前さんさっきポルトガル語で話しかけたじゃないか」
歴史を渡る
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8:00
ここはビーゴ湾の最奥、ヴェルドゥーゴVerdugo川に架かる、Ponte de Ponte Sampaio。ポンテ・デ・ポンテサンパイオと名前に2つもポンテが続く。この教区の名前がポンテサンパイオPonte Sampaio。その名はこの橋にちなんでつけれらた。ポンテサンパイオのポンテ(橋)。Ponte de Ponte Sampaio。書いていてもややこしい。
もとはローマ時代の橋で、その基礎に改修を重ねて現代に至ると考えられている。10世紀ころから記録に現れる。時はレコンキスタの時代、イスラム勢力がイベリア半島を支配していた。997年、宰相マンスールがこの橋まで来て傍らにあった要塞を攻撃している。
時代は下って1809年にはナポレオン軍もこの橋の北岸までやってきて、独立を死守したいイベリア半島民と大砲の打ち合いをやった。
ちょっと調べただけでも教科書に載るような話が出てきて、歴史の結節点のような橋であった。
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なお、12世紀にはサンティアゴ・デ・コンポステーラの大司教ディエゴ・ヘルミレスの計らいで、通行料の徴収がなくなった。おかげで僕もお咎めなく渡ることができた。
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SIGMA dp3 Quattro ƒ/9 1/125 50 mm ISO 200
8:45 Cacheiroの山道。
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10:13
アプリのルート表示では自動車道が示されているが、川沿いの道を遊歩道にしてあって、巡礼の掲示もこちらを勧めている。歩くのには心地よい。マスTruchaを釣る人。通りがかりの巡礼者があれはマス釣りだよと教えてくれる。Tomeza川。写真の印象とは違って、農地に挟まれた平地の林の中に流れる川である。
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水路に沿って歩くと唐突にペンテベドラ市街地に出た。
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ガリシアを感じる民族芸能
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11:30
Pontevedraの街のカテドラル。正面が湾曲してるカテドラル。巡礼者のシンボル、帆立の形とも言われている。入口でスタンプを押して貰う。
民俗芸能まつり
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ボビンレースEncaixe de bolillos
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元教員だというマリア・カルメンさんさんがレース編みについて教えてくれた。
自分でも趣味でやっていたそうだ。
「この辺の人は編み物を趣味にするのよ。テレビ見ながら編み物するの。あなたたちもするでしょ? レースのテーブルクロス1mを進むのに、30時間かかるわね」
とのことだ。
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バグパイプの演奏を聞く
Muiñeira de zougaresの4人
ムニェイラ・デ・ソウガレス(Muiñeira de zougares)の四人。ムニェイラとはガリシアの民俗舞踊。バグパイプなどの演奏に合わせて伝統衣装をまとって、踊り、演奏する舞踊形式。ケルトの伝統を汲むものだろう。旅の途中でも見かけた粉挽き水車があったが、語源的には、粉挽き小屋、粉挽き人の意味のようだ。
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ダンス
大人、子供、ダンス。
女性8人のユニゾンの唱和からタンバリン、6/8拍子の曲。
男ダンスのステップが軽やかでかっこよい。回転のスピード感ある。
施し
犬を連れて巡礼しているというカステリャーノ話者の女性。傍らに犬が寝そべっている。
彼女によれば「巡礼宿は犬がいると泊まれない。」という。
少し話していると、結局お金を恵んでもらっているらしかった。
この話自体が本当なのか、どうかしばし考えた。そして、それをどうでもよいと考えてみて、少額だが小銭をあげた。こんな感じの人が1000年前からいたのかななどと想像してみる。
泉をもとめて
歩く距離が伸びるに連れ、足にきたと感じた。体力もそろそろという感じになった。ここまで疲れない範囲で歩こうと決めて注意を払ってきた。一方、そこまで体に負担をかけた気がしないので、幾ばくかの物足りなさが合ったのも事実だ。がんばって歩こう。
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12:50
ポンテベドラPontevedraの街を後にし、歩き始める。
ペットボトルに水を詰めたいと思って物欲しそうな顔をしていたら、「何がほしいのか」とおじいさんが声をかけてくれた。
ペットボトルを見せると、泉Fuenteがあるという。水が汲めるらしい。
通りがかった、おばあさん、もうひとりのおじいさんも話に加わり、たしかに泉があるという。ありがたい人たちである。
200mだというので、そんなものかと思っていたけど、全然出てこない。するとボタンを押して水を出すタイプの水汲み場があり、押して水を流していると、年配のご夫婦が、声をかけてくれて、この水より、この先の泉に行きなさいという。
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後ろのベンチに腰掛けるのは巡礼仲間のパイ。
行ってみると確かに、常に水が出ているfuenteがあった。ちょうど水の欲しかったタイミングでみんなに親切に教えてもらえてトントン拍子で泉にありつけてしまった。
手持ちのペットボトルに水を汲む。
巡礼者列伝 パイ
水汲み場で休憩していると、青年が僕にピーナツをくれる。
彼はパイ。ドイツ人だ。
聖ヤコブも携えている巡礼アイテムの一つ、杖。登山ポールではなく、杖。パイが立派なのを持っているので尋ねると、お父さんが使っていたのを引き継いで使っているという。
パイのお父さんはドイツから歩いてサンティアゴ巡礼をしたそうだ。それで彼自身はというとフランスの道をやったあと、ドイツに帰らず間髪入れずにリスボンからまた歩き始めたのだという。今日で1,400kmは歩いているのだだそうだ。
「僕の距離などたいしたことないね」と話をしたら、「カミーノは人それぞれだよ」と含蓄のある言葉が帰ってきた。
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休憩を終えた僕らは一緒に歩き始めた。彼は道端の草をむしった。
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彼は道端にある葉っぱが食べられることを教えてくれた。フェンネルfennelとミントmintだ。実際に口に運んでみると、スッキリした味覚が口に広がる。
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パイとはしばらく連れ立って歩いた。彼は歩くのが早そうだった。彼が僕にペースを合わせてくれているのがわかる。自分は写真を撮ったりして立ち止まることもあったので、猫写真を撮るために立ち止まったのをきっかけに、先に行ってもらうように言って別れた。
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そう言ったものの、結局ネコの写真は撮れずに、犬の写真だけが手元にある。
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15:16 San Amaro通過
雨宿り
15:53 雲行きが怪しくなる。
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絶望的な空模様に
16:30
いよいよ雨が降り始め、雨具のポンチョを着て、傘を指して歩くが、ついには雷雨となり、橋の下に避難した。すると先客が。
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チアゴTiagoとトリニTriniの二人のカップルだ。同じように歩いてきて、ここに避難した巡礼者だ。
二人はトゥイTuiに住んでいて、折を見て歩いては、1日分歩き、鉄道で戻って、次は進んだところから再開するということをやっているそうだ。
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17:30 Brillosのアルベルゲに到着する。
レセプションに人がおらず、電話をしてくれという仕組み。ところが、国際番号も分からず。居合わせた先客に助けを求める。
彼はMathewというフランス人のたぶん学生だった。お願いすると電話をかけてくれて、スペイン語で宿の人を呼び出してくれた。10分ほどして女性が現れ、無事に泊まる場所の確保ができた。
Mathewにビールを一本奢らせてくれと申し出ると、遠慮したが、僕はすでに彼が飲んでいることを知っていた。二人で乾杯した。
併設食堂の食事とワインにシロップ
19:40
併設の食堂があり、バーコーナーと食事処そして売店もある。メニューはコースになっていて、
前菜 鳥のスープ
メイン 焼き鳥ご飯
ワイン
フルーツ オレンジ
を頂いた。12€。
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鳥のスープは自分が家で作るときのポトフとおんなじ味がして、気を良くした。キャベツがやわらかい。
デザートのフルーツが缶詰だったので、がっかりしたように見えたのか、バナナ、リンゴ、オレンジもあるよと、給仕のフアンJUANが提案してくれて、オレンジをもらった。
ところで、フルーツ缶詰と赤ワインはすこぶる相性が良いのだ。シロップと一緒に飲むとよい。とくに、肉体的に疲れているときにはシロップはジュースになる。