【3日目】サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼ポルトガルの道 Póvoa de Varzim →Marinhas それ食べ物じゃありません
2023/05/20(土)
サルガッソ、それ食べ物じゃありません
6:45
まだ寝ている人に気を使いながら、身支度をして巡礼宿をでる。鍵をボックスにドロップして勝手に出ていくスタイルだ。
7:40
海岸で仕事する人に話しかける。サルガッソSargaço干しをしてるのだそうだ。用途を問えば畑にまいて肥料にするのだという。濡れたままのと乾いたのとを見せてくれた。これは昆布かな? ワカメかな? 日本人の悪い癖で食べられるのか咥えてみたら、食べるものじゃないとたしなめられた。
サルガッソ採りはこの土地の名物であった。中世から19世紀までは産業として栄えていたそうだ。用途はやはり畑の肥料である。化学肥料ができるまでは農家の必需品であったそうだ。
また、ある記事には化粧品の材料として日本にまで輸出されたというのもあった。海藻としてはホンダワラということになるのだと思う。同じ記事に、サルガッソを肥料にしてじゃがいもを育てるとうまいと語っている人もいた。
道を行くと案内板が現れる。帆立貝は巡礼者のシンボルだが誰が始めたのか、道にアクセサリーをたくさん括りつけられている掲示板を見る。色んなところでもらったバッジや装飾品を持て余していたりもするのだろうと詮索してみたりもする。
ポボア・デ・バルジンからエシュポゼンデEsposendeに向かう海岸路は大変整備がされていて、歩きやすかった。
それは競争ではない
8:20
デッキに腰掛けて手製のサンドイッチを食す。潮騒を聞きながらの朝食。
歩きだすと不思議と止まれなくなるものだ。人には固有の歩行速度があり、ある人は歩くのが早く、年配の人や、複数人連れなどはたいていゆっくりだ。僕はというと中の上くらいでそこそこ速い方だったと思う。
ここまで、数組の巡礼者を僕は追い越してきたと思うが、休憩をしているとさっきゆっくり歩いていたひとが、追いついてきて、あれよあれよと見えないところまで行ってしまう。止まってみると人の歩く速さに驚いたりする。それで、少し歩いたりするとまたその人を追い越したりして、その内にそんな抜き抜かれつの仲間を認識するようになる。
最初のうちはどうもこの感覚に慣れなかった。「一度抜いた人に追いつかれると気まずいな」などと考えてしまったりしていたのだと思う。
これはずっと後のことだが、「カミーノは競争ではない」とある巡礼者が言っているのを聞いて膝を打った。カミーノとは巡礼路のことだが、巡礼行そのものも意味する。その頃には自分も固有のペースで歩くことができるようになっていたので、たいへん腑に落ちたが、振り返ってみればこの時点ではまだしっくり来ていなかったのが思い起こされる。
10:12
アプーリアApúliaに着き、住宅地を歩くとサルガッソ・ミュージアム(Museu do Sargaço)が出てきてびっくりした。さっき見たよ、さっき見たやつだよ。サルガッソ。実際にやっている人を見た後なのに不思議な気持ちだ。おじさんが銅像になるまで徒歩1時間であった。
ぐるりと建物を一周してみるも、残念ながら開いてなかった。
Apúlia - Museu Do Sargaço - Esposende Virtual - Realidade Virtual Turística (visitesposende.com)
調べてみたらこのミュージアム、4月にできたばっかりであった。
町ゆく女性がなんか可愛らしいもの持ってたので声をかけてみる。聞いたら、壁とか掃除するやつだといってわさわざ伸ばして見せてくれた。ご近所さんまで手伝いに行くということのようだ。
別れ際には「ボン・カミーニョBom caminho(良い旅路を)」と声をかけてもらった。(注、スペイン語:Buen camino、ポルトガル語:Bom caminho)
県境を越える
エステーラEstelaからアプーリアApúliaが県境であったらしい。ポルト県からブラガ県にすでに入っていた。
11:00
ファンFãoからエシュポゼンデEsposendeに架かる橋。カヴァド川Rio Cávadoを越えた。
12:38
食事をしようと砂丘に登ってみるも、風が強くて断念。見晴らしは良かった。緑地内のベンチで腰を掛けてサンドイッチを頬張る。散歩や巡礼の人々が通り過ぎていく。
13:45
宿到着のタイミングを図るために買い物を先に済ませる。
宿ねこが出迎えるマリーニャス
エシュポゼンデEsposendeの町を抜けきってマリーニャスMarinhasには14時についた。スケジュールについて考えてみる。洗濯して、買い物して、食事して、かつ日記や写真の整理などすることを考えるとあっという間に夜になる。14時に宿につくのが良いのではないかと思うようになった。
宿の名前は「巡礼宿サン・ミゲル」。Albergue de Peregrinos de S. Miguel de Marinhas
建物は地域教区の評議会の所有物で行政との取り決めで運営しているそうだ。
ここも巡礼宿で手帳がないと宿泊資格がない。一泊10€。大変清潔感ある建物であった。レセプションは2階でキッチン、シャワー、洗濯はひとつ下の地階で行う。
休憩ルームで書き物をしていたら宿猫がやって来て、足元を半周して去っていった。認められた気がした。
ひんやり曇り空なので、洗濯物の乾きが心配だ。