【クウェート#47】砂漠の農園へ
1月1日(月)
31日の23時台から、寮の中を行ったり来たりしていた。
寮の中で年越しパーティーがいくつか開催されるからだ。
新年になってしまった。留学生活・大学生活の残り時間を強く意識してしまう。
ところで、新年から学食の形式が変わるらしい。
今までは三食ランチボックスだった。しかし今後は、カフェテリアで食べる形式になるという。
朝飯配布時間の変更を当日通達するのがクウェートらしい。おかげで、朝10時に食堂に行ったら食べ損ねてしまった。
新しい学食はなかなか期待できそうだ。
1月2日(火)
ハールーンとシティーセンターに行った。今日は餃子を作る。
1月3日(水)
今日はクウェート大学日本語教室で出会ったアジーズさんに招待され、南部ワフラーの農園に行った。ワフラーはサウジとの国教付近にある。
アジーズさんの友人、ウサーマさんが営む農園は、地下水を利用している。荒野の中に突然現れる農園は、ある種異様な雰囲気を放つ。
スーパーでは時折「クウェート産」の野菜を目にする。
砂漠の国クウェートのどこで育てているのか疑問だったが、どうやら南部には農園がいくつかあるようだ。
ウサーマさんの農園(Mishref Farm)は何ヘクタールあるか分からない程の広大なものだった。
詳しくは、以下の動画をご参照頂きたい。
デーツをメインに、様々な作物を育てているようだ。
下の写真は、シデラ(سِدْرَة)の木だ。クナール(كنار)というデーツ大の果物がなる。3月に黄色く熟すそうだ。皮ごと食べられる小粒の梨をイメージしていただければ良い。
農地の水は地下水を利用し、飲用水はクウェートの「水省」から貰うらしい。そんな省庁があるとは驚きだ。
農場の経営者(ウサマさん)はクウェート人だが、何人かのインド人が働いている。まさに農園のオーナーである。
作物を育てるだけでなく、加工もこの農園で行っているというのだから驚きだ。
農園を一回りした後、屋外で座ってお茶を飲んだ。
ディワーニーヤ(クウェートの伝統的な集会・喫茶のスタイル)に近い。
涼しい時期にしかできない、贅沢な行為である。
アジーズさんは日本に語学留学をしていたらしく、亀岡に住んでたという。
そのためとても流ちょうな日本語を操ることができ、まったく意思疎通に困ることはない。
面白かった話を二つ。まずは部族(قبيلة)について。
アラブ人にとって、どこの部族に属すのかは重大な問題であり、それはクウェートにおいても変わらない。
クウェートには有名な部族が15個ほどあるという。
例えば、アジーズさんの部族はシャンマリーだ。参加者には他に、イヌズィーとカンダリーの出身者がいた。
興味深いことに、それぞれがどの部族出身かを正確に把握しあっていた。
部族ごとに方言や身なりが微妙に異なっていたり、婚姻を決める際の要因になったりと、われわれ日本人には把握しがたい様々な要素を含んでいるようだ。
もう一つの話。
クウェートにも、「煙はイケメンのところに行く」という迷信がある。
私のところに煙が来たかについては、皆様のご想像にゆだねたい。
晩御飯にカブサという料理をふるまってもらった。カブサの作り方は、途中まではほとんどカレーと同じである。
まずは羊の油を鍋に敷く。
羊の肉、玉ねぎ・芽付きのにんにくを炒める。
カブサ用のスパイスとローリエ、ハッカク、シシトウ、ブラックレモンなどの香辛料を投じて強火にする。
羊肉にしっかり火が通るまで炒めたら、肉が全部隠れるまでなみなみとお湯を入れる。
ジャガイモとにんじんを入れて煮込み、5分くらいしたら塩を投入する。
そのあとは圧力鍋で40分ひたすら煮込む。
煮込み終わったら、洗ったインディカ米、追加の水とシシトウ、塩を入れて10分圧力鍋で弱火で煮込む。
ふたを開けるとすっかり汁は無くなっている。
右手で食べるのがクウェートスタイルだ。
肉と野菜の味が良くしみていて美味しい。香辛料の辛みは良いアクセントだ。
デザートとしてマスブーサ(中に寒天のようなチーズの入ったケーキ)を頂いた。
余ったマスブーサは、農園で働く労働者にあげることになった。
余ったごちそうは捨てずに使用人に渡すのは、クウェートではよくあることだ。
お腹いっぱい食べたところで、寮に送ってもらった。
1月4日(木)
ひきこもって旅行の準備などをした。
1月5日(金)
日本人会の新年会にお招きいただいた。鍋を食べた。