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【クウェート#58】情報省に行こう

2月11日(日)

今日は一日中雨模様だ。砂漠の国に住んでいると、雨がふるとうれしくなってしまう。

朝雨上がりの空

たまたま授業で記念日について聞かれた。偶然だが、今日は建国記念の日である。

建国記念の日に何をするのか聞かれたが、特に思い浮かばない。
クウェートでは独立記念日が始まる1月前から盛大に飾りつけている。
それに比べると著しくつつましやかだ。

カザフスタンのアリーは「ノベルゲーム」のマニアだ。マニア特有の熱気がすごい。

昼の1時に、クウェート情報省から電話があった。
今日の5時から大阪万博について話すとのことだ。あまりにも急すぎる。

情報省は車で迎えに来てくれた。(以下、全ての写真はアップロードの許可を受けている。)

情報省の庁舎は古めだがよく清掃された建物だった。湾岸諸国で初めて情報省を設立した国は、クウェートだという。

今日情報省に呼ばれたのは、クウェートの大阪万博出展に際し、日本人留学生から情報収集がしたかったからだという。さすが情報省。

万博に関するいくつかの情報提供をした。

その後は、情報省の中を見学させてもらった。

情報省の仕事は大きく分けて2つある。

1つは国内外の情報を集めることであり、アラブ人(クウェート人のみならずレバノン人やシリア人)を公務員待遇のジャーナリストとして各国に派遣しているらしい。ある種のスパイである。

クウェート国内で放送されている全てのテレビをモニターしている。

もう1つは国営放送である。クウェートの大半のテレビチャンネルは、情報省の管轄下にある。

国営放送は複数のチャンネルからなる。ニュース用のチャンネルや、スポーツチャンネル、更にはクルアーンの読誦だけを放送するチャンネルまである。


情報省のビルの中に国営放送のスタジオがある。
総務省・防衛省・外務省の一部機能とNHKを合体させたような働きをする省庁である。間違いなく、クウェート最重要の施設の一つだ。

だめもとでテレビ局の見学をお願いすると、なんと許可してくれた。

撮影スタジオを訪れたとき、ちょうどニュース番組のリハーサルをしていた。放送開始1時間前にもかかわらず、見学やニュースキャスターとの会話を許可してくれた。

飛び入りで来た学生たちに対し、これほどもてなしてくれるとは、日本では考え難いことだ。

左にいるのはメインキャスター

イラクによるクウェート侵攻の際、情報省は真っ先に攻撃・占拠された。

その時の教訓から、少しでも放送時間にずれがあると、軍や警察は軍事攻撃やクーデターが発生したと判断するらしい。

そのため、スタッフは放送時間をきわめてシビアにチェックしている。

「ここはクウェートで唯一、時間に正確な場所なんだ。」

ディレクターは笑いながらそう語った。

国営ラジオのスタジオも少しだけのぞかせてもらった。

ラジオキャスター

突然連絡が来たときは戸惑ったが、貴重な体験をさせてもらい感謝しかない。

晩ご飯のサッポロ一番。この世で一番うまい食べ物かもしれない。

2月12日(月)

珍しく、授業の様子を記事にしてみた。
(下のリンクから。)

旧正月ということで、ベトナム人学生たちがプレゼントをくれた。
お昼ご飯

クウェート大学はときおり意味不明なことをする。

例えば、洗濯室には洗濯室のカギを開け閉めするだけの仕事がある。「洗濯親父」と呼ばれる彼の業務は、正真正銘それだけである。これは誇張ではない。産油国の余裕というものだ。

その洗濯親父が入院したので、午後の洗濯が不能になった。我々は午前中授業があるので、これは死活問題である。

しかし奇妙なことに、午前中は警備員が洗濯親父の代わりに鍵を開けるため、洗濯室を使うことが出来る。

なぜ午後だけは封鎖してしまうのか?午後も警備員が開けてはいけないのだろうか。
大学の予算は潤沢にあるため、午後であっても警備員は異様にいる。1人くらい洗濯室担当にしてくれても良いではないか。

寮のトップに訴えたところ、「インシャーアッラー」とだけ返してくれた。

怒りのきのこの山

2月13日(火)

課題の確認だけで3時間を費やした。贅沢な授業だ。

晩御飯を食べていると、カザフスタン人のマンスールに呼び止められた。

マンスールは婚約者と喧嘩したらしい。彼女との仲を取り持ってくれと言う。しかし私はその婚約者と面識が無いし、そもそもマンスールと話したことも殆どない。

マンスール。アリーが私にウズベク語を教えているのを見て、白羽の矢を立てたらしい。

婚約者はウズベク語(マンスールと彼女はウズベク系カザフスタン人)とカザフ語、ロシア語しか話せない。マンスールも同様に英語が使えない。

Google翻訳はいまいち訳に立たない。例えば婚約者は「あなたは叩けば学びます」という日本語を投げかけてきた。
機械が通訳できるようになるのは、当分先になりそうだ。

私と婚約者が話すとき、アラビア語を介してマンスールが通訳をしてくれる。
またマンスールにはこだわりがあるようで、重要な言葉はウズベク語で言わせようとしてくる。

「マンスールは君のことを愛しているんだ。彼を許してやれ。そして幸せになるんだ。」

私はこのセリフを諳んじる羽目になった。

四苦八苦しているうちに、仲直りしてくれたようだ。

「来年結婚式をシムケントで挙げる。絶対来てくれよな。」

マンスールは嬉しそうに言った。

彼女曰く「あなたは来年までに良くウズベク語を学びます」とのこと。

やはりGoogle翻訳は当てにならなさそうだ。来年までにウズベク語を習得せねばならないらしい。

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