看護現場に生かせる!パソコンスキルアップ講座 第1回 パソコンとの付き合い方
(旧キャリエル看護※現キャリエルメディ2022年8月号より)文:小川彰
看護とリハビリキャリエルメディ2022年10月号(書籍版)
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パソコンはチームメンバー
政府が出している人口動態を見ると色々なことがわかります(下図参照)。今後は、高齢人口は変わらないけれど、生産年齢人口が減少する局面にあります。
患者さんの年代は減らないけれども、ケアする看護師の年代が減っていくと考えるとわかりやすいですね。
「いつだって人手不足だ」という職場は、さらに拍車がかかることになりそうです。
看護師を増やす、入院患者を減らすなど、政策面ではいろいろ対策が練られていますが、現場の個人レベルで何か対処できないものでしょうか。
そこで今回、みなさん一人ひとりに可能な方法として、パソコンと協働し、みなさん一人ひとりが、時間を有効に使えるようにするという方法を考えていきたいと思います。
パソコンは、人間にできないことができます。ケアレスミスをしない、どんな沢山の情報でも無期限・正確に記憶できる、高速作業ができる、休憩時間なしで働きつづけられる、などです。
これらの能力を求めて「いつかパソコンを超えて見せる」という努力をするより、「人間の負担を肩代わりしてくれる」と割り切って任せてしまったほうが建設的、今風に言えば「win win」です。
一方で、人間が万能でないように、パソコンも万能ではありません。特に、人間が得意とすることができません。パソコンは高性能な計算機にすぎませんから、文字を書いたり、検索結果を表示したり、時にはこちらと会話しているように見えていても、パソコン内部で行われている処理は、基本的に四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算の事)と言われています。
しかも、事前に命令されていたことを実行するので、基本的には「指示待ち」です。ですから、「なんとなく、いつもとちがうな」と雰囲気を察知したり、「なんか、気まずいな」と空気を読んだり、「火事や地震が起こったとき」など不測の事態に対応し、「その場合に合わせて、ちょうど良いケアをする」ことはとても苦手です。
このように、一人の看護師としては「少し困った人」になってしまうかもしれないのですが、「かなりトガった才能の持ち主」であることには間違いないようです。
そんなメンバーが、気づけばいつの間にか、あなたのそばにいた。足を引っ張るだけで、あなたの仕事は相変わらず忙しいままよりも、できることなら上手に付き合って、あなたの仕事の助けとなるようにしたいですよね。
役割分担を考える
ここからは、パソコンと一緒に働くことを前提に考えてみます。「うちは、まだ電子カルテじゃないから」という人がいるかもしれませんが、残念ながらあなたの時間は1日あたり24時間しかなく、そのうち仕事に割ける時間は(法律上)8時間しかないのです。
先に述べましたがパソコンは計算機ですから、指示された通りの計算をして、その結果を示してくれます。ただ、それだけです。そこで、パソコンの役割の前後にある、人間の役割について考えてみたいと思います。
前段階としては、達成したい課題の答えを導ける条件を考え、パソコンが理解可能な命令式(検索の場合は、「=〇〇」になる)を作り、それを何らかの方法で入力します。
小学生のとき算数の文章題があったかと思いますが、まさに、この過程を訓練する問題といえますね。学生時代に「文系」「理系」に分けられていた人もいるかと思いますが、「文系」のデータを「理系」のデータに変換する必要があるわけです。
後段階では、パソコンから出力されたデータの意味を読み取り、自分がそれを使ってよいかどうかを判断し、何らかの行動に反映させます。
行動の責任は人間が取りますので、「よくわからないけど、答えが〇〇だから、やっていい」ということにはなりませんので、パソコンがどのような処理をしたのか、命令通りに処理をしたのかを確認しないと、怖くて使えないデータになってしまいますね。ここでは「理系」のデータを「文系」のデータに再び変換していく作業です。
こうしてみると、人間に求められる力は、「理系」・「文系」のデータ変換を容易にできる能力、つまり読解力(「文系」↓「理系」)と分析力(「理系」↓「文系」)といえそうです。
パソコンとより良い協働関係をつくるうえで、この二つの能力を体現することがパソコンスキルといえます。
パソコンにはいろいろなソフトウェアがありますから、それらの扱い方を少しずつレベルアップさせて、皆さんがより快適に働く未来につなげていきましょう。
(第2回に続きます)
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