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喀痰吸引実施手順(3) 口腔内、鼻腔内吸引の実施手順


吸引実施準備


・医師の指示書・看護職の指示・引継ぎ事項の確認

 実施前は必ず医師の指示や看護職の指示、引継ぎ事項の確認を行う

・手洗い、手指消毒

 石鹸と流水で手を洗うかすり込み式のアルコール製剤で手指消毒を行う

・必要物品の確認と設置

 必要物品を揃えて、吸引器の作動状況などを点検・確認する


吸引前に実施すること


・説明と環境整備、姿勢を整える

 まず利用者に吸引の説明を行う、次に吸引を行うための環境を整備し、
 吸引を受けやすいように利用者の姿勢を整える

・利用者の状態観察

 口腔内や義歯の状態・口腔内の分泌物などの貯留物を観察する


吸引の実施


手順

 清潔

 石鹸と流水で手を洗う

 清潔な手袋を両手に装着(または鑷子を持つ)

 保管用の容器に入れてある吸引チューブを取り出し、連結管に接続して
 吸引器と直結する

 (侵漬法の場合)吸引チューブの外側についている消毒液を洗浄綿などで
  拭く


 確認

 吸引器の電源を入れ、水の入った容器へ吸引チューブを入れて、吸引圧が
 事前に取り決められた設定になることを確認

 吸引チューブの先端の水をよく切る

 (人工呼吸器装着者の場合)

 鼻・口鼻マスク式

 口腔内→事前の取り決めに沿って、マスクを外すか鼻マスクに変更
 鼻腔内→事前の取り決めに沿って、マスクを外す


 挿入

 吸引チューブを静かに挿入する

 口腔内→利用者の口を開け、口腔のカーブに合わせて、粘膜を刺激しない
     ように静かに吸引チューブを挿入

     肉眼で確認できない部分までは挿入しない

 鼻腔内→粘膜を刺激しないように静かに吸引チューブを鼻腔に進める

     鼻腔内入り口は出血しやすいため十分に注意


 吸引

 吸引チューブを留めておくと、粘膜への吸い付きが起こる場合があるため
 手袋の場合は吸引チューブを回したり、鑷子の場合はずらしたりしながら
 吸引圧が一箇所にかからないようにまんべんなく吸引する

 呼吸状態、全身状態、吸引による弊害、貯留物残留の有無の確認など


 抜去

 吸引チューブを静かに抜く

 

 (人工呼吸器装着者の場合)

 鼻・口鼻マスクをもとに戻す

 

 終了後の清潔

 吸引チューブの外側を洗浄綿などで拭く、それらは必ず一回ごとに破棄

 洗浄水を吸引し、吸引チューブの内側の汚れを落とす

 (鑷子の場合は鑷子を所定の場所に戻す)

 吸引器の電源を切る

 吸引チューブを連結管から外し、保管容器に吸引チューブを戻す、または
 単回使用の場合は原則破棄

 手袋を外す

 

 終了

 吸引が終了したことを告げ、ねぎらいの言葉をかけ、痰が取りきれたか
 どうか確認する

 利用者の希望の姿勢に整える

 (人工呼吸器装着者の場合)

 人工呼吸器の作動状態の確認

 口鼻マスクや鼻マスクの確認をする

 石鹸と流水で手を洗う、またはすり込み式アルコール製剤で手指消毒

 次回使用物品の確認、水や不足している物品の補充


吸引実施後の吸引物の確認と医師・看護職への報告


・痰の色、粘性、匂いを毎回確認

 異常の有無にかかわらず看護職に日常的報告して連携することが望ましい

 いつもと違うところがあれば速やかに医師や看護職に相談する


吸引後の片付け方法と留意点


・次の使用への備え

 洗浄用の水、侵漬用の消毒液、吸引チューブは、使用頻度を考慮して
 定期的に交換、保管容器も同様に定期的に交換、消毒を行う

・吸引瓶の排液を破棄するタイミングと方法

 排液量が瓶の7~80%になる前に排液を捨てる、居宅などでは1日1~2回
 定期的に排液を捨てて、洗剤で洗浄すて流水でよく洗い流すことで吸引
 モーター部への逆流予防にもなる

 排液の破棄はトイレなどの下水に流すのが一般的だが、施設の場合は、
 感染源になるリスクもあるため施設の定められた処理方法を実施する

 吸引瓶の交換には、底から1~2㎝水をはり、感染症のある場合には、医師
 の指示により消毒液を入れる

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