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喀痰吸引(9) 子供への吸引


吸引が必要な子供


子供の呼吸器官は成人に比べて組織が十分に発達しておらず、呼吸運動をする筋肉が未熟で呼吸の力が弱く疲労しやすい

肺胞も少なく、気管が細く肺のふくらみも少ないため、一回の呼吸で吸い込む量が少なく、成人に比べて呼吸回数も多くなる

気管と同様に鼻腔も細い上に一般的に柔らかく、外力でさらに狭くなってしまうことがあり、乳幼児は特に首の向きなどによって呼吸が妨げられる可能性があるため注意が必要

感染症への抵抗力も弱く、気管に炎症が起こると気管がさらに狭くなり、痰が詰まるリスクがある

子供の場合、自分の体調の悪さを訴える表現力が未熟なため、異常の発見が遅れる場合もある


子供にとって吸引はチューブ挿入の違和感や吸引時の音など恐怖や苦痛を伴う処置であると言え、事前に理解力に応じた説明を行い心理的準備(プレパレーション)を行えるように援助することも大切


留意点


子供の身体的な特徴に合わせて個々の状態に合わせた物品を医師の指示に従い用意する

子供の気管の粘膜は軟らかく傷つきやすいため吸引圧は成人よりも低く設定する

吸引後の呼吸状態の変動や出血を起こさないためにも医師の指示による吸引圧や吸引時間を厳守するように留意する

吸引前に子供と苦しくなった時の合図などを決めておく

吸引する時に理解力が不十分で処置の協力が得られなさそうな場合は半座位や抱っこなどで頭や顔を固定する

泣いている時や体動が激しい時は落ち着くのを待つ


口腔内、鼻腔内の吸引では、吸引チューブの接続部分を指で押さえ吸引圧が加わらないようにし、口腔またh鼻腔より挿入

鼻腔より吸引する場合は顔に対して垂直に咽頭の手前(口角から耳たぶまでの長さ)まで挿入する

口腔より吸引する場合は口蓋垂を刺激しないよう注意する

吸引圧を加えてゆっくりと回しながら長くても10~15秒以内で引き上げるように痰や分泌物が取りきれていなくても長時間継続しないように呼吸の間隔をおいて実践する

気管カニューレ内部の吸引では、挿入されている気管カニューレの種類や固定方法がそれぞれ異なるため、主治医からの指示を看護職と確認した上で実施する

口腔内・鼻腔内と異なる点は吸引圧をかけながら指示された吸引チューブの長さまで気管内に挿入する点

吸引の刺激や体動で気管カニューレの固定がずれたり、気管カニューレが抜けるリスクもある

子供の気管カニューレ内部の吸引では、吸引チューブをゆっくりと回転させながら5~10秒いないで引き上げるようにする

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