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人間 最終章:  「遺言作成の要件はなんですか?」

今回は「遺言作成の要件はなんですか?」について見ていきましょう。

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遺言には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、それぞれ要件が異なります。ここでは、それぞれの要件と、遺言全体で重要なポイントを詳しくご説明いたします。

要件?

1. 遺言能力(年齢と判断能力)

  • 年齢: 民法では、満15歳以上であれば、単独で有効な遺言を作成することができると定められています。未成年者であっても、15歳に達していれば親権者などの同意は不要です。

  • 判断能力: 年齢が15歳以上であっても、遺言を作成する時点で十分な判断能力を有していることが必要です。具体的には、以下の能力が求められます。

    • 自分の行為の結果を理解する能力

    • 遺言の内容を理解し、その意味を判断する能力

    • 遺言によってどのような法的効果が生じるかを理解する能力

2. 遺言の種類と要件の詳細

  • 自筆証書遺言:

    • 全文自筆: 遺言書の本文(財産目録を除く)は全て自筆で書く必要があります。代筆やワープロ、パソコンなどで作成したものは無効です。

    • 日付の記載: 作成年月日を正確に記載します。「令和五年三月吉日」のような曖昧な表現は避け、「令和五年三月一日」のように具体的に記載します。

    • 署名: 遺言者本人の氏名を自筆で署名します。戸籍に記載されている氏名と一致していることが望ましいです。

    • 押印: 印鑑(実印でなくても可)を押します。拇印でも有効とされていますが、トラブルを避けるためにも印鑑を使用することをおすすめします。

    • 訂正方法: 訂正する場合は、訂正箇所に押印し、欄外に「何字削除、何字加入」などと記載して署名します。

    • 財産目録: 財産目録は手書きでなくてもよく、パソコンなどで作成したものでも有効です。ただし、各ページに署名・押印が必要です。

  • 公正証書遺言:

    • 証人: 2人以上の証人の立ち会いが必要です。証人には、未成年者、推定相続人、受遺者、およびこれらの配偶者などはなることができません。

    • 遺言内容の口述: 遺言者が公証人に対して遺言の内容を口頭で伝えます。

    • 公証人の作成: 公証人が遺言者の口述に基づいて遺言書を作成します。

    • 署名・押印: 遺言者、証人、公証人がそれぞれ署名・押印します。

    • 原本の保管: 作成された遺言書の原本は公証役場で保管されます。遺言者には正本と謄本が交付されます。

3. 遺言の内容

遺言で定めることができる事項は、主に以下のとおりです。

  • 相続人の指定: 法定相続分と異なる割合で相続させる場合や、法定相続人以外の人に遺贈する場合などに指定します。

  • 遺産の分割方法の指定: 不動産の分割方法や、特定の財産を誰に相続させるかなどを指定します。

  • 遺言執行者の指定: 遺言の内容を実現する人を指定します。

  • その他: 認知、相続分の指定、遺贈、祭祀承継者の指定など。

4. 遺言書の保管場所

  • 自筆証書遺言: 自宅などで保管するほか、法務局における自筆証書遺言保管制度を利用することができます。

  • 公正証書遺言: 公証役場で原本が保管されます。

5. 遺言作成時の注意点

  • 遺言の内容は明確かつ具体的に記載し、解釈の余地がないようにすることが重要です。

  • 法律の専門家(弁護士、司法書士など)に相談することをおすすめします。

  • 遺言は、遺言者の最終の意思を尊重するものでなければなりません。

以上、遺言作成の要件について、年齢を含めより詳しくご説明いたしました。ご不明な点やご心配な点がございましたら、お気軽にご質問ください。また、遺言書の作成にあたっては、専門家にご相談されることを強くお勧めいたします。

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