相続: 「配偶者居住権」 <- どういう意味?
今回は「配偶者居住権」についてみていきまししょう。
以前は「配偶者居住権」とうものがなく、配偶者が住んでいる家が相続対象になったときに、住んでいるいる家などが分割の対象になり、住むところがなくなるという恐ろしいことがおきていました。
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「配偶者居住権」: 民法で定められた制度で、亡くなった配偶者が所有していた住宅に、残された配偶者が一定期間、無償で居住する権利を保障するものです。
■ 配偶者居住権の目的
配偶者居住権は、以下の目的を達成するために設けられました。
残された配偶者の生活の安定確保: 相続によって住居を失うことを防ぎ、配偶者の生活の安定を図ります。
夫婦間の愛情関係の尊重: 夫婦が築いてきた家庭生活を尊重し、住環境の変化による精神的負担を軽減します。
遺産分割の円滑化: 遺産分割における住居の取り扱いを明確にし、紛争の防止を図ります。
■ 配偶者居住権の成立要件
配偶者居住権が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。
被相続人が所有していた住宅: 賃貸住宅は含まれません。
相続開始時に配偶者が居住していること: 一時的な不在も含めて、広く解釈されます。
遺産分割協議、遺言、審判で設定されること: 法律上の当然の権利ではありません。
■ 配偶者居住権の内容
配偶者居住権の内容は以下のとおりです。
無償で居住する権利: 家賃等の支払い義務はありません。
居住建物の全部について権利を有する: 建物の増改築も可能です。
譲渡、担保設定ができない: 権利を他人に移転することはできません。
相続財産ではない: 相続税の対象とはなりません。
■ 配偶者居住権の消滅
配偶者居住権は以下の場合に消滅します。
配偶者が死亡した場合
配偶者が再婚した場合
権利を放棄した場合
住宅が滅失した場合
20年経過した場合: 相続開始から起算します。
■ 配偶者居住権の設定方法
配偶者居住権は以下の方法で設定することができます。
遺産分割協議: 相続人全員で話し合い、合意があれば設定できます。
遺言: 被相続人が遺言で配偶者居住権を遺贈することができます。
家庭裁判所の審判: 遺産分割協議がまとまらない場合などに、家庭裁判所に申し立てて審判で決めることができます。
■ 配偶者居住権の登記
配偶者居住権を設定した場合は、登記簿に登記することで、第三者に対抗することができます。
以下に、参考となる情報源をいくつか紹介します。
法務省 配偶者居住権特設ページ: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html
一般社団法人 全国銀行協会 相続・贈与: https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/inheritance/14670/
■ 補足情報
配偶者居住権は、令和2年4月1日施行の民法改正で創設されました。
配偶者居住権は、相続人以外の第三者に対しても効力があります。
配偶者居住権は、住宅ローンの返済義務とは関係ありません。