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【ケアまち座談会vol.4】「あそびの生まれる場をケアから見つめる」開催レポート

12月13日21:00-22:20、オンラインコミュニティケアまち実験室のイベント【ケアまち座談会vol.4】「あそびの生まれる場をケアから見つめる」をオンラインで開催しました。

今回は、「みんなのヤキイモタイム」「トークフォークダンス」「困っている同士のスマホ相談会」など数多くの取り組みを地域で実践している西川正さんをお招きして、「あそびの生まれる場をケアから見つめる」をテーマにお話を伺いました。

【登壇】西川正さん NPO法人ハンズオン埼玉副代表理事
【進行】金田・守本 ケアまち実験室ラボマネージャー




講師の西川さん


インプット|人が何かしてみようと思える環境とは?

西川さん:
色々なことをやってるんですけど、要は遊ぶと学ぶの場づくりをしています。人がつながり・動き出すのはどんなとき?どんな場所?というのがずっと関心ごとです。

例えばこれは広場で七夕の短冊を書いたときの写真ですね。なんで広場でやるかっていうと人が出会わなくなっているからなんですよね。放っといたらみんなバラバラになっていくので。
人が出会っていくためには路上で何かやるというのはすごく意義があることだと思っています。

最近ヒットしたのが「スマホ相談会」です。地元中学生によるスマホ相談会。毎日スマホいじって怒られている中学生と毎日スマホのこと聞いて怒られている高齢者とを会わせたら非常にうまくいくっていうのが分かってきたんですよ。これをやると中々問題解決しないっていうところが非常によくてですね。あーでもない、こーでもないって喋っている、この工夫の時間というか余地の時間がポイントなんじゃないかなって思いますね。やりとりすることそのものに価値があるんです。問題解決しない方がむしろ仲良くなっていくんです。ここが多分共助の価値みたいなもので。
中々問題解決しないから高齢者の方も自分のことをよく話すし、中学生も一生懸命応えようとしてくれるっていう、その「応えようとしてくれる」のが嬉しい。

「答え」と「応え」、人を元気にするのはどっちでしょう?
多分「応え」だと、わたしは思うんですけどね。

道で書くから書道!
下手なものも混じっているから、気軽に書ける
スマホ相談会の様子


ダイアローグ|あそびの生まれる場をケアから見つめる

あそびの生まれる場に必要な要素は?

守本:
あそびの場に、「答え」「評価」の価値観の人が紛れ込んできた時、西川さんはどうするんですか?

金田:
子どもの手を取って書道を教えようとするお母さんの写真もありましたね。

西川さん:
初対面で「お母さん、それはちょっと」って言いにくいですね。しばらくいてくれるんだったら色々やりとりはあるんじゃないかなと思いますけどね。

守本:
「答えを与えない方が子どもが生き生きするね」とかお母さんの方が気づくこと、変わっていくことってありますか。

西川さん:
一瞬でどこまで変わるかは分からないですよね。お母さんが大事にしている長年の価値観ていうのがあるわけですよね。そこを否定しちゃうと人生の否定になっちゃうので、だったら「お母さんこっちでお茶飲んでましょうよ」って声をかけて、子どもから目をそらしておきましょうと。あの場でできるのはそんなことかな。
もっと長い時間いられるんだったらお母さんも一緒に遊ぶのが良いですよね。子どもが安心して落書きできるのはどんな時かというと、親も落書きしている時なんです。親が落書きしていると子どもも嬉しそうにしているんですよね。「あっ、お母さんも書いている。今日は大丈夫だ。お母さんも下手だ。」ていうのがちょうど良くって。僕らがろうせきで書いてるところに親子が近づいてきたら、まずは子どもに「書いてみる?」ってろうせきを渡すんですよね。その場で「お母さんもどうぞ」って渡すんですよ。そうすると親も書き始めるので。

ろうせきで道に落書き

ケアの中のあそび

守本:
医療福祉専門職となると、正解、answerが決まっていることって多かったりするので、そこの中であそびを入れていくことについてのエールというか、留意点とかありますか?

西川さん:
うちの親父が今から5年前に病院で亡くなったんですけどね。
病院の仕事が全部分業で分かれていて、爪だけが伸びていたんですよね。「専門職の人はいっぱいいるんだけど、爪切る人は誰もいなかったんだこの中に。」って思ったことがありました。
でも親父が「琵琶湖を見たい」って言ったら看護師さんたちが一生懸命動いてくださって、車いすで琵琶湖を見ることができたんです。
ちょっと声を掛けたら、不要不急だけど、やってくださった。
システムに対してちょっと声をかけることで、システムじゃない、人としての付き合いができるような。多分これは時間的にも、いろんな面での余裕というかあそびがないとできないことなんですけど、ちょっと不要不急のものを入れるっていうことで人と人の関係が変わっていったり時間の質が変わっていくんじゃないかなあっていうのもやっぱり思うんです。
だからちょっとしたことなんですけど、そのちょっとしたことすら許されないんだとしたら本当に今しんどい世の中なんじゃないかなあって思いますね。

居場所ってなんでしょう?ケアってなんでしょう?

西川さん:
居場所っていうのは、「自分がここにいてもいいのかな」と意識しなくて良い場所。俗っぽくひとことで言えば安心してそこにいられるっていうことかなと。
「やってみる」「思わず体と心が動いている状態」がPLAYなんですけど、安心を保障してあげればPLAYが生まれてくる、という関係だと思っています。
その人が安心だと感じられる環境をつくるのがケアかなって思います。

守本:
本人が医療や社会に合わせていくというよりも、環境をつくることで肯定されている感覚を持つというか。まちとか環境をつくることでケアになっていくということでケアまち的だなと思って聞いていました。
ありがとうございます。


おわりに

ケアまち実験室では、今後もアート、建築など、様々な方を登壇者としてお招きし、座談会を行っていきます。ケアまち実験室のメンバーになると、ケアまち座談会への参加費が無料になるほか、ケアまち座談会アフタートークへの参加(Slack)、ケアまち座談会アーカイブ視聴も可能となります。
ぜひ下記リンクから詳細をご覧ください。

https://carekura.com/caremachi


今回の登壇者の西川正さんもいらっしゃる対面イベントを2/10に京都で開催します。ケアまち実験室メンバー限定の割引もあるので、入会してからイベントに申し込むとお得です。


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(執筆:鈴木唯加)

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