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ジョブ型雇用で変化することは?②

この②では、ジョブ型雇用になったときに「評価」と「採用」がどう変わるのかを考えたい。

※①はこちら

ジョブ型雇用を導入したら何が起こるか第二回。

「評価」と「採用」について記載をしよう。

前回同様、対照表を創った。

スライド1

②評価について:

ジョブ型雇用になると、「職務記述書(ジョブディスクリプション:以下JD)」に基づいて仕事をし、

その成果物によって評価される、つまり

成果主義が加速するのではないかという風に言われている。

確かに、JDに則った仕事が、その人に期待されている仕事だとしたら、

「期待水準をどの程度満たしているか」が分かれば、

評価は付けやすく、曖昧ではなく、納得感がある。


…と普通なら思うかもしれない。では、実際どうなのか。

外資系企業を見る前に、成果主義となった際に、

評価の仕組みがどうなるか、もう一段深めて考えたい。

まず、「誰が評価するのか?」ということ。

ほぼ間違いなく、一次評価者は直接の上司であろう。

そして、次に「期待成果を満たしているかどうか」を

「誰が証明するのか?」ということも併せて考えたい。

確実に「自分」である。勿論、360度評価となることもあろうが、

自分の成果は自分で証明するのである。

と考えると、そう、そうなのだ。

「JDの期待水準を満たしているかどうかは、

直接の上司に対して自分で証明する必要がある」

この仕組みにおいて、つまり評価を勝ち取りやすい人は

アピールがうまい人」である。

外資系企業にお務めの方が、「あの人はアピールがうまくて、高い評価を得ている」とよく話されるのを聞く。つまりはこうだ。

(ちなみに、360度評価を入れようが入れまいが、アピールがうまい人が評価を勝ち取りやすい構造は変わらない。誰に対して見せ方をうまくすればいいかという対象が増えるだけだから)

さて、そう考えたときに、日系企業大手では

一体何が今と変わるのであろうか?

結論、変わらない。ジョブ型雇用だろうがなんだろうが、評価される人は

アピールがうまい人なのである。

そう、「あの人はアピールがうまくて高い評価を得ている」というフレーズ、

日系企業でもお聞きにならないだろうか?

ちなみに、「アピールがうまい」という言葉は、世間一般の使われ方では

ネガティブなイメージもあるかもしれないが、筆者はネガティブな意味は

全く込めていない。

むしろ、筆者自身が

「仕事モテを構成する力は、仕事獲得力と価値提供力である」

と謳っている。

アピールがうまいというのはまさに「仕事獲得力」の一部だと思っている。

アピールが苦手な方は、

評価は「付けられるもの」ではなく「勝ち取るもの」という思考のパラダイムシフトをもって、

アピール方法を考えた方がよい。

「ゲームのルールを理解し、そのルールの中で勝つための努力」

が、高い評価を勝ち取るためのアピール、である。


③採用について:

JDに基づいたジョブ型雇用では、専門性の高い業務も含めてJD化されるため、

新卒採用が減り、中途採用がメインになる、と言われる。

(新卒には専門性がないから、という前提の下に)

果たして、本当にそうだろうか。

確かに、外資系企業の雇用の中心は「中途採用」のように見える。実際、筆者のクライアントもそうだった。

しかし、冷静に考えてみてほしい。本当に中途採用のみで全ての人材をまかなっているとしたら、

外資系企業で新卒採用は行われていないはずである。

実際は、ある。特に、外資系の中でも大手企業ほど、新卒採用にも相当の力を入れている。

なぜ新卒採用が存在するのか。理由は3つ。

①「組織文化の継承者」は中途<<新卒だから

②新卒のほうが高学歴人材を採用出来るから

③中途採用だけだと人数が足りないポジションがあるから

それぞれ補足しよう。


①「組織文化の継承者」は中途<<新卒だから

これは体感的にお分かりかと思うが、会社へのロイヤリティが高いのは中途よりも新卒であることのほうが多い。

中途はどこか様子見で入社をし、自らの得たいものを得た後に再度転職するという選択肢を隠し持っている。※当然、全員がそうではないが

一方、新卒は会社も初めてであれば、そもそも社会人も初めてである。つまりは、社会人としては生まれたての赤ちゃんみたいなものである。

生まれたての赤ちゃんは、価値観をどうやって形成するか?家族の影響である。

新卒社会人にとっての家族は何か?勿論、最初の会社であることが圧倒的に多い。

ので、知らず知らずのうちに、その会社の価値観が根付き、結果、「その会社っぽい」と呼ばれる人はプロパー(新卒出身者)である可能性が高いのだ。

そして、プロパーたちが会社に愛着を持って働き、その会社の価値基準を全体に波及させ、文化を根付かせる。

その役割を担うのである。


②新卒のほうが高学歴人材を採用出来るから

これも、体感的にお分かりかもしれない。実は一般的には、新卒採用のほうが高学歴の人材を採りやすい。

中途採用はスキルで採用するため変な話学歴よりもキャリアと経験、実績で採用される。

一方で、新卒には経験も実績も特段ない。しかし、「キャリア」という武器がある。「学歴」というキャリアが。

学歴は仕事が出来るかどうか関係ないだろう、という説はある。確かにそれは一理ある。何を隠そう、筆者自身大卒ではあるものの、所謂GMARCHと呼ばれるようなレベル感の大学ではない(同門の学生に怒られるが、「中途半端な学歴の中でも、低い方」だと自認している)。

しかしながら、確実に、学歴の壁はある。中途採用ですら学歴の壁が存在する(業界もある)中で、新卒だとその壁はより厚い。

なぜそうなのか。要するに、「学歴が高いと、優秀な人材がいる確率が高い」からである。

特に大学学歴が高いというのは、「偏差値という相対的順位が出るゲーム、しかもほぼ全学生が参加するゲームにおいて、そのゲームの勘所を理解し、成果を残した=同世代の中においても優秀である可能性が高い」というバイアスがかかる。

ある一つのゲームで勝ち筋を見極められたのならば、きっと社会人としても同じく勝ち筋を見極められるはず、という期待バイアスである。

なので、新卒だと、応募者の中で相対的に偏差値の高い学生に目がいきがちであり、中途よりも相対的に学歴が高い学生が採用されるのである。


③中途採用だけだと人数が足りないポジションがあるから

そのポジションとは何か。簡単に言えば「営業系ポジション」「製造オペレーター系ポジション」である。その企業の中において、人数を必要とするポジションである。これらは新卒も採用されやすい。

また、それこそ他のポジション(マーケや経理、財務などのミドル・バックオフィス系)と比較して、

営業・製造が機能するには、「組織文化」の影響が大きいが

ミドル・バックオフィス系が機能するには、「スキル」の影響が大きい

というのも、営業・製造で新卒採用が活発な理由の一つであろうとも思う。

文化の継承を行うに、新卒のほうが染めやすいからである(①参照)。

(これは裏を返せば、「スキル」の影響が大きいミドル・バックオフィス系は、「今までと変わらず」中途採用を行うとも言える。そう、既に日系大手企業でも、ミドルバックオフィス系については中途採用を普通にしている)

以上を踏まえた際に、JDを中心としたジョブ型雇用を行ったとしても、

新卒採用が消えてなくなるということはない。

また、新卒でも専門性が求められる、となっていくことは間違いないが、

特に大きな企業ほど(つまり、組織のやり方が安定し、次は文化継承を考える局面ないし部門・職種であればあるほど)、

専門性がなくても、ポテンシャルでの新卒採用も存在し続ける

というのが、筆者の意見である。

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