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5年先のキャリアが描きにくくなっている

キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
キャリアデザイン研修の最後には、3~5年後の未来を描いてもらうのですが、最近受講生の方々から、『5年後を考えるのは難しい』との声が多くなりました。
以前は、難しいながらも自分なりに考えてみる方が多かった気がするんです。

画像1今、未来を描きにくくなっている理由は何かか?
考えられることを少し整理してみようと思います。

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研修スタイルの問題

昨年からオンライン研修が多くなりました。在宅勤務でリモートワーク中でも、社員の学びや成長の機会を大切にする企業が増えています。先日もオンラインでキャリア系の研修を実施しましたが、みなさん積極的に参加いただいて、リアル開催と同じように1日の内容を実施することができました。

事前に配布した資料をもとに講義し、受講生は個人ワークの時間で考えを深めたり、ブレイクアウトルームでグループワークも実施。オンラインでもリアル開催と同じように進行しているのですが、決定的に違うことが一つあります。

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それは「周りが見えない、周りからの情報が入ってこない」ということです。リアルな会場であれば、個々にシートに書き込むワークをしていても、隣の人の進捗具合や前に座っている人の手元が見えたりしますよね。自分の考えが行き詰った時、ふと周囲に目を向けてちょっとしたヒントを得たり、書く量の参考になったりしているものです。

「あ~、前の人は〇〇のようなことを書いているのか・・・自分はどうだろう?」
「隣の人、ずいぶん書くのが早いな~、あ、箇条書きでもいいのか」

それに、リアル研修では煮詰まっている人に講師がそっと声がけして支援をするのですが、オンラインだと誰がどういう状況かがわかりません。チャット等で講師へ「助けてください」と連絡をくださる方はほぼいないので、こちらから関われないジレンマがあります。その人の環境でのみ個人ワークが実施されるので、本人が「何を書けばいいんだろう?」と迷うとそこから抜け出すきっかけがなくなってしまうんですね。個人ワークで書いた内容をグループで共有したり、数名指名して全体共有してもらい、講師がフィードバックすることで、「そういうことを書くのか」と気づいてもらう仕掛けが必要になります。

グループワークも同じで、リアルな研修では隣のグループの声や話の内容が雑音として入ってくるので、「そういうことを話し合えばいいのか」と理解できたり、少し会話が煮詰まった時に他のグループの話す内容についても意見交換するきっかけになることがとても多いのです。オンラインではブレイクアウトルームに入ってしまえば、そのメンバー間だけのセッションになるので、活性化するところとしないところに差がでます。講師は各々のルームに入って話し合いの状況を確認していくことが大事になります。

オンライン研修では、個人もグループも閉ざされた世界になるので、考えるきっかけや刺激が少なくなることが、未来を考えにくくさせているのかもしれないと感じています。

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コロナ禍で未来が見えなくなってきた

不確実性の時代と言われて久しいのですが、やはり昨年からのパンデミックが私たちに与えた影響は計り知れないと思います。
「何が起こるかわからないよね~」
これまでは何気なく言っていた言葉も、強烈な事実として私たちの心に印象付けられました。

「こんな生活になるなんて思ってもいなかった」
「ウィルスが蔓延することで、こんなに世の中が変わってしまうんだ」

生活の変化、習慣の変化、働き方の変化、価値観の変化・・・

いろんな変化を経験した私たちの気持ちの中には、未来を見るゆとりがなくなっているのかもしれません。未来を考えるためには、ある程度「こうなるだろう」という予測や「こうなっていたい」という動機が必要です。その予測や動機は、過去の経験値から導き出されます

短期間に大きな変化を経験すると、経験値がリセットされてしまって、参照元の情報がない状況なのかもしれません。今までのようにこの先の自分を考えにくくなった理由の一つにコロナ禍があるのかもしれないと思っています。

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見えない未来でも考える意味

5年後を考えにくいのであれば、3年後、1年後でもいいので、ほんの少し先の自分を想像してみてください。未来がどうなるかわからないとはいえ、北へ行くのか、南へ行くのか、歩き出すための方向性は持っていたい。

どうせ環境に左右されてしまうのだから、、、とあきらめずに、一度制約をはずして「もしコロナ禍がなかったら~~をしたかった」とか「なんでもできると仮定したら、〇〇でありたい」等、自分の欲求や動機を言葉にしてみます。できるかどうかわからないことを書くことに意味がないと捉える方もいますが、できるかどうかわからないことだからこそ書いてみます。そうすることで、自分の本来の願いはどんなことかが見出されるからです。その願いは、現状に反映するとすればどうなのか?を検討してみる価値はあると思います。

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あらねばならない姿や、あるべき姿ではなく、自分がありたい姿を自由に考えてみてください。こんな時代だからこそ、自分の羅針盤をつくるためにキャリアを考える機会は大事だと思います。


・著書紹介


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