② 「人生の役割」を組み合わせて自分らしい生き方をつくる
キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
キャリアの語源は「轍(わだち)」=馬車の車輪が残した跡だといわれています。キャリアは仕事だけでなく生活も含めた「私たちが生きる道筋」、人生全体のことを指します。「自分らしいキャリアってなんだろう?」をテーマに、キャリアの考え方について連載していきます。
今回は「人生の役割(ライフロール)」の活かし方について考えてみよう
自分らしいキャリアを生きるためには、「人生の役割(ライフロール)」という視点をもって、今どんな役割を持っているのかを客観的に把握したり、その割合がどうなっているのかを確認したり、これからどんな役割を担いたいのか、担う必要があるのかを考えていくことが大事になります。
前回の記事もぜひ読んでみてください。
今回は、自分の「人生の役割(ライフロール)」をどんなふうにキャリアに活かしていくのかを考えてみようと思います。
今どんな役割を持っているだろう?
なんだかうまくいかない、このままでいいんだろうか?とモヤモヤしている・・・
そんな悩みを抱える人の中には、役割を多く持ち過ぎていたり自分一人が担わなければと抱え込みすぎていることもあります。
例えば、仕事と家庭を両立している女性の中には、家事もきちんとこなし仕事も120%、子どもの教育にも熱心に取り組んだ結果、燃え尽きてしまいそうな状態になってしまっているケースがあります。
例えば、仕事の責任も大きくなった中堅社員は自分の仕事に加え後輩の指導育成も任されて大変なのに、上司や他部署から頼まれるといやと言えず、深夜まで残業したり自宅に仕事を持ち帰ったりするケースもあります。
先日あるキャリア面談で、管理職としての重責に加え、プライベートでは家事・育児・介護を担っていて、時間だけでなく気持ちにも余裕がないと吐露してくれた方がいました。
1日は24時間ですし、1年は365日か366日と決まっています。どんなにがんばったって、自分だけ1日が36時間になることはありません。となると、配分とか優先順位に目を向けないと、状況は打開できないのです。
完璧さを少しゆるめてみる。
誰かの(外部のサービスも含めて)手を借りることはできないか考えてみる。
そもそもやらなくていいことまでやっていないか考えてみる。
気分転換の時間も取り入れてみる。
等々・・・
いくつもの役割を担っている時は、嵐の中心にいるような感じで冷静な判断が難しくなったりします。気持ちに余裕がない、時間が足りない、どうなってしまうんだろうと不安になるときは、人生の役割の数や割合に目を向けてみましょう。
どこかにムリはないでしょうか?過剰な責任感で自分を苦しめていないでしょうか?キャパシティがオーバーになっていないでしょうか?
役割の数や割合と、それに向き合っている自分の姿を客観的に分析してみると、問題を解決するヒントが見えてくると思います。
この先どんな役割を担っていきたいのだろう?
一般的にキャリアを考える時は、未来に向けた質問が多くなります。
あなたは何がしたいのか?どうなりたいのか?
未来は考えるのは、慣れていないとなかなか難しい作業です。特に「~しなければならない」「~すべき」と考えるクセがある人は、なおさら苦手意識があるようです。未来は見通すことが難しいし、正解がないので、どうしたらいいのか不安になるのだと思います。
未来を考える視点として、人生の役割(ライフロール)の二つの側面を考えてみましょう。
一つは、予測される未来の役割について。
前回の記事でも書きましたが、今は「子ども」としての役割はほとんどないけれど、何十年後に介護を担う「子ども」としての役割が増えていくことが予測できれば、今から想定しておかなければいけません。また今、幼児を育てている方は、手取り足取り世話をする「親」の役割から、思春期の成長を見守る「親」に変わっていくだろうと予測できます。
5年後、10年後は今の役割がどうなっていくかを考えてみると、ずっと今のままではないことに気づくと思います。変化することを見据えて、予測した未来の役割に対しての備えを考えておくと安心です。
もう一つは、希望したい未来の役割についてです。
どんな役割を担うべきなのか?で考えるとツラくなるので、どんな役割があったら楽しいかな?ぐらいの気持ちで考えてみます。
私だったら・・・10年後には「旅を楽しんでいる人」という役割が欲しいなぁ~と思います。日本国内、行ってみたいところがいっぱいあるんです。でもこの役割を果たすためには資金が必要です。少しずつ旅行資金を貯め始めたいなと思います。
例えば3年後に「ホノルルマラソンを完走する人」という役割を希望するのであれば、2年後には国内のフルマラソンをいくつか走っておいた方がいい、1年後にはハーフマラソンはクリアしておこう!と、希望する役割を得るためのToDoが見えてくるようになります。
自分がどんな「人生の役割(ライフロール)」を担いたいのか?
楽しんで考えているうちに、未来のビジョンが描けてきますし、それに向けた行動計画も作れそうですね。
まとめ
あなたは今、どんな「人生の役割(ライフロール)」を担っていますか?そしてこれからどんな役割を担うことになるでしょう?自ら得たい役割も一緒に考えてみましょう。
人はいろんな役割を担って生きています。
役割を担えるということは、誰かの役に立てることなのではないかと思うのです。誰かの役に立てるって、うれしいですよね。
誰かの役に立てることを楽しみながら、喜びながら、人生を過ごすことができたら、きっと充実感が増す気がします。
「人生の役割(ライフロール)」の組合せは人それぞれ。自分らしいキャリアをデザインしていきましょう!
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