新入社員がやってくる!受入れ側に知ってもらいたい「新人のお悩みベスト3」
キャリアコンサルタントの松岡澄江です。
4月に入りました。今年は入社式をリアルで実施したところも増えたそうですね。今年は同期が知り合える機会がたくさんあるといいなと思います。私も来週から新入社員研修に登壇していきます。私が担当するのは主に「仕事の基礎」なので、会社の事業の説明やビジネスマナーが終わったタイミング(だいたい2週目~3週目ぐらい)の登壇になります。
新人も組織に慣れるまで大変ですが、受け入れる側にもいろんな苦労があると思います。「今年はうちの部署に新人が来るぞ!」とドキドキしている方に向けて、新入社員とのキャリア面談で語られることの中から、お悩みベスト3をご紹介していきます。
研修は楽しかったのに・・・
入社後の研修期間は企業によってもさまざまです。2週間程度の研修を経て配属となる企業もあれば、3カ月間みっちり研修を実施するところもあります。私が勤めていた会社は入社から1カ月程度の研修を実施し、GW明けに配属の流れでした。
新人の研修は、会社の理解(各事業部から説明を受ける)、ビジネスマナー、仕事の基礎、業務知識・技術の習得(仕事に必要な知識やスキル、PC操作 他)、仕事体験(工場等の現場で働く 他)等、カリキュラムも様々です。
自社内だけで実施するところもあれば、ビジネスマナーは研修会社へ行って他社の新人との合同研修で受講することもあるでしょう。研修所で共同生活を送りながら研修を実施する企業もあります。いずれにしても、入社してから研修が終わるまで、新人にとっては非日常が続くことになります。
研修期間中は、同じような年代が集まって毎日学びながら、しかもお給料がもらえます。人事の方々もとてもよく面倒見てくれますし、まぁまぁ楽しい体験ですよね。ところが配属になると環境がガラッと変わります。本人たちも、仕事は責任が伴う厳しいものだとは頭では理解できているけど、実際に配属されて仕事の現場に入ると、研修期間との落差にショックを受けるようです。
キャリア理論の中でも「リアリティショック」と言われるもので、多少の個人差はありますが、誰でも感じるものです。受け入れ側が忙しいと、新人の面倒をみることが難しく放置してしまうこともあると思いますが、少なくとも教育係になった人は、朝の仕事の指示・昼の進捗確認・夕の振り返りといったように、定期的なコミュニケーションを取って様子を確認して欲しいと思います。
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思っていた仕事と違う・・・
学生の就職支援をしていた時に感じていたのは、その企業の仕事を理解していなくても、学生は内定を決めていく現実です。職業の方向性が定まっていない学生に特に多かった決め手が、「人事がいい人だった」です。
いやいや・・・そもそも最近は、人手不足で採用をアウトソーシングしていることもあります。採用担当がその企業の人とは限らない。企業の社員が採用担当であっても、その人個人のコミュニケーション力だけでこれから働く会社を決めてしまうのは危険だなと思います。
「人事がいい人」に次いで多いのが、「社長がいい人」でした。あとは「オフィスがかっこいい」とか、「服装が自由」とか、「残業が少ない」とか。もちろんそれも大事な職業選択における価値観ですが、環境や見た目でなんとなく入社を決めた社員は、事業への理解が浅いのでリアルに配属された途端に「思っていた仕事と違う・・・」といって悩み始めます。
そんな新人が配属されたらどうしますか?
でも、労働力不足の今の時代、新人配属は貴重です。せっかく縁があって配属されたのだから、「こんなことも知らないのか」と思わず、業務を丁寧に説明してあげてください。その際にぜひ伝えてもらいたいのが、「この仕事が何で必要なのか」「この仕事のやりがいは何か」「どんなスキルを身につけるとこの仕事ができるようになるのか」等、その仕事の意義です。そういうことが理解できると、がんばろうという気持ちになりますし、成長も早くなります。ここは根気が必要なところだと思います。
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こんなことをするために入社したんじゃない・・・
これも就活の弊害なのかなと私は思っているのですが、面接で「うちの会社で何をやりたいか」を聞かれることがあまりにも多いので、それに答えているうちにその希望が入社すれば叶うという錯覚に陥るようです。自分が考えた仕事をやらせてもらえる可能性があるから、採用されたと捉えてしまう人もいます。
配属が希望したものではなかった場合、「次のローテーションまで3年はがんばろう」と考える人もいれば、「3年も無駄にするのはイヤだからすぐに転職しよう」と考える人もいます。あるいは、職種は希望通りだが新人に与えられる仕事が雑用ばかりで、それが嫌で転職を考えるケースもあります。
ある新入社員は、「企画の仕事をしたいのに、打合せの議事録ばかり書いている」と涙ながらに話してくれました。学生時代にビジネスコンテストで優勝した経験があった彼女は、会社に入ったらすぐにクライアントへ企画提案ができると思っていたようです。会社としては、彼女の素質を高く評価していたものの、まずは仕事の基本から教えていき、ゆっくり成長させようと考えていたと思います。
配属先や業務内容が希望と違う場合は、より丁寧にその社員にどうなって欲しいか、なぜその仕事を経験してもらいたいのか、を説明する必要性があると思います。だまって3年我慢しろという昭和な働き方は通用しなくなっています。配属された新人とのコミュニケーションを、ぜひしっかりとってまずは相互理解を深めてください。
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