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駐在妻インターン生ってどんな人?【第6期vol.4 斉藤さん(日本在住)】

2022年10月より第6期インターンが活動中です。第5期から継続の2名を含め8名、アジア、アフリカ、中東、アメリカと世界中から集まった駐在妻。第4弾を飾るのは、オランダ・イギリス帯同を経て、2022年に日本に本帰国した斉藤さんのご紹介です。
インターン生同士のインタビューは、自身では“普通”だと思っていた経歴や強みを掘り起こし、頑張ってきた軌跡を棚卸しする機会になっています。インターン生のことを知っていただきながら、皆さんも「自分がインタビューを受けたら」と是非想像しながらお楽しみください。

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【斉藤さん/プロフィール】
新卒で住宅設備メーカーに入社後、販売本部にて販売戦略の立案と推進に従事。入社6年目で支社の営業部に異動するが、夫のオランダ転勤に帯同することを決意し、退職。
2015〜2018年オランダ・2018〜2022年イギリスと2カ国の駐在を経て、本帰国。

はじめに

「ほんわかしているのに、強さと軸がある」
それが斉藤さんと初めて話した時の第一印象でした。
私が常に感じている彼女の強さと軸、それは「他人のために」という思考と行動。
今回のインタビューを通して、それらがどのように形成されたのか見えてきたような気がしました。

悔しさの残る中での退職決意

ーー新卒で入社された会社では、どのようなお仕事をされていたのですか?

入社時の希望が叶い、販売本部に配属されました。業務内容は、ターゲット顧客に対する営業戦略の立案、各支社への展開です。必要なカタログの作成やお客様向けのセミナーの考案もしました。最後の2年は推進リーダーを担当。全国の支社長や営業担当者と話し、サポートする、という業務を行っていました。自分達が作ったカタログやセミナーを通して、全国の営業がお客様と関係構築していく様子を見ることができ、とてもやりがいを感じる日々だったのを覚えています!

ーー念願の部署で推進リーダーとして仕事ができるなんてすごいです!
でも、仕事が軌道に乗っていたタイミングで営業部へ異動されていますね。入社6年目での営業配属は大変だったと伺いました。

そうなんです。
本部では、若かった私の意見も受け入れられ、のびのび仕事ができていました。
でも営業部は雰囲気が全然違って・・・現場の厳しさの洗礼を受けました(笑)。本部で得た知識や社内人脈を活用しながら営業していたのですが、思うように成果が挙げられず試行錯誤の日々でした。
そんな中で夫のオランダ転勤が決まり、ほぼ同じタイミングで第一子を妊娠。最初はとても驚き、悩んだのですが「家族と一緒にいたい」という気持ちが強く、退職して帯同することを決意したんです。

ーー異動後の悔しい気持ちが残る中での退職だったのですね。すぐに決断できましたか?

キャリアが途絶えることに不安はありましたが、会社を辞めることは割とすぐ決断できました。本部でやりきった、という気持ちが強かったからだと思います。営業部では悔しい想いをしましたが、「自分は営業の第一線で働くよりも、誰かをサポートしたり、陰で支えたりする方が好きだ」という発見にも繋がったので良い経験でした。

決断してからは、とにかく目の前のことに集中するようにしていたんです。初めての妊娠、初めての海外生活。全てが初めてのことで、新生活を立ち上げることに必死だったので。

初めての海外生活で、自分を強くしてくれた出産経験

ーー斉藤さんにとっては初めての海外生活だったのですね!出産もオランダで経験されたそうですが・・・。

そうなんです!
オランダの出産は自然派で、妊娠中のエコー検査もほとんどなく、自宅出産する人も多いんです。無痛分娩もなく、陣痛中も放置(笑)。ランチタイムが終わった助産師さん達がやっと来てくれたと思ったら、そこからすぐに分娩台へ移動し、出産。その4時間後には母子で退院、というバタバタスケジュールでした。出産ひとつとっても日本と考え方が全然違うので、不安や不満もあったけれど、とても貴重な経験ができたし、この異国での出産経験が私を強くしてくれました。

出産後は、日本人のお友達が子どもの面倒を手伝ってくれたり、夕飯を作って持ってきてくれたり、と人に恵まれて生活ができました。助けてもらった恩は一生忘れません!
オランダでは、このように“周りの日本人と助け合って、みんなで子育てをしている感覚”があったんです。なので、「私も他の親子の手助けをしたい!」と思うようになり、日本人未就学児プレイグループに参加。運営にも携わらせてもらいました。やっていたことは会計とか備品の購入、子ども達への読み聞かせなど些細なことなんですけど。

ーー些細なことだなんてとんでもない!そうやって一歩を踏み出すことが大事だと思います!プレイグループの運営の中で、日本での仕事を思い出す場面などもありましたか?

そうですね。運営で仲良くなったママ友と仕事について話す機会があって。その時に、“働いてキラキラしていた時の自分”を思い出し、懐かしく思いました。でも、子育てに奥深さを感じていたし、子育ては自分にとって大切な仕事だと思っていたので、キャリアから離れていることに対して、負の感情が芽生えることはありませんでした。

オランダといえば、アムステルダムの運河と自転車と曇り空。

人生の転機のきっかけをくれたパンデミック

ーー斉藤さんはイギリスでの帯同も経験されているんですよね。何か心に残っている思い出などはありますか?

子どもの通っていたインターナショナルスクールではPTA活動が盛んで、貧困層への寄付活動・ボランティア活動や、各国の食べ物・遊びを持ち寄るイベントなどがありました。どれも日本では経験できないことで、様々な価値観に触れることができ、強く印象に残っています。
でも一番の思い出はパンデミックですかね・・・

ーーそうか!ロンドンでパンデミックを経験されているんですね!日本でも大変だったのに、異国の地でのパンデミックなんて私には想像もできません。。実際どうでしたか?

ロンドンに来て半年でパンデミックになり、街がロックダウンしました。
特に2回目のロックダウンの時がとても大変で・・・。上の子の休校や主人の在宅勤務が始まり、全員が家に閉じ込められている状況が4ヶ月程続いたんです。
上の子のオンライン授業のフォローをしながら、下の子のお世話。外出も制限され、家族4人分の食事を3食作らなければいけないのに、外へのお買い物は週に1回だけ。ネットスーパーは予約が取れずイライラ・・・の繰り返し。子ども達もお友達に会えないし、外出できないしで、家族全員ストレスが溜まり、本当に最悪の状態でした。

でも、このことも異国での出産に加え、私を強くしてくれた経験のひとつです。
いま日本で大変なことがあっても「あの時よりもマシだ」という気持ちで頑張れているし、夫にも「強くなったね」と言われます(笑)。

ロックダウンがきっかけで、子育てにおいて“家での環境”が大切だと改めて感じ、講座を受けたり本を読み直したり、学ぶきっかけにもなりました。

ーー講座ですか?具体的にどのような?

Instagramで見つけたオンライン講座なんですが、講師は元幼稚園教諭の方で、子どもの成長発達や発達心理学に即した遊びや絵本、子どもに対する接し方を学べる講座でした。
子育てについては以前から興味があったので、たくさん本を読んでいたのですが、これまでの知識と受けた講座の内容が一致し、納得したことがあるんです。

ーーと、いうと?

“母親としてやらなければいけないのは、子どもの自己肯定感を育むこと。そのためにはまず母親が満たされていないといけない”ということです。
そこから「いま私がしたいことってなんだろう」と考え始めるようになりました。
おかげで「家で静かに本を読みたい」「一人でパリに行きたい」「お友達とゆっくりお茶したい」という願望を、家族の協力を得て叶えていくことができたんです。「私がハッピーでいる=家族平和」という考えですかね(笑)。

2500冊の絵本が再燃させた“仕事への想い”

ーー「私がハッピーでいる=家族平和」!その考え、とても共感します!(笑)
自分のための時間を作ることで気付けることもありますよね。「家族のことが一番で自分は二の次」と思っている方も多いと思うので、もし悩んでいる方がいたら聞いてほしいお話です!

本当に、おっしゃる通りです。
私もこの頃から自分自身のことについてよく考えるようになり、「また仕事がしたいな」と思うようになっていきました。子どもと一緒に絵本を読む中で、前職に通ずるものを感じ、仕事への想いが再熱した、というのもあります。

ーー絵本に触れて、ですか?私にはない発想だったので、その点、気になります!

私自身、子どもの時から絵本がすごく好きで、家に2500冊ほどあるんですけど、絵本って“絵”と“少ない文章”で、誰にでもわかるように表現されていると思いませんか?
そういう絵本に日々触れていると、働いていた時代に精を燃やしていた“わかりやすい資料・カタログ作り”と通じるものを感じたんです。

また、主人から仕事の資料作成の相談を受けたことがあり、意見を言っているうちに「ビジネス脳を使うって楽しいな、また仕事したいな」と思い始めるようになっていきました。

ーーなるほど!そういうことだったんですね!
それがCAREER MARKのインターン応募に繋がったのですか?

そうですね。本帰国が見えたタイミングで、友人にCAREER MARKの存在を教えてもらい、1on1キャリアサポートを受けました。その際にインターンについてご紹介いただいたのがきっかけです。本帰国後のタイミング、しかも母子だけの先行帰国だったので迷ったのですが、「何かしたい」という想いが強かったのと、何よりもCAREER MARKの理念に強く共感していたので応募することを決意しました。

ロンドンにある芝生の広い公園。ロックダウン中にもよく行った思い出の場所です。

“駐在妻の失敗例”??  CAREER MARKインターンを通して伝えたいこと

ーー斉藤さんと一緒に仕事をしていると、理念に共感していると見て取れる場面がたくさんあります!
活動する上で何か心がけていることはありますか?

私は、自分を失敗例だと思っているんです(笑)。
というのも、駐在帯同期間中に先を見越してスキルアップするための行動をしてこなかったから。そんな私が報われるには、CAREER MARKを通じて私の失敗例を人に伝え、1人でも多くの人に変わるチャンスを与えることだと信じています。

“諦めていた仕事熱”が私のように再燃する人も絶対いると思うんです。自分でその気持ちに気づいた時に「遅かった」と思ってしまう駐在妻の方が減るように活動していきたいな、と思っています。

ーーそうやって自分の後悔を人に伝え、次に繋げてほしいと思える気持ち、素晴らしいです。

そんな斉藤さんに質問です!帰国したからこそ思う、“やっておけば良かったこと”など具体的に何かありますか?

  1. 興味の幅を広げ、様々な価値観に出会うこと。

  2. 学ぶこと。その学びが自分のものとなるように資格を取ったり、人に働きかけたり、アウトプットすること。

  3. CAREER MARKなど、キャリアに対して相談できる相手を早くから作っておくこと。

です!

私は1つ目はできたのではないかと思っています。駐在帯同生活を経験しなければ今の自分の価値観はないので!駐在帯同して本当によかったな、と思う瞬間です。
できなかったのは2つ目と3つ目。
私はなんでも「日本に帰ってからやればいいか」と思って、旅行や遊びを優先しがちだったのですが、今はオンラインでなんでも情報を手に入れることが簡単にできるし、資格のための勉強もできるはず。「初期からその意識で帯同生活をスタートできていたら、本帰国後の初動が早かっただろうな」と感じます。なので、皆さんにはぜひ先ほどの3つを駐在帯同期間中に行ってほしいです!

ーーなるほど。私もできていないことが多いので胸に刺さります・・・!

本帰国後は、荷物の整理、子どもの学校の手続きなどで飛ぶように時間が過ぎていきます。
しっかりと帰国前に“自分のやりたいこと”を考えて早めからアクションを起こさないと、再就職への一歩はなかなか踏み出せないのではないかな、と思います。
だからこそ、駐在帯同期間中から“常にアンテナを張って、働き方のイメージを持つこと”は本当に大事。

私は、なんとなく6年半過ごしてしまったけれど、本帰国後を見越して、渡航前・帯同中・本帰国前を過ごしていたらいろいろ変わっただろうな、という後悔があります。
私のように、帯同中キャリアについて真剣に考える余裕がない人や、働く意思はないと思っている人でも、些細なきっかけで考えが変わり、働きたいと思う日が来ることもあるはず。
皆さんには私のように「思い立った時にはもう遅かった」と後悔してほしくないからこそ、早めに一歩を踏み出す勇気を持ってほしいです!

ーー最後に熱いメッセージありがとうございます!

コッツウォルズ。イギリス国内も素敵な場所が多く、たくさん旅行しました。

あとがき

「私は普通だから」「他のインターンの皆みたいにキラキラしていない」
斉藤さんはインタビュー開始前からずっとそのようにおっしゃっていました。
しかし、今回のインタビューで、彼女の強さと軸を形成した人生にも“他の人にはない光る個性と経験”があると私は感じました。

渡航前の仕事・帯同中の経験を通して、各ライフステージで成長をし続けている斉藤さん。人に助けてもらい、人の意見を聞き、それらを吸収することで身につけた”他人のために”行動する力。
それは何にも変えられない素晴らしい能力です。

自分の話をすることで、自分では気づかない強みを見つけることができます。自分に自信がない、私は他の人よりも劣っている、そう感じている方こそ、棚卸しをしてみてください。
きっと素晴らしい経験や想いがそこにはあるはず。

今回の記事を読んで、そんなはじめの一歩を踏み出す勇気を持つことができる人が1人でも多くいることを願っています。

インタビュー・文:
CAREER MARK 第6期インターン 杉野 理央

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