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駐在妻インターンってどんな人?【第9期vol.6 さやこさん(ベトナム在住)】

2024年2月、第9期インターンではノルウェー、ベトナム、アメリカ、インドネシア、オーストラリアから参加の駐在妻が加わりました。9期駐在妻インターンメンバーへのインタビュー第6弾は、2022年7月からベトナムに駐在帯同中のさやこさんのご紹介です。

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【さやこさん/お仕事プロフィール】
新卒で入社した地域金融機関で3年弱、預金、融資の事務および金融商品の外回り営業を担当。その後インターネット専業銀行(以下、「ネット銀行」という)に転職し、約7年半、外貨送金や内国為替(振込み)の事務を担当。2022年6月、夫の駐在に帯同するため退職。同年7月よりベトナム・ホーチミンシティ在住。


はじめに

柔らかな雰囲気をまとい、話しているだけで安心感を与えてくれるさやこさん。実際に一緒に活動してみると、その印象通り、とても気配り上手で、インターンの同期のことをいつも気にかけてくれます。そんな思いやりと優しさ溢れるさやこさんとのインタビューからは、彼女が常に自分の人生と誠実に向き合ってきた姿が伺えました。これまでどのように自分と向き合い、新しい道を切り拓いてきたのか、そのストーリーをぜひお楽しみください。

メインストリートのNguyen Hue通り。
旧正月は盛大に祝われます。今年は辰年なので、大きな辰のオブジェが出現していました。

理想とのギャップに打ちのめされた営業時代

金融業界に長く勤めてきたさやこさん。まずは帯同前のキャリアについて教えてください。

新卒の就職活動時、幅広い業界を見ている中で、金融業界に勤める先輩社員の体験談を聞く機会がありました。その先輩社員の体験談に感銘を受けて、「命の次に大切ともいえる「お金」を取り扱う金融業界で、お客さま一人一人に本当に必要な商品やサービスを提供したい」と思い、金融業界を志望し、地域金融機関への入社を決めました。
入社した地域金融機関では、在籍していた3年弱の間に、ジョブローテーションという形で、預金、融資の事務および金融商品の外回り営業といった一通りの支店業務を経験しました。
その最後に経験した「外回り営業」が、精神的に本当に辛かったんです。曲がりなりにも入社当時、「お客さま一人一人に本当に必要な商品やサービスを提供したい」という理想を掲げていましたが、現実はその理想とあまりにもかけ離れていました。個人や支店のノルマ達成を追い求めるがゆえ、富裕層の方々に価格変動リスクのある商品を推進し、本当に必要とは思えない商品をお願いして契約してもらう日々・・・。心の底から「お客さまのため」と思えない営業を続けることに苦しさを感じるばかりでした。営業用のバイクに乗ってお客さま先に向かう途中で、涙が止まらなくなったこともありました。

涙が止まらないほど辛い仕事を続けるのは非常に大変だったと思います。
他の部署に異動するという選択肢はなかったのでしょうか?

ジョブローテーションで一通りの業務を経験したあと、本人の希望や適性が考慮されることなく、若手は全員営業に配属されるというのが会社の方針でした。営業以外を希望する道はなかったんです。
そんなある日、「これ以上この仕事を続けるのは無理だ」と自分の限界を感じるようになり、入社から3年経たずして転職することを決めました。見切りをつけるには時期尚早だったかもしれませんが、当時の自分の状態を考えると心身の健康を保つために必要な決断だったと思っています。

転職で手に入れた理想の働き方

入社して数年での転職は色々迷いもあったと思いますが、それでも「自分のことを大切にしたい」という思いから、転職を決断したことはとても勇気ある行動だと思います。
転職活動はどのように進められたのですか?

1社目で経験した営業が本当に辛かったため、同じ金融業界であっても「事務職」を希望して転職活動を始めました。そして幸運にも、ネット銀行で希望していた職種に就くことが決まりました。ネット銀行は若い人を中心に利用者が増えており、在籍中も著しい成長を実感していました。
しかし、仕事の処理自体は紙媒体のものが多く、個人情報の取り扱いが非常に厳しいことも相まって、コロナ禍でも毎日オフィスに出社して仕事をしていました。毎日膨大な量の書類を処理するのは大変ではありましたが、この仕事は自分に合っていたと思います。また、異動や休暇等の希望が通りやすく、残業時間も自分で調整できたため、とても働きやすかったです。同僚にも恵まれ、自分が理想とする働き方ができていました。
在籍年数が長くなってくると、後輩も増え、周囲から頼られる機会も多くなりました。チームのメンバーが行き詰まった時に一緒に解決策を考えたり、部署のメンバーの仕事の割り振りやその進捗確認と自分の仕事との両立もできるようになり、自分のペースで働けたことで、1社目とは打って変わって心穏やかな日々を送ることができました。

勇気を出して転職したおかげで、さやこさんがイメージしていた通りの働き方を手に入れられたんですね!
目の前の仕事に真摯に向き合い、職場の仲間と信頼関係を築き上げながら着実にキャリアを積んできた様子が伺えます。

ベトナムで実感した「いいギャップ」

安定した日々を送る中で言い渡されたご主人の海外赴任。それを聞いたときはどう思いましたか?

夫とは学生時代からの付き合いですが、夫は就職活動をしていたときから「将来は海外で働きたい」という夢を持っており、それが実現できる企業に入社しました。そのため、夫が海外で働くことになったら私は仕事を辞めてついていくんだ、という心構えはできていました。念願の海外赴任が決まったときは、迷うことなく帯同することを決めました。今思えば、自分のキャリアをあまり重視していなかったというのも、帯同をすんなり受け入れられた理由の一つかもしれません。
しかしながら、海外赴任が決まったのは2021年。コロナの影響がまだまだある時期でした。いつか海外で暮らすことになると思ってはいたけれど、世界中がコロナで混乱しているこのタイミングでベトナムに行くことになるなんて・・・と、内心ではとても不安に思っていました。

コロナが感染拡大していたときは、日本で生活していても先が見えず不安になりました。そんな中、異国の地で生活するなんて、とまどいや不安を感じるのは当然だと思います。
それでもご主人の長年の夢をサポートするために新しい環境に飛び込む決断をしたんですね!
東南アジアに行くのは初めてでしたか?

東南アジアには旅行で数回行ったことはありましたが、いつも数日で日本食が恋しくなっていたため、ベトナムの食事が自分に合うかすごく不安でした。食事が合わないと暮らすのは大変かなぁと(笑)
ですが、実際に生活してみるとその不安はすぐに払しょくされました。ベトナム料理はどれを食べても美味しくて、私の口にも合っていました。特に「バインセオ」というベトナム料理が好きです。それから、ベトナムは「生春巻き」が有名ですが、私は細かい具材がたくさん入っているベトナムの「揚げ春巻き」の方が食べやすくて好きですね。毎日口にする食を楽しめることは、慣れない海外生活の支えになっているようにも思います。
またベトナムは日本食や様々な国の料理が楽しめるレストランも充実していますし、日本の食材も手に入りやすいです。自分の行動圏内で色々な食事を楽しめるところも気に入っています。ベトナムは総じて想像していたよりも暮らしやすく、いい意味でのギャップがありました。

ベトナム料理はどれも美味しいですよね。私が住んでいるアメリカはジャンキーな食べ物が多いので、食文化が豊かな国での生活が羨ましいです。

ガイドブックに必ず載っている有名店のバインセオ。
大好きでよく行きます。観光客だけでなく地元の人も多く、いつも賑わっています。

人とのつながりから拓けてきた新しい道

ベトナムの食文化について教えていただきましたが、暮らしについても詳しく教えてください。

帯同してしばらくはのんびり過ごしていました。働いていた頃は通勤時間が長かったこともあり、毎日が慌ただしく過ぎていました。せっかく自由な時間ができたので、時間に縛られない生活をしたいと思い、適度な運動やバランスのいい食事を意識しつつ、丁寧な生活を送るよう心がけていました。
また、月1回ペースでベトナムの料理教室に通い始めました。料理教室の先生には、混沌としたローカル市場に連れて行ってもらったこともあります。家から徒歩圏内に市場はあったのですが、衛生面の不安もあったので、市場で買い物をしたことはありませんでした。ですが、先生からどこに何が売っているのか、おすすめのお店はどこなのかを教えてもらえたおかげで、一人で市場で買い物できるようにもなりました。安くて新鮮な食材が手に入るので、市場がにぎやかな朝のうちに足を運ぶようにしています。
こんな感じでマイペースにベトナムでの生活を楽しんではいた反面、料理教室の先生と夫以外の人との交流はほとんどないまま時が過ぎていきました。SNSで情報取集される駐在妻の方が多いと聞きますが、私の場合はほとんど見ていませんでした。ですが、あるとき同じ高校出身の先輩や後輩が何人か、ベトナムに住んでいることがわかり、集まることになったんです。その時に、ベトナムで日本人が気軽に交流できる場をつくるなどのプロボノ活動をしている先輩と繋がることができました。ちょうどベトナムでの生活をはじめて1年が経ち、人との交流の場にも参加してみようという気持ちが芽生え始めた頃だったと思います。
高校の先輩に導かれ、初めてその交流の場へ行ってみたとき、偶然CAREER MARKでインターンをしている先輩に出会ったんです。その日は「キャリア」をテーマに話す会だったため、その先輩からCAREER MARKやインターンについての話を聞くことができました。CAREER MARKのことを話す先輩はとても魅力的で、CAREER MARKという存在にも自然と興味を持つようになりました。
また、そのインターンの先輩は時を同じくして、ベトナムで「夫婦2人暮らし駐妻の会」を立ち上げていました。私もさっそくメンバーに入れてもらい、知り合った方とランチに行ったり、お茶をしたり、一人では行けないような場所へ遊びに出かけるようになりました。そして次第に交友関係が広がり、色々な話を聞けることで、より楽しく充実した日々を送れるようになったんです。

 自宅から徒歩圏内のローカル市場。
パクチーやニンニク、エビやイカはスーパーより新鮮。
朝ごはんにベトナムのローカルスイーツ「チェー」を買って帰ることもあります。

高校の先輩や後輩が同じベトナムで暮らしているなんて、すごい偶然ですね!
高校やインターンの先輩とのつながりがきっかけで、一気に人脈と行動範囲が広がったんですね。
周囲への思いやりがあるさやこさんだからこそ、新しい出会いの場にめぐり合い、帯同生活中の新たな楽しみを見つけられたのだと思います。

変わってきたキャリア意識

ところで、「キャリア」をテーマとしたお話し会でCAREER MARKのことを知ったということですが、さやこさんは当時どのようなキャリアの悩みを抱えていたのでしょうか?

日本に帰国する頃には、自分はおそらく40歳目前。ほとんど事務職しか経験していない自分は再就職できるのか…と、帯同が決まったときからキャリアに対する漠然とした不安がありました。
そんな中、CAREER MARKでセミナーが開催されていることを知り、CAREER MARK+のメンバーに会員登録しました。その後、たった数回セミナーに参加しただけで、自分のキャリアに対する考え方やモチベーションが変わり、もっと色々な人と交流を持とう、もっとキャリアについて考えようという前向きな気持ちになりました。
ちょうどその頃、CAREER MARKのインターン募集に関する告知がありました。短期間で自分の考え方やモチベーションを変えてくれたCAREER MARKのことをもっと知りたい、自分と同じような気持ちを抱えている駐在妻をサポートするお手伝いができたらいいな。と思い、インターンへの応募を決めました。
私はリモートワークの経験もなければ、事務職以外の仕事の経験もほとんどありません。自分の視野を広げるために新しいことにチャレンジしたり、オンラインでのタスクの進め方を経験してみたい。と思ったのも応募の理由です。

実際にインターン活動がはじまってみてどうですか?

帯同のため退職してから1年半、仕事脳を使ってこなかったため、優秀なインターンの先輩や同期の頭の回転やタスク処理の速さについていけず、焦りを感じています。
私は言われたことには責任を持って着実にこなすタイプですが、自分からどんどんアイディアを出して物事を推進したり、人前で発言することが苦手です。それゆえ、キャリアプラットフォーム「CAREER MARK+」の戦略立案や運営のサポートを担当するチームに所属していますが、チームの中でなかなか、自らアイディアを発信できずにいます。
チームの即戦力になれていないもどかしさはありますが、今までの仕事とはまったく真逆の経験をさせてもらっていることにすごく感謝をしています。できることや得意なことを見つけたいと思って始めたインターンですが、苦手を再認識することも新しい発見でした。さらにその中で、自分にできることを見つけてやれるようになってきたというのは、少しずつだけど成長しているのかなと感じています。
それから、何より楽しいのがメンバーとの交流です。9期インターンのメンバーは今まで自分の人生で関わったことのないタイプの人が多く、話しているだけで刺激があるんです。メンバーとの交流を通して、どんどん自分の視野が広がっていく感じがして毎日がとても楽しいです。

さやこさんはインターンの同期が忙しくて手が回らないときも、積極的に様々なタスクを引き受けてくれるので、いつもとても助かっています。
そして、一度にたくさんのタスクを抱えていても、それを計画的に着実に仕上げている印象です。さやこさんの責任感の強さや前職で培った処理能力の高さが、インターン活動でも活かされていますね。

インターン活動以外にも最近新しくはじめたことがあるとか?

ベトナムでの人とのつながりをきっかけに始めたことの一つに、「孤児院でのボランティア活動」があります。孤児院で暮らす子ども達に色々な経験をして欲しいという思いから、活動しているメンバーでアイディアを出し合い、お絵描きや粘土、ボール遊びなど様々なアクティビティをしています。決して恵まれているとはいえない環境の中にいる子どもたちの様子を見ていると、考えさせられることがたくさんあります。子どもたちによりよい時間を過ごしてもらうために、子どもの心理や子どもとの関わり方についてもっと勉強したいと考えるようにもなりました。
また、この活動には日本人だけでなく、様々な国のメンバーが参加しています。ですが私は英語が苦手なので、会話の内容がほとんどわからないことが多いです。他の国のメンバーともっとコミュニケーションをとり、楽しく活動をするためには、英語の勉強もしないとな、と思っているところです。
私は最近になってようやく気づいたことがあります。それは仕事をしているときの方が自分の気持ちが安定しているということです。これまでは好き、楽しいと思えることを仕事にしていたわけではなく、生活のため働いているという割り切った気持ちでいました。しかし、職場は自分の居場所であり、その居場所がどれほど貴重なものだったのか、退職して帯同したことで初めて気づかされたんです。だからこそ、最近は「もっと自分のキャリアについてちゃんと考えよう」と思えるようになりました。
私の帯同期間はまだ3年近くあります。インターン活動だけでなく、これからも興味のあることを見つけたら、まずはチャレンジしてみたいと思っています。帯同期間は様々な経験を積んでみることで、自分のキャリアを模索する期間にしていきたいです。色々とやってみた結果やっぱり今までの仕事がやりたい。と思ったら、帰国後は同業種の仕事に就くというのも選択肢の一つだと思っています。

読者へのメッセージ

最後にnoteを読んでくださっている方へのメッセージをお願いします。

キャリアのことに限らず、何かに行き詰まったり、今よりもう少し毎日を充実させたいなと思ったときには、一人で抱え込まず、そんな自分の気持ちをまず周りの人に話してみて欲しいです。
人とのつながりを持つことで様々な価値観や考えに触れ、刺激を受けることができます。その結果、視野も広がり、新しい道が拓ける可能性があります。まさに私は去年の秋から人と交流する機会が増えたことで、自分が変わったことを実感しています。インターンやボランティア等、今までにない経験をし、何か物足りなさを感じていた帯同生活が充実してきました。今まで重視してこなかった自分のキャリアについても前向きに色々考えてみよう。と思えるようにもなりました。
少し前の私と同じように、それなりに楽しい毎日を送っているけれど、新しい刺激が欲しいな、視野を広げたいなと思っている人がもしいるのなら、まずは勇気を持って新しい出会いの場に参加し、自分の気持ちを話してみてください!そこからきっと、新しい何かが見えてくるはずです。

あとがき

自分のペースを大切にしながらも、時には自分の気持ちや価値観と向き合い、行動することで、自分の道を着実に歩んできたさやこさん。
帯同後は何か物足りなさを感じていた日々を変えるために、自分の素直な気持ちを周囲に打ち明けたことで、様々な可能性が見えてきました。
私自身も帯同生活は穏やかなだけど、刺激が足りないと退屈に感じることがあります。しかし、そんな時こそ一人で抱え込まずに、自分の気持ちを周囲に話す勇気を持とうと思えるようになりました。自分をさらけ出すことで、周囲の人々とのつながりが増え、自分の可能性を広げることができるのだと、さやこさんに背中を押してもらえた気がします。
さやこさんのエピソードには、帯同生活を前向きに過ごし、自分らしく生きるためのヒントがたくさん詰まっています。少しでも多くの皆さんが行動するためのきっかけとなれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

インタビュー・文:
CAREER MARK 第9期インターン 松井 英恵

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